第2612話 キティルハルムの武神とトラルティールの総合導師
トラルティール・ライテス邸・・・
「かわいーッ!」
アルム神は、アルナスの研究室にて、レーザーパンダのフータを両脇から抱えて、破顔した。
「あ・・・
あの~・・・
降ろしていただけませんか?
僕・・・
仕事中なんで・・・」
仏頂面のフータ。
「しかし・・・
この邸宅には、伝書カラスやら銃器を持ったレッサーパンダやら・・・
いろいろいますねえ・・・
あなたは、肉体だけなら三賢人最強と聞きますので、てっきり脳筋なのかと・・・」
「それは偏見ですな。」
アルナスは、メガネを押し上げる。
「科学導師や総合導師が強いことがいけないという法がありますか?」
アルナスは、コーヒーを飲んだ。
「若いころには、騎士団にスカウトされかかって、辟易していたのですよ。」
ぼりぼりと頭をかくアルナス。
「時に・・・
奥義・ティアムレットバーストって・・・
あれ、普通の人間にはできませんね。」
「難しいですな。
かつての超魔王ガルアレート・・・
今のハルカ神との戦いで、当時の騎士団長が大魔王ファルスの外装の腕を粉微塵にしたという記録があります。
普通の人間でできたのは、初代騎士団長ティアムルだけですよ。」
アルム神は、目を丸くした。
「・・・
この国でも・・・
そうでしたか・・・」
「???」
「いえ・・・
その道の第一人者が、揃いも揃って、弱体化しているような・・・」
そんなアルム神の言葉を聞き・・・
「ははは・・・!
それは手厳しい。
人類は、文明が発展するごとに、弱くなる部分もあるのですよ。
キティルハルムの民にしても、「建国期世代」のあなた方と、今の世代では・・・
「爪のあるなし」ではっきりとわかるでしょう?」
正確に言えば、伸ばしたりひっこめたりだが。
「それと・・・
この惑星で最初に開発された防御用艦艇について聞きたいのですが。」
「いや・・・
私にも発想はありました。
しかし・・・」
アルナスは、遠い目をした。
盾艦のことです。




