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第4章 3幕 4 最高議長

ミッドガルド評議国 最奥 メデューズの間


「議長!流石にやりすぎです!!」


モニター越しに、評議員の1人が怒声を放つ。


「原初2体ですよ!しかも、その一体はかの戦神がやっとの思いで撃退した魔竜です!それなら、まだ良いものの何故わざわざ、竜の巣穴を責め立て此方に呼び寄せるのですか!目的が破綻しています!」


男が怒るのも当然だった。

現在この国には、上位者が事実上1人しかいない。その気なれば、武力を持ってこの国を無理矢理にでも制圧出来てしまうだろう。

だから、議会は奴の唯一の弱点。

“娘”の存在をチラつかせる事で、奴を使い潰そうとしていた。


だが奴は、疲弊するどころか、より効率的に戦う為にその圧倒的な力を効率よく使う術を更に向上させていった。

その為、本来、最上級兵士の1週間前後もかかる任務を1日でこなしていた。


その全ては、娘を1人にしない為。寂しい思いをさせない為だった。

もやはエルフなど関係はない。これ程よい父親も、また人類の守り手もいないのだ。


それを、この男はエルフ王家の手先である可能性を考え、敢えて無理難題を課し、負傷させ弱体化させようとしていた。

仮に死んだとしても、エルフに守られる人類の国家など不要、我らに損はない、というあまりに愚かで傲慢な考えだった。


「お前、あのエルフに絆されたのではあるまいな?よいか、あやつはエルフ。現在、我が国では奴が国民の英雄とされている。だが違うのだ、我らこそが真に国を、ひいては人類を守りし者。奴の人気がこれ以上高まれば、本格的に国家転覆も時間の問題となる。人間の未来の為、あの”悪神”には表舞台から消えてもらわねばならん。」


信じられないほどの耄碌した老害だ。その、古き体制の膿がここに来て出てきているのでは無いか。

意を決して進言する。本当の意味で人類の為に。


「なにが人間至上主義ですか!謹んで申し上げます!今こそその古き体制を改革し、人間種の大連合を作るべきだと愚考します!あのエルフが150年もこの国を守ってきたのです。分かり合えずとも共生は可能なのです!」


頼む。通じてくれ。でなければ、あの男は本当に今度こそ人類を恨む悪神になってしまう。


「はぁ、良いか?人間の強さとはなにか。それは、意思を受け継ぐ力だ。その意思こそがこの大国を、人類を4000年の永きに渡り魔物や亜人どもから守ってきた。君は、突拍子もない考案で人類を危機に陥れようというのかね?」


絶望した。こんなにも、人類は腐敗していたのか。

信じられんことに、私に賛同するものは誰1人としていなかった。

(ふん、どうせ、この評議員の椅子が惜しいだけなのだろう。幻滅、失望。もう良い、人類など一度滅んで仕舞えば良い。……と言えれば良かったのだが)


「議長….恐れながらあといーーーーー」ブツ


男が口を紡いだ瞬間、議会から一つのモニターと、そして音声が完全に途切れたのだった。

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