第2500話 トラルティールの農耕卿
任のない日・・・
実家のだだっ広い畑を、アリス・ワンダーランドは、トラクターに乗って耕していた。
仮にも、地上においては強豪。
艦隊戦では、機動兵器で無敵の黄金騎士がである。
ウサギの耳の穴を開けた麦わら帽子と、オーバーオールが妙に似合っている。
実のところ、彼女の遠い先祖は、始祖エルフに仕え、農耕従事した人兎なのである。
「めんどいなあ・・・
「アルミラージュ」でクワ持って耕せば早いのに。」
ぼーっとした表情で言う。
すると・・・
ぎゅむッ!
両の耳が引っ張られた!
「母ちゃん!
「農戦士コンバイン」じゃないんだから、そんなズルはすんなよ!」
後部座席にいた息子・カリスに怒鳴られた。
「だいたいさあ・・・
キティルハルムのファーミス農場を追い抜くって野望は、どーしたの!?」
キティルハルムのファーミス農場・・・
現在では、生物兵器が投入されて、アホのように害虫の被害がない。
「アレは、バケモノよ。」
アリスは、キティルハルムの誇る生物兵器「ゴキダム」を思い出した。
「ヘタをすれば、黄金騎士級よ。」
畑を耕した後・・・
麦の種を撒いていく・・・
「なあ・・・
母ちゃん・・・
キティルハルムの「ネココムギ」のほうがよくね?」
「だまれ!
この麦は、トラルティールの固有種なのだ!」
キティルハルムの農産物のシェアは、未だにリシテアール連邦の六割を占めている。
もしかすると、こういう農家の努力がリシテアール連邦の食糧事情を支えているのかもしれなかった。
トラルティールのアリスさんの話です。




