第120話 だれ?
ユニィはその日、王立学校で見かけない少女を見た。
アルムスと顔を見合わせる。
「どこかで見たことがあるような・・・」
「知りません・・・」
「しらないにゃ。」
ヴィブリオやミラも知らない。
「けど・・・どこかで見たような…」
その少女は、王立学校の理事長室に訪れていた。
「あちしは、「神」としては「新米」もいいところにゃ。」
その言葉に、女王ミアンは苦笑する。
「勉強熱心ですね、リケさん。」
「にゃ。
あちしが「眠って」いた間、いろんなことがあったみたいにゃ。
それにしても、子孫どもは、アホばっかやってるにゃ。
内戦状態の国を焚き付けて分裂戦争起こしたり、変な芸術家を輩出しまくったり・・・」
「幻滅しましたか?」
「アホで、楽しいにゃ!ただ・・・」
「ただ?」
「昔なじみが、誰もいないにゃ。ドスケベのくせに、伊達メガネの優男のエラル宰相や、姉ちゃんたちも・・・」
「それが時の流れというものです。」
「にゃ。
暇な時は、商店街や職人街を冷やかしにいくにゃ。
姉ちゃんの直系の一人や二人いるはずにゃ。」
その言葉に、ミアンは、はたと手をたたく。
「なかなか、満足のいく作品ができないと悩む陶芸家がいるようですが。」
放課後、リケは商店街へ行く。
「ここらも、だいぶ変わったにゃ。
けど、独特の雰囲気は変わってないにゃ。」
ウナギの名店や、スイーツの店・・・
中には、創作料理の店まである。ひととおり見ると、職人街に足を運ぶ。
すると、がしゃーん!だの、パリーン!だのという音が・・・
「ま・・・まるで、姉ちゃんの工房にゃ・・・」
それもそのはず・・・
この工房は、初代工房主が、王家に花瓶を献上した陶芸工房なのだ。
いわば「当人」の工房である。
「あ〜っ!血のようなカキの赤と太陽のようなレモンの黄がでないにゃ!」
「し・・・師匠!おやめください!」
満足がいかないと、彼女はまた割る・・・
「ええい!うるさいにゃ!
絶対、あちしは、「神和記念」に「カキレモンの壺」を完成させるにゃ!」
リケは、ひいていた。
「こ・・・この人、絶対に二番目の姉ちゃんの子孫にゃ・・・
そういえば、あのあと王家に花瓶を献上して、自分では「まずまず」と言いながら、ノワール陛下は倍の金額を払おうとしたって・・・」
ウチの一族共は、妥協をしらんのかと苦笑い。
「ま、とりあえず「霊廟」に帰るにゃ。」
リケは、すっと消える。
「ゆ・・・幽霊!?」
物影で、ユニィが腰を抜かしていた。




