第2611話 進化した?動物
「なるほど・・・
蜂族とキティルハルムの民との仲介業や、野生動物の間引き・・・
つまり、「マタギ」のようなことをされていると。」
「はい。
しかし・・・
あなたの返り討ちにあった者は、よっぽど身の程知らずだったのでしょう。
私は、すぐにただ者ではないと思いましたよ・・・」
滝つぼに遡上する鮭を獲り、火炎魔法で焼いている熊さん。
「よく言うぜ。
ユニィ殿下には、襲い掛かったくせによ。」
と、ショータ。
「あれ以来、人間とはことを構えんようにしています。
殿下が、画を描こうと思っていなければ、今の私は生きていません。
人間は、強い者なら積極的に人食い熊を討伐するでしょう。
弱い者を殺して食っても、報復や自らの安全のために・・・
なぜ、彼らはやればやるほど危険な目にあうとわからんのでしょうな・・・」
「熊の言うことではありませんよ。」
焼けた鮭を齧る熊さんに、アルム神は言う。
「野生動物は、あんたほど考えんぜ。
案外、あんた・・・
結構知能あるんじゃね?」
「そうですかねえ・・・」
野生動物と人間の会話とは思えない。
「ふむ・・・」
なにやら、アルム神は考える。
「地球の一民族に、熊神・キムンカムイがいると聞きます。
あなたのような者が、「神」として進化したのかもしれません。」
そうして・・・
「それはそうと・・・
人間にも困った人たちがいるのですよ。」
と、熊さん。
「時に・・・
我々にとっても、人間にとっても増えすぎると困る動物というのはいるでしょう?」
「ですね。」
「そういう動物を、キティルハルムの皆様は食料として駆除してくださる。
人間の言葉で「ジビエ」というのですか?
しかし・・・
「かわいそうだから」と言って、「殺すな!」と申される方々もおるのです。
まったく・・・
絶滅危惧種や家畜・愛玩動物でもあるまいし・・・」
曇った表情の熊さん。
「それじゃあ・・・
野菜だって食っちゃいけねえ理屈になるぜ!
陛下だって取り締まってるが、生態系ってのがわかんねえ奴らなんだよな。」
「ショータ閣下の申される通りです。」
山の男です。




