表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ニゲル戦記  作者: くろくまくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/5

ニゲルゲーム

突然、何かもが真っ黒な部屋に召喚された7名。


男、女、おっさん、幽霊、学生、エルフ、子供。そんなよくわからない組み合わせの召喚者7名に、


ニゲルと名乗る謎の声が聞こえてきた。


ニゲルは何者なのか?そして、その目的とは?


『僕の名前はニゲル。これから集まってもらったみなさんで、戦いあってもらうよ』


 ニゲルと名乗った声だけの存在は、そう言った。


「え、え、戦い合うってどういうこと?急にこんな部屋に連れてこられただけでも意味わかんないのに、戦い合うってもっと意味わかんない!てか、ニゲルって名前もなに?逃げる?脱出?」


 サヤが言う。


『あ、ごめんごめん。戦い合うといっても、殺し合うとかではないんだ。ちょっとしたゲームをしてもらう。申し訳ないけど、そのゲームをしてもらったら、皆さんには元通りの世界へ帰ってもらえると思うよ。あと僕の名前はその逃げるではなくて、少し違う意味なんだ。あ、ゲームも脱出ゲームではないよ』


「「「「ゲーム??」」」」


『訳あって、色々な世界からピックアップして7名を召喚させてもらった。でも、無理に拘束したり、痛い目に遭わせたりするわけではないから安心してくれ。そのイスにみんな座ってくれるかな。ゲームの説明を、今からテーブルに画像を表示させながらするからね』


 無茶苦茶なことは言ってこないのがわかったからか、7名はそれぞれ中央の黒いテーブルに周りに置いている、黒いイスに腰をかけた。


「ニゲルさーん。もしよかったらなんだけど、おでんと熱燗あつかんとかのサービスはないですか〜。ちょっと口寂しいもんで…」


「パパっ!何言ってんのよこんな時に!あ、でもお水くらいはいただけますか?ちゃんと話は聞くから」


『わかったよ、おでんと熱燗はないので申し訳ないが、お水はどうぞ』


 テーブルの上に人数分のお水がグラスに入って現れた。グラスの色もブラックだ。


『では、今からやってもらうニゲルゲームについて説明する。テーブルに表示される画像と、文字をとりあえず読んでほしい。質問があれば聞くよ』


 ニゲルが言ったあと、テーブルの中央が四角く光り出し、将棋盤のようなマス目の画像と、何やら矢印が色々ついた画像。そしてその下に説明が書いていた。


挿絵(By みてみん)


 ◯ニゲルゲーム

 10×10のマスの盤面にプレイヤー(駒)は立ち、各々に与えられた移動方法で毎ターンごとに移動し、他プレイヤーの上に乗ることで他プレイヤーの駒を取る。最後のひとりになった者が勝者である。


 下記に7つのプレイヤーの移動方法、ルールを記す。


 ◯キング 縦横斜め全方向に一マス進める。


 ◯ヒーシャ 縦横にニマス進める。


 ◯カーク 斜め方向にニマス進める。


 ◯ヒーヒーシャ 縦横に四マス進める。


 ◯カーカーク 斜め方向に四マス進める。


 ◯ミサイル 縦横斜め全方向に、壁に当たるか、他プレイヤーに当たるまで進む。途中で止まることはできない。


 ◯ビビリ 縦横に一マス進める。盤から1ターンのみ姿を消すことができる。ただし、その次の自分のターンには必ず現れる。消えていない状態の時は動くことができる。姿が消えているターンは移動はできない。姿を消すか、移動するかは、自ターンにその都度選択し、行動する。


 ◯ニマス、あるいは四マス進める駒は、途中で止まることはできない。ただし、壁がある場合はそこで止まる。他の駒を取った場合、その取った駒の進む範囲を自分の駒に増やせる。



『なんとなくわかったかな〜?』


「え、これって…」


「将棋?チェス?なんかそんなっぽい感じだよね。ヒーシャとカークってなに?まぁ…ゲームをして、それでクリアをすれば、みんな元通りに帰してくれる、っていう感じなのかな?」


 シンとサヤが言う。


『まぁ、簡単に言うとそうだね。ただ、仲間同士というか、わざと負けたり、負けるように仕向けるような行動は、わかった時点で罰が待っているよ。7名がそれぞれ自分が勝つように本気でやってほしい』


 ニゲルが言い、それに対してグラティアが意見を述べる。


「うーむ。私はなんとなくルールはわかったのだが、このアルドのように小さい子はちょっと理解しにくいかもだが…」


「グラちゃん、いつまでも子供扱いしないでよ〜!僕もわかるよ」


 アルドは拗ねたように抗議した。


『あはは、それは心強いね。あ、それと7つの移動方法については、ゲーム開始時にランダムで決まる。好きなように選ぶことはできないから、それだけは注意してね』


「ニゲルさんすんません。今日の晩ごはんを作りに帰りたいから、あまり時間かけたくないんやけど、いつくらいに帰れるやろか…?」


 幽霊のアヤミが聞く。


『あはは、晩ごはんね。息子くんもお腹空いちゃうもんね。でも大丈夫、この空間は時間は他の世界とは切り離されているから、ここで時間がいくら経っても、元に戻ったらここに来る前の状態に戻れるよ。それにここではお腹も空かないし、ノドも渇かないと思う。実体ではなくイメージで形づくられている世界だからね。あ、アヤミさんは元々実体がないから変わりないかもだけど』


 アヤミは納得したようだ。


「それにしても、こんなところに急に呼び出されて、そしてこのメンツで戦い合う、ゲームで勝敗を競うのは…何か意味があるんですか?訳あってとさっき言ってましたが、ある程度は話してくれてもいいんじゃないです?」


 お水を飲んで二日酔いがおさまってきたサヤの父親のサトシが聞く。


『う〜ん…申し訳ないんだけど、今は詳しいことは言えないんだ。ごめんね。でも、先ほど言ったように皆さんには悪いようにはしない。それだけはわかってほしい。えー、他には何か質問あるかな?』


「あっ、ニゲルさん質問です。このニゲルゲーム?順番に駒を進めて、相手の駒を取るということなんやけど、駒を動かす順番とか、どこに動かすかを決めるまでの時間制限とかはあるんですかー?」


 アヤミの息子のタクミが聞く。


『おっ、いい質問だね。そういうのを待っていたよ。駒の種類もランダムで決まるけど、盤面への配置もランダムだけど、初手に関しては、盤面を上から見下ろした時に、一番左上から右へ、次の列の左端から右へ、最後に一番右下という順番で駒を動かしてもらうよ。二手目からは初めの順番どおりに進んでいくだけだけど、次が誰が動かすかは、知らされるから大丈夫。あと、駒を動かす時のシンキングタイムは、実は考えてなかったんだけど…3分にしようか。そのくらいあれば充分でしょ。3分が過ぎて行動が決まらなかった時は、勝手に動くことにするよ』


「わかりました。ゲームの途中でもその都度質問だったり、お互い会話をすることはできますか?」


 さらに加えてタクミが質問をした。


『うんうん、それは大丈夫。ゲーム途中でも質問はあり。それに会話ももちろんいいよ。ただし、先ほど言ったように勝敗に関することや、移動先などを指定するような会話はアウトだ。その時点で罰がくだる』


「罰って…なんですか?」


 今度はシンが聞いた。


『んー、それは言えないかな。でも痛い目とか死んだりとかではないからそれは安心してね。さぁそろそろゲームを始めたいと思うけど、どうかな?例えばゲームの開始前ならゲームについての作戦タイムというか、話し合うことはできるよ』


「わかりました。では少しだけ、みんなで話し合う時間をくれますか」


『オッケー。じゃあ15分待つよ。時間が経ったら、僕から声をかけるね。ごゆっくりどうぞ』


 ニゲルの声が途絶える。


 シン、サヤ、サトシ、アヤミ、タクミ、グラティア、アルドの7名がテーブルで向き合い、微妙な顔をしている。


「なんか、このニゲルって人怪しいよね〜。何考えてるんだか。まぁでもここから出れそうにないから、このゲームをクリアして、帰してもらえるんなら、パパっとやっちゃおうか」


 サヤがみんなを見て言う。


「さっき、タクちゃんカッコよかったやんね〜!母ちゃんなんか感動してしもたわ。あぁ、タクちゃんも成長したなぁ〜、って」


「母ちゃん!こんなとこで感動せんとって!あ、さっきもニゲルに聞いたんやけど、なんとなくこのニゲルって、ゲームを楽しんでるような感じがしてて…やからゲーム中にもしかしたらハプニングというか、なんか仕掛けみたいなのが来るかもやから、それは気にしとったほうがええかもですよ」


 タクミがみんなに言う。


「うむ。まぁなんにせよ本気でゲームをして、クリアさえすればいいのだろう。誰が勝ってもいいなら、みんな勝つ気でいけば良い。あ、ちなみに先ほども試そうと思ったのだが、この空間では魔法は使えないようだ。このニゲルとやらが嘘をついて、帰れない状況になったら、脅してやろうと思ったが、それは無理なようだな」


 と、グラティア。シンがそれに答えて言う。


「あはは、グラティアさん平気で怖いこと言うよね。まぁ穏便にいきましょう。あちらも攻撃するような意思はないようですし。それにしてもこの将棋というか、チェスみたいなゲーム。どの駒が強くて、どの駒が不利なのか。弱いのはビビリっぽいけども、消える力もよくわからないな」


「あ、あと。ニマス進むだったり、四マス進むとかの駒は、壁に当たらない限り、途中で止まることはできないみたいだから、進む向きとか、移動マス、壁の位置も考えながら進めていくほうがいいかもだね。あと駒を取れば取るほどその駒は強くなっていくところも頭に入れていたほうがいいかもしれない」


 シンに続き、サトシが発言した。


「なんか難しいことはわからないけど、とりあえず全部の駒を取って勝てばいいってことだよね?僕こういうの得意だよ!」


 アルドが自信満々な様子で言う。


「わぁ〜、アルドくんやったっけ?まだ小さいのにおりこうなんやねぇ〜。なんやタクちゃんが小さかった頃を思い出すわぁ」


 アヤミが言うと、横でタクミは恥ずかしそうにしている。


『はいっ!そろそろ15分だよ〜!じゃあまずはじめに、それぞれの駒を決める。それからゲームステージに移動してもらうね』


 ニゲルが言った途端、黒い部屋の天井や壁の照明が色々な色に変化したり、点滅したりし始めた。


「わっ!なんか賑やかだねぇ〜。若い頃に行ったディスコみたいだよ」


 もう完全に二日酔いから立ち直ったサトシが言う。


『はいっ!では発表するね。呼び捨てで言うけどごめんね』


──キング。サヤ


──ヒーシャ。アヤミ


──カーク。サトシ


──ミサイル。グラティア


──ヒーヒーシャ。シン


──カーカーク。タクミ


──ビビリ。アルド


「ちょっと〜!!なんか僕がビビリみたいですごく嫌なんですけど〜!!」


 アルドがすかさず言った。皆が笑う。


『あはは、ごめんね。では、ニゲルゲームを開始する』


 ニゲルの声に合わせて、部屋が暗転した。


 


つづく。

ここで、皆さんに考えてもらいたい。7名の中で勝者は誰になるだろうか。下に盤面のイメージと、それぞれの駒の種類。初期位置を記しておくとする。


キング:サヤ(サ)

ヒーシャ:アヤミ(あ)

カーク:サトシ(さ)

ミサイル:グラティア

ヒーヒーシャ:シン

カーカーク:タクミ

ビビリ:アルド(ア)

サヤは盤面では「サ」、サトシは「さ」と表記、。アヤミは「あ」、アルドは「ア」と表記。それ以外のプレイヤーは頭文字を表記。


◯盤面イメージ

挿絵(By みてみん)


◯初期位置


1サ▢▢▢▢▢▢▢▢あ

2▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

3▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

4▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

5さ▢▢▢▢▢▢▢▢シ

6▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

7▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

8▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

9▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

0タ▢▢▢▢ア▢▢▢グ


勝者は誰になるだろうか。駒を動かす順番は

サヤ、アヤミ、サトシ、シン、アルド、タクミ、グラティアの順である。


駒の動かし方、および能力も追記しておく。

◯キング:縦横斜め全方向に一マス進める 

↖ ↑ ↗

← ◯ →

↙ ↓ ↘

◯ヒーシャ:縦横に二マス進める 

  ↑

  ↑

←← ◯ →→

  ↓

  ↓

◯カーク 斜め方向に二マス進める 

↖   ↗

 ↖ ↗

  ◯

 ↙ ↘

↙   ↘

◯ヒーヒーシャ 縦横に四マス進める。 

◯カーカーク 斜め方向に四マス進める。

◯ミサイル 縦横斜め全方向に壁に突き当たるまで進める。途中に他の駒があった場合、その駒を取り、止まる。

◯ビビリ 縦横に一マス進める。盤から1ターンのみ姿を消すことができる。ただし、その次のターンには必ず現れる。消えていない状態の時は動くことができる。姿が消えているターンは移動はできない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 もしかして次のターンとは自身の行動権利発生時ではなく、全体のターンの開始時のことでしょうか?  それならば真っ先に潰しにかかるのが全員の義務になりますね。でないと先ほどのルール違反に抵触することにな…
 ビビルの能力次第では永遠に終わらない。  消えたターンは攻撃が当たらない、能力にクールタイム無しなら、毎ターン消えれば……。  いや、上や左を取られた時点でアウトか、そういうターン制だし……。  そ…
答えは簡単、サヤですね。 ・複数で結託しないと決着しない。 ・心が読めるシンが一方的に有利。 ・シンが勝たせようとするのはサヤ。 と、言う理由です! (`・ω・´)ゞ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ