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第4章 1幕 2 親子漫才

凄まじい爆風が辺り一体を包み込む。

超常的な力を前に死を覚悟した。

その、直後


「「きまっ……」」ぼぉおおおお!!!!


「へ?」


爆風の威力は途轍もないものだった。瞬きをする暇もなく、かの2人と我らゴブリン軍を夥しい量の土埃が襲った。


「み…みな無事か!!!」

「うぅ、目に入ったぁ!!」

「口のなかジャリジャリぃ…」


(良かった…まさか、己の身を犠牲にした自爆攻撃かと思ったが。あくまで示威行為の類だったらしい。)


爆風の中から、あの化け物達の影がうっすらと浮かび上がってきた。


「ゲホッ!ゲホッ!いかん、威力調整をしくじったか!」


(ん?)


「だから言ったじゃない!たかが口上の為に超位魔法使うなんて過剰戦力にも程があるって!!」


(は?超位……え?)


「何を言う!こんな些細なことにこそ強大なチカラを使うことでこそ、我らエルフの素晴らしさを世に知らしめる事ができるのだ!」


「お父さん、それ落ちぶれた下級貴族の考えだから。お父さんは、もうとっくの昔に王族じゃないんだよ?」


「まったく、地位を追われど王族であった事実に変わりはない。良いか、地位は棄てても矜持は捨ててはならんのだ。よく言うじゃないか、”私の心まではなんとやら”と。」


「それは高潔な騎士さんが言う事なの!お父さんのそれは高潔じゃなくて傲慢っていうんだよ?」


「娘よ。王族と言うものは寧ろ傲慢であらねばならんのだ。謙虚でいては大切なものは守れないんだ。故に…」


「はぁ…もう言っちゃうけど、今のお父さんは良い歳こいて気位だけ高い痛いオッサンなの。」


「ガハァッッ!!!」


(なんだこの漫才は…)


「ラ…ラティナ…そこまで言わなくても…うぅ…」


「ご…ごめんね!お父さんの事嫌いじゃないの!ううん、大好きなの!だから、ね?泣かないで?」


「ラ…ラティナァ!!」


「おい!!!」


馬鹿らしすぎてつい怒鳴ってしまった。

仮にも敵を目の前にして何を考えているのだあの親子は。


「なんだ!今いいとこだったのに!!」

「そうよ!親子の感動の仲直りを邪魔しないで!」


「ッ!!」


上位者というのはその力の余り、傲慢になったり色々と難がある奴が多い。我が王もそうだ。まぁ、あれは面倒くさいと言う方が近いか。

だが、このタイプは初めてだ。

この数刻で分かった事がある。


バカなのか?コイツらは


「ギャハハ!!いげんない!いげんない!」

「情けないパッパ!」


部下達は口々に言いたい放題、あの2人を罵っている。

だが、俺の感情は全く逆のもの。余計に恐ろしいと言うか不気味だ。

あの、超常的な力を使用したのは間違いなくあの男。

しかし、その内面が見えて来ない。

まるで、幼子を相手にしている様に警戒心が消えていく事が逆に恐ろしかった。





「さて、充分に時間は稼げたかな?」





「……え?」


今なんと言ったのだコイツは。


「お…おまえい」


「今だ人間ども!!!!!」


その声を皮切りに、2人の後ろから、夥しい数の漆黒の衣に身を包んだ人間達が湧き出てきた。

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