第2327話 時間を「与えた」から
アルナスが、幼いころ・・・
「ほ~ら
お嬢様・・・
鼻毛野牛の角煮ですよ・・・」
レーザーパンダのフーコが、鍋で角煮を調理している。
いいにおいがする・・・
「食べてもいいか?」
「だめでございます。」
ぴしゃりと言うフーコ。
「角煮というのはですね・・・
じっくりと火を通し・・・
そうしておいしく出来上がるものでございますよ・・・」
繰り返すこと10分・・・
「できましたよ。
お召し上がりください・・・」
「おお!
いただきます!」
かぶりつくように食べるアルナス。
「お・・・
おおう・・・
おいしい・・・」
「それはですね・・・
お嬢様が、この角煮に10分という「時間」を与えたからでございます。
確かにお嬢様は、二人の人間の人生を蓄積しておいでです。
しかしながら、大事な「経験」をされておりませぬ。
もっと経験をなさいませ。」
アルナスは、ふと我に返る。
「私としたことが、意識を喪って昔のことを・・・
ふッ・・・
人生においては「全てが師」とはよく言ったものだ。
今はもういないが・・・
あのフーコは・・・
私にとって乳母のようなヤツだったな。」
アルナスは、攻撃する手を緩めず、維持し続ける。
「くくく・・・
「時間を与えよ」か。
あいつもよいことを言ったものよ!」
アルナスは、懐かしさを覚えつつ、ふっと笑った。
「私もまだ修行が足りん。」
「?・・・
なにか・・・
アルナスの様子が変わった?」
受け続けるエリティアは、怪訝そうな表情になった。
「彼女に、底はないのか!?」
ある特撮からです。




