第108話 ハイペリオン老師
「ネズミよ・・・
よく増やしたもんじゃのう・・・ほっほっほ。」
好好爺然とした、エルフの錬金術師が笑った。
ブスッとした、実験用マウス一号に、実験用マウス二号がべったりと寄りかかっている。
「笑い事じゃないよ老師!」
実験用マウス一号は、ムキになって怒鳴る。
「微笑ましいのぉ・・・
子ネズミ共がかわいいわい。」
まるで、孫を愛でるご隠居である。
それを聞いた実戦用一号が、ビシッと敬礼をする。
「僭越ですが、老師は何故に大魔王になられたのですか!?」
「「妻」と子を殺された怨みよ!
とはいえ、外見はともかくお主らは父親に全く似ておらんのぉ・・・
このクソネズミとは大違いじゃ。」
まるで、孫を愛でるジジイである。
「悪かったね!」
ぶーたれる、実験用マウス一号。
「これでも、老師は国一つを焼き、ライテス君と論戦したつわものだぞ。」
「それは、すごいですね!父上!」
「しかし、あのアホ総合導師め!
ワシの衛星を全て破壊しおった!
しかも、後で調べた結果、太陽電池衛星は全てプロテクトがかけられ、ワシではアクセスできん!
若い頃のワシならアクセスできようものじゃが・・・」
「もしかして・・・」
実験用マウス一号の、次女実戦用三号がはたと手を打つ。
「老師の復活を予測していたんじゃないですか?」
言うと、「父」をジト目で見る。
「派手に、キティルハルムの姫様相手に暴れて、母さんの「報復」をしようとしたら、「返り討ち」ですから・・・」
「う・・・うるさいよッ!」
「ありうるのぉ・・・
まさか、自力で可変型旗艦を建造できたら、「アレ」をやるかものぉ・・・」
「ま・・・まさか・・・はは・・・」
実験用マウス一号の脳裏に、「昔の記憶」が蘇った。
なんと・・・
ライテスは、人型に変形させた総旗艦ホープメイカーで、自分のいた要塞に「殴りかかって」きたのだ。
「・・・できないだけであって、できたらやるかも・・・」
はっきり言って、恐怖だ。
「ほっほっほ・・・
あの猫のことじゃ・・・
案外、やるかもしれんのう・・・」
天空の大魔王ハイペリオン
元エルフの天才科学導師。
専攻は、太陽電池モジュール。
ハッキングも得意。




