第2489話 教授王女
キティルハルム建国期の英雄・・・
母に譲るが、功績を残した人物がいる。
それは、後の教授女王キティルハルムだ。
実のところ、国名も初代女王ではなく、彼女の名となっている。
後の「生き写し」と呼ばれる女王も、略称でその愛称から「キティ二世」と呼ばれるほどだ。
彼女は、成長してから、初代評議員の提出したレポートをまとめ・・・
体系化して、幅広い分野の学問書を多数執筆していく。
そればかりではない。
ミケランジェロの提案で設立された王立学校・・・
それを、ただの学校ではなく・・・
リシテアール初の巨大な義務教育機関へと変えた。
さらに、母であるノワール女王の在位後期では、自分が「王立学校校長」として就任。
その手腕を発揮することとなる。
「どうかしら?
今年の兵科の卒業生は。」
キティルハルムは、妹で騎士団長のアルムに尋ねる。
「ダメね。
みんな平和ボケが酷いわ。
戦争に耐えられそうもない。」
憮然とした顔のアルム。
「しょうがないわ。
超魔王ガルアレートも、当分封印を破りそうもないし・・・
それに、神聖アトランティアとの戦争からだいぶ経っている・・・」
キティルハルムは、肩をすくめた。
「姉様。
戦争はする気がなくてもいい。
でも、そうなったときの備えが必要よ。」
わかっている。
だから、魔法や錬金術・・・
科学技術等の発展に、注力している。
「だだ・・・
学問自体も侮れないわ。
もしかして、マッドサイエンティストも遠い未来に現れるかもね。」
「まさか!」
そのまさかだ。
しかも、ミケランジェロ一族より「最凶」のマッドサイエンティストが出現し、神々さえ恐れさせようとは、この時のアルムすら予測できなかったのだ。
王立図書館・・・
「アルム閣下・・・
畏れながら・・・
その予測は、的中しましたにゃ・・・
しかも、ウチの一族から・・・」
伝記を閲覧しに来ていたリケ神は、本を閉じた・・・
冗談半分の予測が、的中!




