第2643話 チップ
キティルハルム王宮・執務室・・・
「おお・・・
よもや、貴様がここまでやるとはな!」
「不肖・・・
ナキ・ミケランジェロ・・・
お褒めにいただき、恐悦至極にゃ!」
オーディーン様が、ナキをたたえる!
亜神級以外の人間は、めったに褒めない、オーディーン神がだ。
あのあと・・・
ナキは、極大魔法で相手を消滅させた。
「えげつないな・・・
そなたほどなら、わかっていよう。」
画面の向こうから、プロメテウス神が言う。
「ふッ・・・
そもそも、炎とは・・・
プラスの熱エネルギーにゃ。
冷気とは・・・
マイナスの熱エネルギーにゃ。
この二つを同時に使うと・・・」
なんでこのアホが、「温度」の根源を知っている!?
「コワ過ぎますね・・・
ゼウス様が、一度はプロメテウス様を叱責したのもわかる話です。」
私は言った。
「これが、敵の使ったチップですね。
簡易ながら、ナキの術に耐えています。
構造は簡略化されているので、時間稼ぎしながら、「マスター」を量産する気でしょう。」
私は、個人端末にデータを打ち込みながらオーディーン神とプロメテウス神に述べた。
「のう・・・
戦力が整い次第、撃って出ぬか?」
「いいえ。
オーディーン様の仰せの通り、攻め込みたいのですが、敵の情報が少なすぎるのです。」
オーディーン神の問いに、プロメテウス神が答えた。
「お言葉だけどオーディーン様・・・
「敵を知り・・・
己を知れば、百姓一揆」という格言もあるにゃ。」
スパーンッ!
私のハリセンが、ナキの頭にヒットした。
ちなみにこれ・・・
「正体不明金属」である。
「「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」だってば!」
この原理、大魔導士の少年が使ったヤツと同じです。




