第2497話 服飾職人デイブランド
さて・・・
キティルハルムの服飾職人の祖は誰か・・・
初代ミケランジェロの娘・初代ミケランジェルが挙げられるが・・・
もっとすごい人物がいる。
ノワール二世の三女デイブランドである。
「なんで・・・
なんで、この国の連中ってば、ファッションに疎いのよ!」
黒々とした尻尾を跳ね上げて、デイブランドは怒鳴った。
リシテアール連邦設立後、王家から独立し、一級貴族となった彼女は、多くの作品を発表して、他国に絶賛される服飾デザイナーとなった。
一級貴族とは、貴族とは名ばかり。
独立のための資金こそ王家より受け取ることができるが、そこからは自分で「起業」しなければならない。
一般平民と結婚し、身分を取り消す者もいれば、評議員と結婚する者。
さらには、技術者や商人として立身する者もいる。
「おちつくにゃ!
親方!
いつか、このよさに気付く者も出てくるにゃ!」
助手のミヤ・ミケランジェロが、なだめる。
「そういえば・・・
今日は、トラルティールのライテス卿が来られているにゃ。」
その言葉に、デイブランドはニヤリと笑った。
「猫」さながらに。
その日・・・
トラルティールのライテスは、自分の技術を職人に伝えていた。
「ほほお・・・
これが「コタツ」にゃ?」
「そう。
冬には温かいぞ。」
そんなことをしていると・・・
ものすごい勢いで、デイブランドが走ってきた。
「げッ!?」
ライテスは、青褪めた。
彼は、キティルハルム王族同様、ファッションにうとかったからである!
すぐさまライテスは、印を結ぶ。
魔法で逃げるつもりだ。
「逃がしませんわ!」
デイブランドは、ライテスに投網を投げる!
魔法が発動した・・・はずだが・・・
「ふ・・・
封じられた!?」
「くくく・・・
最強の総合導師のライテス卿でも、かないますまい!」
にやけた顔のデイブランド。
「ぎゃああああああああああああああああああッ!」
勇者の父と称されるライテスらしからぬ絶叫だった・・・
「お・・・
恐ろしいにゃ・・・」
王立図書館にて、ナキは伝記を閉じた・・・
初代デイブランドの逸話をちょっと。




