第4章 3幕 5 ギドラさん
よく考えた結果、この章において
ひいてはこの作品における主人公と娘と人格
及び目的を決定づける途轍もなく重要なパートでした。
なので、番外編から繰り上げです!
結構細かく描いていけたらと思います!
この頃のトレスさんは、本当にイキイキしてますね….
あの人のおかげでこんなにも…..うぅ….
今日もあの女がやってきた。
日を追うにつれ、彼女の私への当たりは強くなっていった。
今回は、昼食と称し腐った牛乳を出された。別に、手を上げれたわけでも無いし、変な話、彼女の教育は全て教科書に則っているモノだった。
父が、母が、ワタシを気遣いそのような排他的な思想の教材を避けてくれていたのだろう。
だから、ワタシは笑う。泣いている姿を、見せるわけには行かない。コイツに良い思いをさせたくない。お父さんはもっと辛いんだ。
でもワタシ、もう人間を好きになれない。
だって、大好きだったお母さんまでワタシは…..
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人間界
ミズガルズ外構 戻らずの滝
ミッドガルドの国境を遥か超えた先にある、この人間界の果て。
そこは、巨大な谷を境に、海に囲われた異形の景色。
こちらからは、水がその滝目掛け濁流のように流れ落ちている。しかし、不思議な事に、このミズガルズの水が絶えることはなかった。
とても不可思議で興味深い景色を、左右の瞳の色が違う長身のエルフが眺めていた。
「ふっざけんじゃねぇドブカスがァァァァ!!!!」
男は怒っていた。
「正気かアイツら、こんな棺桶に入って無事に下層まで行けるわけねぇだろ!てか何だよ、”戻らずの滝”じゃねぇのかよ!戻れるじゃねぇか!底あるじゃねえか!詐欺るなァ!!」
今回の任務は、ミズガルズ下層の滝壺に出現した中級ドラゴンの討伐だった。
やらたと遠方の癖に、相手は-俺からしたら-大した敵では無い。故に男は気付いていた。
「どーせ、なんかやべー奴に俺を当てがって弱体化でもさせようってんだろ。しかも、ご丁寧に支援物資もこんなお粗末どころの話じゃないガラクタよこすとは。」
男は怒りに身を任せ、その棺桶を勢いよく蹴り上げる。
見た目は非常に堅牢そうな、棺であったものの男からすれば薄紅板の工作品程度の意味しかなさなかった。
「支援物資という名の嫌がらせか。やっぱ、”あの時”猶予を与えたのは失敗だったか。アイツらはまぁ気付いてないだろうけどな….」
男は、ある事件を思い出す。今より凡そ100年前に起きた大事件。かつての同僚、そしてその子孫を手にかけてまで守った(事になっている)人類の叡智がこうも愚かだとは。
「まぁ、いいさ。ギドラさんも付き合わせて悪いね。」
男は、虚空に向かってそこに居ない”何か”に語りかける。
「ーーーーーーー!!」
「そういう訳にもいかねぇんだよ。人間…というか人間種は、お前らと違って弱いんだ。烏合の衆で、仲良しこよしのお遊戯会しなきゃいけないの。俺もドラゴンなら、とうの昔に人間の王様だぜ。」
男はワザとらしく人間を蔑むような言い方をする。
この後の戦いの為、相棒の機嫌を損ねる事はしたくない。
半分以上は本心だが。
「ーーーーー….。」
「しょうがねぇよ。半分は俺の責任だ。でも後悔はしてない。こんな奴らでもアイツが守ろうとした世界、種族なんだ。お前も物好きだよな、こんなエルフに付き合ってくれるなんて。」
「ッッ!!!!」
「あ、照れてる照れてる。素直になれっ……ておい、聞いてるか?ギドラ?おーい、ギドラさーん。」
不味い、調子に乗った。こんな、滝壺を風魔法のみで下りよう物なら死ぬことは無いにせよ、莫大な魔力を使う上に要らぬダメージを被る可能性すらある。
「ごめん!すんませんでした!ほら、今度はお前の好きな鯖のムニエル作ってやるからさ。お願いします!哀れなエルフ王子にご慈悲を!!」
「ーーーーー。」
よかった。怒っていた訳ではなかったようだ。どうやら、人を揶揄うことを覚えたらしい。誰に似たのやら。
自分の価値を分かっている強者ほど面倒臭いものはない。
…..評議会の気持ちが少し、わかった。
バシッッッ!!!
勢いよく男は頬を叩く。その勢いで軽い爆風が周囲に広がった。
「待ってろよラティナ。お父さんは負けませんぞ。お前の為に、お前を産んでくれたお母さんの為に、お前を育ててくれた国の為に。」
男はかつての思い出に、自分たちを救ってくれた、受け入れてくれたかつての国への思いを馳せる。
男は、全身を震わせ雄叫びを上げる。
「お父さん、ファイアーーーッッ!!!!!!」
ギドラの口調を皆さんも想像してみてください!!




