第2636話 知っていた初代
帰国してから、写本した書を納めにいくと・・・
そこにノワール神がいた。
「初代様・・・
い・・・
いえ・・・
ノワール様・・・」
「いいえ?
他人行儀な呼び方は無用。
「初代」でいいですよ。」
言うと、「初代様」はふっと笑った。
「この様子だと、知ったようですね。
「神話」の真実を。」
「初代様は・・・
知っておられたのですか?」
彼女は、この王立図書館どころか深淵の図書館の道を拓いた方でもある。
「ええ。」
そうだ。
これほどの方ならば、知っていてもおかしくはない。
カーバイン王国に行かずとも、深淵の図書館から知っても不自然ではない。
「でも、あなたならば・・・
いいえ。
アルナス卿でも、思うでしょう。
これほどの歴史をなぜ「封じて」いたかと。」
なんとなくわかった。
そう・・・
ハルカ神・・・
いや、ハルカ博士が超魔王になった動機そのものでもあるのだ。
知らずとも、全人類に絶望すればああもなろう。
「わかる気がします。」
「ただ・・・
あなたの公言している言葉こそ、全ての「救い」なのです。
これまでの人々だけでなく・・・
神々さえも、あなたの知る「旧約聖書」のエホバ神のような神々ばかりでしたからね。
「親」人間派のオリンポス神族のような神々とオーディーン様のような神々が「冷戦」していたような状況だったようです。
しかし・・・
あなたはその最後の「砦」というべきオーディーン様さえ、認めさせました。
ならば・・・
私も言いましょう。
たとえ、デウスエクスマキナ様が絶望しても・・・
「綺麗ごとを言い続ける」神であろうとね。」
人類の凄惨な黒歴史ですね。




