第2683話 マスコミの力
どこの国の出展も好評だった「宇宙万博」。
第一回のホスト国のキティルハルムは、大評価を受ける。
特に、いつものローブの上にトーガやキトンをまとった評議員の閉会の姿にはどこの国も評価した。
キティルハルムの属国であるミリアリア大公領・・・
衛星国のファルティア帝国も同様だった。
「うぐぐ・・・
あの猫共め・・・」
拳を震わせるコリアス大統領。
「閣下・・・
落ち着いてください!」
秘書官がなだめる。
「落ち着いておられるかッ!
キティルハルムは・・・
リシテアール連邦は・・・
「軍事大国」なのだぞ!」
技術だけなら、カーバイン王国に劣るが・・・
規模と練度は、銀河連合を越える。
「仮に、クラウンに戦争を吹っ掛けて勝てたとしても・・・
リシテアール連邦には「光の速さ」で敗けますって!」
科学力でも勝てないのに、それを操る「人間」がバケモノ級に強い。
「聞けば、あの女王・・・
機械軍馬部隊を降下させて、タイラントをほぼ無傷で制圧したと言うではないか!」
できようものがない。
同じことをやろうとすれば、タイラント首都を灰にすることは、コリアスにはさけられない。
例え、制圧できる戦力があってもだ。
「では、女王陛下・・・
お言葉をお願い致しますにゃ。」
報道ギルドマスターが、ミリアム女王にマイクを向ける。
「では・・・」
キトンを翻すミリアム女王。
「私が望むのは・・・
全宇宙の平和です。」
「ふん!
綺麗ごとを!」
そのコリアス大統領の小さな悪態を聞いていたがごとく、ミリアム女王は続ける。
「そう。
私が言うことは、綺麗ごとです。
少なくともリシテアール連邦の武力は・・・
いわば・・・
綺麗ごとを実行する・・・
「綺麗ごとを言うための力」なのです!
この世の全ての善意・・・
これもまた綺麗ごと。
言わなくなれば・・・
いずれ、人間は滅びます!
だからこそ・・・
私は、ただ一人になっても「綺麗ごとを言う女王」であり続けます!」
この放送は・・・
コリアス大統領の苦虫を嚙み潰したような表情と共に、全宇宙ネットで流れた。
綺麗ごとを言う・・・
それを「裏切られた」国が日本なのです。




