第112話 深淵の図書館
王宮の開かずの扉をくぐると、そこは深淵の図書館。
無数の本棚があり、ありとあらゆる知識を求める者に授ける図書館。
開かずの扉を作ったのは、初代女王ノワール様であり、扉を開けることのできる者は歴代の女王のみ。
ゆえに、ノワール様は「司書女王」と称され、歴代の女王はここを管理する神・カイロスの神官とも呼ばれる。
巨大な図書館の一角に、机がありそこで神族らしき男性が、少女とお茶を飲みつつ話をしていた。
「だから僕は、キティルハルムとアトランティアの仲介に行けと、言ったんだけど・・・」
その言葉に、少女は縮こまる。
「でもさあ・・・カイロス様・・・
また、僕、商工ギルドマスターに塩をブッかけられそうで・・・」
少女は、腰まで伸びた髪とオーバーオール、斬馬刀のような剣を背負っている。
「いい加減にしなよルカ。
「神様」ってのは「人間」に「なめられて」もいいけど、「憎まれ」てはおしまいだよ。
そう・・・
君の苦手な「商工ギルドマスター」の言葉を借りると、それで「商売あがったり」なのさ。」
ルカ・・・
創造神王十二人の一人で、「愛と命と炎」の女神だ。
「聖鳳凰」とも呼ばれる。
「おや・・・
お客が来たようだ。
君は、女王ミリスだったね。
そのお嬢さんは、娘さんで散々な評判の総合導師のミリアリアだったっけ?」
「わ・・・私のことを・・・!?」
「僕は、君のいうところの「天空神ウラノス」の息子にして「時空神クロノス」の弟・カイロス。
知識の殿堂にようこそ。
僕は、いろんな世界のいろんな偉人に知識を授けてきた神さ。
その中には、君のご先祖様や心の師もいる。」
深淵の図書館「アカシックレコード」
元来、悟りを開いた賢者が行ける知識の殿堂。
しかし、その正体は「宇宙の中心にして遺伝情報の保管場所」である。




