第2463話 稲荷神社
そこは・・・
なんだか、民家のような空間だった。
境内の中央に、本殿があり・・・
社務所と母屋、離れがある。
風力発電機やソーラーパネルまであるではないか。
「ず・・・
ずいぶん、俗な神様にゃ・・・」
俗なことには、引けを取らないつもりのリケ神も、これには驚いた。
そこへ・・・
一人の稲荷神の少年が、母屋から出てきた。
「あれ?
この人たち・・・
もの凄い神波動を感じる・・・
もしかすると、父がよく話していた「リシテアール連邦の神々」ですか?」
「そうにゃ。
あちしは、代表の「平和神リケ・ミケランジェロ」にゃ。」
「僕は、「祭主」の次期後継者・稲荷翼尾と言います。」
稲荷翼尾は、一行を母屋に招き入れた。
「父は、交渉や事業のために宇宙を飛び回っています。
お話は、僕が聞きましょう。」
そう言いつつ、人数分のお茶を出す。
「はあ・・・
大変ですね・・・
神々さえ認める女王というのも・・・
まあ・・・
僕なんかは、しょせんは一地区の地主みたいなモンです。」
事情を聞くと、稲荷翼尾は、しみじみと言った。
「「地方神」と言うヤツかにゃ?」
「ええ。」
そのわりに、宇宙の一角を担う巨大企業の当主をしていたりもするが。
「稲荷翼尾様にお聞きします。
「稲荷天主堂」という教会を見ました。
ここは、異教を認めているんですか?」
テラが尋ねた。
「この国では、「神」であるならどのようなものでも「神」。
排除するいわれはありません。
事実、天主堂の主は稲荷神ですよ。
なんでも、その先祖は・・・
何代か前の祭主と共に、この時代のキティルハルムに転移し・・・
リケ神やミリアム女王にお世話になったとか。」
そう言いつつ、落ち着いた様子でお茶を飲む稲荷翼尾。
「陛下に聞いたにゃ。
「八百万」信仰。
新しい神様が入ってきても、排除しないという思想にゃ。」
リケ神が言う。
「さて・・・
ご用件をお聞きしましょう。」
「そのためにきたにゃ。」
リケ神と稲荷翼尾の目が、きらりと光った。
生活感のある神社です。




