第2405話 ハルカ博士の過去
「では・・・
神々もご照覧あれ!」
ハルカ博士は、杖を振るった。
次の瞬間・・・
周囲は、図書館のような空間になった。
「お・・・
おい!
なんで、俺ら自分らの艦じゃなくてこんなところにいるんだよ!?」
いつのまにかいた、アレス神がわめく。
「おそらくこれは、彼女の「術」であろう。」
ゼウス神が、推測する。
見ると艦隊の主要人物が、人間・神族問わずにいる。
「はい。
これは、幻術の類でございます。
方々の意識は、数百倍に時間が速められているので、現実的には影響はございません。」
ハルカ博士は、言う。
「さて・・・
ミリアム女王。
あなたは、当たり前のように深淵の図書館へ出入りしておられます。
しかし・・・
初代女王のノワールは、どうやって最初に入りましたか?」
「それは・・・
「古代エルフ文明」の秘伝書から・・・」
私は、それしか知らない。
「では・・・」
「そうです。
「できる」者が、いくらかいたのですよ。」
ハルカ博士は、別の方向を見る。
その視線の先には・・・
机の上で、書を拡げ、目を通すエルフの少女がいた。
「ここまでして・・・
何を求めるんだい?
ハルカ。」
声をかけた男の顔は・・・
「司書神様ではないか!?」
ヘルメス神が、絶句する。
「おやおや・・・
「地球史」を読んでいるのか・・・」
「これは、我らの「先祖」ですね・・・
実に愚かです。
中途半端に進化したため・・・
経済活動もおぼつかないほどの「間引き」をしてしまったこともある。
利害や思想による戦争ならともかく・・・
いっそ、獣のままなら楽だったのに。」
そう言った少女・・・―かつてのハルカ博士―が、無機質な表情で呟いた。
ミリアム:あんのヒマ神がああああああッ!




