第4章 2幕 竜狩りの鎧
圧倒的な暴力、上位者の力を目の当たりにした男
ミッドガルド特別国防軍 竜狩りの鎧
その参謀たる”デビッド”が口を紡ぐ
「閣下….」
「ん?」
「何考えてんですかァァァァア!!!!」
長身のエルフ、トレスがやかましいと言わんばかりに耳を塞ぎニヤケ顔とも顰めっ面ともいえない顔をこちらに向ける。
「君が私に戦えと…..」
「だからって加減というか限度ってもんがあるでしょ!貴方1か100しか無いんですか?世界滅ぼす気ですか!?」
「いやいやいや、私如きに世界が滅せたら国防軍いらんだろ?」
たった今その国防軍の最高戦力達を皆殺しにしようとしたのはどこのだれだ!と言う言葉をすんでの所で呑み込む。
「良いですか!現在ミッドガルドには上位者が貴方と娘さんしかいません。コレは由々しき事態なんです。何とか情報を国内に留め他国、他種族からの侵攻を食い止めているものの、最早この国は見せかけだけの風前の灯火なんです!」
ふーんという気の抜けた、何処か他人事の様にも感じられる返事が帰ってきた。
実際、今の状況はとんでもなく不味い。ミッドガルド4000年の歴史が人類最後の砦が劣等種たるエルフに守られているのだから。
約100年前に起きたとされる”軍閥の暴走”。
かつてはこのミッドガルドに、この男も含め5人の上位者がいた。
別勢力で動いていたこの男と、彼を師事していた今は亡き上位者。彼等を除くその他3名が徒党を組み、ミッドガルド征服を目論んだ一大事件。
-神狩りの火-
そう、かの上位者部隊はその創設者が寿命死したのち事実上解散。
それぞれが、独立した勢力を持ち互いに睨み合っていた。
中にはドワーフや”ブラーメン”という種族もいたらしい。
奴らの目的は、ミッドガルド評議員を皆殺しにし、選挙によって国のリーダーを決める共和主義という訳がわからない、愚か極まりない思想だった。
故に、この方とかの御仁が協力し、軍閥を反乱勢力として弾圧。皆殺しとした。
その後、”神狩りの使徒”の後継として創設されたのが
この”竜狩りの鎧”だ。
「このド腐れエルフてめぇ、気でも狂ったか!!!」
「なんど俺達を殺そうとしたよこの劣等種がァ!!!」
「….殺すッ!」
隊員達からは、当然の怒りが湧き出し、かの戦神を蜂の巣にした。
「やかましい!よいか、そこに居たお前達が悪い!弱いお前達が悪い!私は悪くない!!!」
まるで子供じみた暴論だった。
そうだった、この男は閣下だった。
エルフ王家第3王子 トレス・アルフヘイムだった。
「そうよ!お父さんは悪くない!あたし達、別に戦わなくてもいいんだからね!」
いつの間に戻って来たのやら、閣下の娘
ハーフエルフのラティナがそこにはいた。
いつもは、このエルフをコテンパンに-口攻めで-するラティナだが、こう言う場合は絶対に父の味方だった。
「あーあーあー、しかし….うん、しょうがないな。私は強者で君たちは弱者。それに私は王族だ、寛大な心で許してやるのが王族の務めだろう。う…..なんと…なんと私は慈悲深いのだろうか…..。」
「慈悲だね、お父さん!慈悲!」
この娘っ子、時々すんごくバカになるよな。血は争えんと言うものか….しかし王族というのは全員こうなのか?
それともコイツらが上位者だからなのか?
まるで世紀末の様な様子だが、これがこの竜狩りの鎧の
日常だった。




