第2610話 アルムの滝
キティルハルム王国の山地・・・
ここで、ショータ・ミケランジェロとアルム神が歩いていた。
「な・・・
なあ・・・
休まねえか?
いいかげん、疲れたんだが・・・」
体力の塊のようなショータが、へばっている。
「あなた・・・
それでもミケランジェロ一族ですか?」
アルム神は、騎士服に剣という恰好。
ショータは、ローブとラフな服だ。
「あんたは「神」だしよぉ・・・」
バキッ!
アルム神は、ショータの頭をハリセンではたいた。
「根性注入」と書かれた、オリハルコン製のヤツだ。
「私は、「人間」時代の体力で歩いています!
まったく・・・
近頃のキティルハルムの民はなまっていますね!」
ジト目でショータを見る。
「まだ五時間ですよ!」
「もう五時間だぜ・・・」
やがて、滝が見えてくる。
「ここか・・・
アンタが・・・
例の「熊を狩った」滝は・・・」
そう。
ここで修行中、アルムは熊を狩ったのだった。
「ここなら、悟りでも開けそうだぜ・・・」
そんな時だった。
「そこッ!」
アルム神は、後ろを振り向いて、剣をぶん回した。
そこにいたのは・・・
真剣白刃取りをして、ぷるぷるしている熊だった。
「ど・・・
どなたですか・・・?
わ・・・
私・・・
ここに山菜を摂りにきただけですよ・・・」
「おお・・・
「熊さん」じゃねえの!」
ショータが、手を上げて挨拶をする。
「こ・・・
この人誰ですか・・・!?」
「ああ・・・
初代陛下の第二子で、初代騎士団長のアルムってんだ。」
「熊さん」は、瞬時に真っ青になる。
「お・・・
王太子殿下の言ってた・・・
熊を倒したお方!?」
どうやら、ユニィに画のモデルにされた時に伝えられた伝承が、トラウマになっているようだ。
「ふむ・・・
害意はないようですね。」
アルム神は、剣を納めた。
熊さん、熊殺しに出会う!




