第2445話 欲の低すぎる者
銀河連合・ヤン艦隊旗艦ユリシーズ艦橋・・・
「アレ・・・
どう思います?」
ヤン・ウォーリーは、モニター画面に映った上官のラインハルトに聞く。
「ふむ。
「天帝」の器ではないな。
あえて言うなら・・・
ミリアム女王の方が上か。」
「ですよねえ・・・」
ヤンはコンソールの上の紅茶を飲む。
紅茶の底には、新製品「ユニィシロップEX」が、これでもかと入れられており、約2cmほどの層をつくっていた。
飲めねえよ、こんなクソ甘い紅茶・・・
「オーディーン神より、内密に伺ったのだが。」
ヤンは、それを聞いて驚く。
そういうことを、つい最近まで「人間蔑視派」の神に聞くか?という表情をしている。
「曰く。
「ゼウスの方がだいぶマシ」だそうだ。」
そりゃそうだ。
「あと・・・
ミリアム女王が死後・・・
「天帝」に推挙しようとする神がいくらかいるという。」
ヤンは、それを聞いて、ベレー帽を脱ぎ・・・
言う。
「お断りするでしょうね。
あのお方は。
彼女は、女王位は必要だからやっているだけで、それ以上興味ある御仁ではないようでしたし。」
「卿のようだな。
「だから」わかるか。」
「そもそも、野心の強い人は、なんでも自分の基準で思考しますし。
どうやら、神々もそのようです。
結局、偉い神々は大半が実力関わりなく、自己顕示欲の薄い方々のようで。」
そう。
各神族の代表の中で、「まとめ役」に選ばれながらも、ゼウスはこう言ったらしい。
「マジか!?
ワシのようなエロジジイでよいのか!?
ホラ!
もっとまともなのおるじゃろ?
オシリスとか・・・
エホバとか・・・」
と。
「僕だって、元はただの「歴史家崩れ」さ。
軍に言われてご奉公しているだけ。
軍役について、贅沢できているからこれ以上は求めるモンはありませんよ。」
無欲な男だ。
「さて・・・
オルゴデミウス神の次の動きが気になるな。」
「ええ。」
銀河連合最強の将は、次の一手を考え始めた。
意外にこういう人ほど、能力が高くても出世に興味がありません。




