第214話 平和の女神
ストリア様は、リケちゃんを見た。
「しかし・・・
君の一族は、過激だぞ・・・」
「「子孫」たちのバカ騒ぎは、むしろ全人類の活性化や弊害の排除に役立っているにゃ。
もっと、人に接する神様をするにゃ。
ルカ様みたいに、ちょこっと顔をだすことしかできないエラい神様は、しょうがないけど。」
「しかしだな・・・」
「あちしは、「神様」としても人としてもまだ「子供」にゃ。
だからこそ、わかることもあるにゃ。」
地球のとある神様が原因で、永きにわたる争いが起こったことを、学んだのだ。
「神様は、人前に出ないと、信徒以外から不信を買うにゃ。」
「まじめね・・・リケちゃん・・・」
「陛下には負けるにゃ。」
リケちゃんは、人に対しては対等に接するが、神様には辛辣のようだ。
「もっともねえ・・・
私が「地球にいたころ」は、みんなが自分よりできないことに、釈然としなかったわ。」
「なんでにゃ?」
「自分で、勝手に「みんなが自分より遥か上」でなければ許せなかったのよ・・・」
「あ~それ・・・勝手に「上から目線」にされるパターンにゃ・・・」
リケちゃんは、うんうんとうなずく。
「それで、自分の意見を片っ端から殺してだまって、今度は無理矢理表に引っ張り出されて大変な目にあって、引きこもったあげく、人嫌いになってたにゃ?」
「そうよ。
よく知ってるわね。」
「王立図書館で、心理学を勉強したにゃ。
いい神様になるには、人の心を知ることを求められるにゃ。
ある教祖になった神様が、最初に始めたバイトが「心理学に基づいたカウンセラー」だったようだにゃ。」
ん?
聞いたことあるぞ・・・
それって・・・
「ブッダ・・・?」
「確か、そういう名前の神様だったにゃ。
この前、司書神様が「地球の賢者で遊びに来て、大量のおみやげをもって帰ったけど、祖国でゴミ箱に捨てられ、他の国で活用された。」って言ってたにゃ・・・」
リケちゃんは私を見る。
「平和ってのは、例え気に入らない奴でも、相手の話を聞くことから始まるにゃ。
そのうえで、「最大公約数」でものを決めるにゃ。」
職場心理学
女王ミリアムが、始めた学問。
かつて、彼女の前世の下層労働者の心理を分析・活用し、啓蒙する目的で広められる。
しかし、意外に多目的に使えると評判である。




