第4章 3幕 10 冷たい
わたしは、ラティナ
ハーフエルフ。年齢は秘密
近所でも話題の超絶美少女
何故なら、お父さんの娘だから
お父さん、ワタシ辛いよ。
寂しいよ….寂しくて、寂しくて
もう、嫌だよ
助けてよ、1人にしないでよ
約束なんて、どうだって良いじゃない
お父さん、お父さん、お父さん、おと…..
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午後17:47
あの女が帰って、2時間と少し。
父が任務に出立してから、既に半日が経過した。
いつもであれば、夕暮れには必ず帰ってきてくれるのに。
きっと、今回の相手が強いんだ。それに、お父さんは致命的な方向音痴。遠くすぎて迷っちゃったんだ。
大丈夫、きっといつも見たいに笑って帰ってきてくれる。
お父さんは最強の”エルフ”なんだもん。
大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫…..だよね?
お父さん、死んでないよね?
午後20:13
まだ、来ない。きっと今回は今までで一番むずかしい任務だったんだ。疲れて帰ったお父さんを”ねぎらって”あげたい。
今日は昔、お父さんの誕生日に作ったシチューを作った。ジャガイモを切った時、うっかり指を切ってしまった。痛い。でもやめない、きっとお腹空いてるはず。
ワタシが作ったシチューは野菜やお肉がお父さんの物と違って、大きさも柔らかさもバラバラだった。
ワタシは恥ずかしくて隠したんだけど、お父さんは大喜びして全部食べてしまった。嬉しくてもっと作ろうとしたけど、お父さんが慌てて止めたからやめた。
もしかしたら、お父さんが止めに来てくれるかもしれない。とめにきてくれる?何を言ってるんだろ….
…….頑張れラティナ!!お前は王族なんだぞ!!凄いんだぞ!!
午後23:23
あ…同じ数字だ。シチューもすっかり冷めちゃった。
お腹空いた。でも、何も食べる気になれない。食べたくない。そと、こいびとかな?たのしそう……
お父さん…….
深夜00:00
……………….
オエッ
午前2:24
う……ヒッ….うん………
う….
午前6:50
もう、とっくに日が出て明るくなった。
街を歩く人々の騒々しい足音と声が聞こえる。
頭がぼーっとする。目がヒリヒリと痛む、頬がベタつき気持ち悪い。なんで、わた……
バタンッ
…..え?
「ごめんなラティナ!!遅くなった!!!」
そこに居たのは、長身で、金髪の混ざった銀髪の長髪に、左右異なる色の瞳をもつエルフ。
父だ。
「お…おとう….さん?」
「お….お前、寝てなかったのか!?ダメだろ寝なきゃ!」
視界が歪む。息が荒れる。溜め込んでいたものが全て出てくる。
「ーーーッッうわあああああああん!!!!!」
「ごめんな、ごめんな。俺が悪かった。ごめんな。」
「なんでよ!なんでいなくなったのよ!!わたし、わたし、ずっと、う……。」
次々に父への理不尽な暴言が濁流のように流れ出てくる。心無い事を言ってしまった。ごめん。でも、でも。我慢できない。私を1人にした父が許せない。帰ってきてくれた父が愛おしい。嬉しい、悲しい、腹立たしい、苦しい。
自分でもどんな感情なのか分からない。
ワタシはただ、父の胸の中で、泣き続けた。




