第2475話 困ったヤツとは、こういうヤツ
「・・・というわけだ。
そなたは、神酒の在庫を死守して欲しい。」
リケ神殿・・・
開口一番、アスクレピオス神からそれを聞いたリケ神は、「あー・・・そうか・・・」という顔をした。
私とアスクレピオス神は、朝一でリケ神殿に出向いたのだ。
「まったく・・・
ときどき、監視カメラに映ってる賊は、ファクトリア閣下だったにゃ・・・
どーりで・・・」
仏頂面をするリケ神。
「最近、遠征が多くなったから、小瓶の飲み残しを放置してたら・・・
何者かに盗まれたにゃ。
あの程度の分量だと、飲んでも影響ないし、分析もできないにゃ。」
「それ以降ですね。
我々が、警備を強化したのは。」
テラが、補足した。
「あんなクソ不味いモノ、なんでと思ったけど・・・
そーいうこと考えてたにゃ・・・」
そもそも、リケ神の神酒は、遠征に備えて備蓄した彼女用のストックなのだ。
「うーむ・・・
私からしても、理解不能ですが・・・」
機械天使の一人が言う・・・
「けど・・・
あの「神をも恐れぬマッドサイエンティスト」のことにゃ。
絶対、あきらめないにゃ。」
リケ神は、苦虫を数万匹をまとめて嚙み潰したような表情をした。
「そう・・・
それが、あのアホの厄介なところです。」
私は、ため息をついた。
「あの人は、確かにアホにゃ。
ただし・・・
「頭脳」は天才にゃ。
ヘタすりゃ、大昔のハルカ博士より厄介にゃ。」
「そうです。
タチの悪いことに、困ったヤツとは、こういうヤツのことです。」
アホのくせして天才。
いたらどつきたくなる。
だが・・・
いなければこまる。
困ったヤツとは、こういうヤツのことを言うのだ。
そう・・・
「困ったヤツなんです・・・」




