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22話 テレビ

「ダンジョン協会から依頼ですか?」


 急遽マネージャーさんの鈴木さんから知らせたいことがあると言われて私はシャーロック本社へと来ていた。

 その会議室で鈴木さんが口にしたのはダンジョン協会からのダンジョン探索依頼があるというものであった。


「そうなんです。こちらなんですけど」


 そう言うと鈴木さんが一枚の紙を差し出す。そこには大規模ダンジョンの探索願いと書かれている。


「つい最近、こちらの大規模ダンジョン通称『摩天』内をテレビが生配信で探索者たちを連れて調査するみたいなんです。それで最近話題の茉奈さんにぜひともご出演してほしいとのことでして」


「それって配信はできるんですか?」


「はい、一応何点か注意点はあるんですけど基本的にはできるみたいです。何人かのダンジョン配信者さんが普段のダンジョンを攻略している姿を撮りたいとのことらしいですので。AZUSAさんも出演なさるみたいですし、許可は取っておきましたのでAZUSAさんの楽曲も歌っていただいて良いみたいです」


 私以外にも居るのか。それにAZUSAさんが居るなら私があまり目立つこともないだろうしそんなに緊張しないのかも。

 というかテレビの仕事をしながら配信も出来るって一石二鳥じゃない?


 それにしても大規模ダンジョンか。確か島が丸ごとダンジョン化したっていう奴だよね? 大きいだけあって普通のダンジョンよりも魔物が強いって聞いたことがある。


 テレビってそんなところまで行くんだ。初めて知った。


「茉奈さんはあくまで出演者という事で護衛の星持ちダンジョン探索者たちはいらっしゃいますのでご安心をとのことです。まあ、茉奈さんなら要らないと思いますので、この護衛はテレビスタッフさん達のですね」


「ですが大規模ダンジョンってことはかなり強い魔物が出るのではないですか? 大丈夫なのでしょうか?」


「これまでに何度かやっているみたいですし大丈夫だと思いますよ? それに星持ちの探索者さんが茉奈さんとAZUSAさん含めて四人いるんですからそんなに心配することはないと思いますし」


「そうなんですね」


 何度かやったことがあるなら大丈夫か。そもそもダンジョン配信だってその危険なことを写してるんだし大して変わりはない。


「分かりました。出演します」


「オッケーです! じゃあ返信しておきますね!」


 私が出演を了承すると鈴木さんがウキウキでそう言う。それからこの後のスケジュールなりなんなりを相談してから今日の打ち合わせは終了した。



 ♢



 打ち合わせを終えた後、鈴木さんから今日AZUSAさんが来ているらしいので経験者から何か聞いておきます? と言われてAZUSAさんのところへと向かう事にする。


 会議室を出て少し行ったところにある大部屋にAZUSAさんがティーカップを持ちながら社員さん達と談笑している姿が見える。


 そういえばAZUSAさんと会うの久しぶりだな。本来ならこうして普通に推しと会えるなんて異常だよ?


「すみません、AZUSAさん。ちょっとよろしいですか?」


「うん? おっ、久しぶりだね茉奈ちゃん。それでどうしたんだい鈴木さん?」


「実は今回茉奈さんもテレビ出演することになりまして。出来れば先輩として教えていただければと。ほら、茉奈さんまだ未成年ですしそういうの慣れてないでしょ?」


 鈴木さんは昔からAZUSAさんと仲が良かったらしく若干砕けた口調でAZUSAさんに話しかける。対する私は未だにガッチガチなんだけどね。


「茉奈ちゃんも出るのか。僕で教えられることなら教えてあげるよ。それに新曲についても話しておかないとなって思ったしね。あっでもそれを話すなら白石さんも必要かな?」


「その点は私が居ますので大丈夫かと」


「それもそうか。じゃあここじゃ何だし会議室にでも行こうか」


「はい! お願いします!」


 そうして私は再度会議室でいろいろな話をAZUSAさんから話してもらうのであった。 

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