第2613話 素質と嗜好
ライテス邸地下闘技場・・・
「はっ!」
アルム神が斬りかかった。
「なんの!」
ギンッ!
アルナスは、左腕で受ける。
「これは・・・」
アルム神は、アルナスの腕を見る。
「竜・・・
それも黄金竜・・・」
「そう。
私は、人間族をベースに・・・
エルフ、人狼族、竜族が混ざった「混雑種」だ。
さらに・・・」
アルナスは、変身する。
「これは・・・
黄金の毛皮と羽毛を持った竜鳥・・・」
アルナスは、刀を抜く。
「この刀は・・・
陛下が打ってくれた「ナカソネコタツ」という日本刀でね。
私がかつて打った「空牙」より上だった。」
アルム神は、左腕を突き出し、火炎魔法を連発する。
そのまま、アルナスの懐に飛び込み、尻尾でナカソネコタツを叩き落とそうとするが・・・
アルナスの尻尾の一撃で阻止される。
やがて、アルム神は剣を納める。
「ふう・・・
あなたのことがわかりました。
これだけの実力があれば、「騎士」にと請われるのも納得です。
そんな経験が、私にもありました。」
「どのような?」
アルナスは、興味を持った。
「私は・・・
知っていると思いますが・・・
キティルハルムの初代第二王女だったのです。」
遠い目をするアルム神。
「母は・・・
私の性格を見抜き、騎士となることを許し、初代騎士団長としてくれました。
姉が二代目となったからではありません。
性に合わなかったのです。
しかし・・・
評議会以外の政治家の中には、私が姉の控えとなることを望む者も多かったのです。」
それを聞き、アルナスは・・・
ふっと笑う。
「いつの世も・・・
相手の「素質と嗜好」を混同して強要する者がいるモンだ。」
アルナスは、メガネを押し上げた。
そういうモンです・・・




