第2464話 食えない狐
「はあ・・・
困ったモンです・・・
神々の世界にも、「希望を無視した配属」ってのがあったんですね・・・」
翼尾は、「うーん・・・」とうなる。
「まあ・・・
この件は、父に言っておきましょう。
なにより、この「財宝セット」はおいしそうだ。」
箱を開け、小判型のもなかと宝石を模したゼリービーンズを見て、ほくほく顔の翼尾。
興味津々なのか、九本の尻尾が左右に振れている。
「リケ神・・・
あなたも、ワルですねえ・・・」
「そういう翼尾様も、なかなかのものにゃ・・・」
「くくく・・・」
「にゃーははは!」
リケ神の一行は、顔を見合わせ・・・
「またやってるよ・・・」という表情をしている。
「さておき・・・」
翼尾は、切り出す。
「せっかく来られたのです。
この稲荷町は、どうですか?」
「カオスにゃ。
けど・・・」
いままでの道中を思い出す。
「稲荷神と人間族が、見事なまでの共存をしているにゃ。
異種族・・・
異民族・・・
そういうので争うのが、馬鹿らしくなるくらいにゃ。」
「フフッ・・・
何代か前の祭主の手記で、キティルハルムでは「バナナのたたき売り」と称して、作り物のバナナを破壊して売るユニークな人もいるとか。
僕も、信じてみたくなりました。
「綺麗ごとを言う女王」という人を。」
翼尾は、「食えない狐」さながらの笑みで微笑んだ。
またも、悪代官ごっこ・・・




