迎えに来なくてもいいのに><
「未来さん、起きてください……未来さん」
天女のように美しい声(天女の声なんて知りませんが)が聞こえます。
誰でしょう?
でも眠いからもう少しだけ眠らせてほしい。
次第に私の体が揺れています。
むむむ、これはさすがに起きないといけないかしら。
「未来さん、お願いだから起きてください」
美しい天女の声(しつこいですが天女の声なんて知りません)が私を必死に起こそうとしています。
あれこの天女の声……聞き覚えがあるんだけど。
目を開けると泣きそうな表情の麗羅さんがいました。
「あ、麗羅さんおはようございます」
「おはようございます未来さん……ではありませんわ。 授業中先生が何回か起こそうと声をかけられたのに未来さんはまったく起きなくて先生もあきれていらっしゃいましたわよ」
あらら私はそんなに熟睡していんですね。
授業態度で親の呼び出しとかになったらまずいな~
母は大丈夫だけどおじいちゃんにばれると……
うん、今後は起こされたら起きるようにがんばろう。
おせち料理ははいっているような立派なお重箱を持って私の前にいる麗羅さん。
「で、どうしたの麗羅さん。そんなお重箱をもって……あそっかお昼だねすぐ用意するね」
私は慌てて鞄から弁当箱をだし机の上に置き弁当箱を包んでいる布を取ろうとすると麗羅さんが
「未来さん、お昼は生徒会室でいただくんでしょう?」
むむ、覚えていましたか。
忘れた振りをしてぶっちしようと思っていたんですが。
島津先輩には適当に言い訳をしてあやまればいいかと思っていたのに。
ああ、行きたくないな。
仮病で保健室に駆け込もうかしら。
それとも急用ができたと言って麗羅さんだけ行ってもらおうかしら。
うんだめだよね。
麗羅さんが楽しみにしているのにそんなことしちゃだめだよね。
私は重い腰(決して私の体重が重いわけではない。心が重いの)上げ立ち上がろうとすると
「おい未来!! 迎えに来てやったぞ」
教室の入り口で島津先輩が私に手を振りながら私の名を呼んでいる。
いやーやめて! なんで生徒会室で待っててくれないんですか。
「いや、謙信から話をいろいろ聞いていたからもしかしたら逃げるかと思って迎えに来てやったぞ」
逃げませんよだから迎えになんて来ないでくださいよ……確かに逃げようと思っていましたが。
てか声が大きいですよもう少しボリュームをですね抑えていただけないでしょうか。
クラスにいる方々が私を見ているんですよ。
「おい島津もう少し声を抑えろ。一条さんが困っているだろう」
島津先輩の後ろにさわやかイケメンが島津先輩を注意してくれています。
さらさらヘアーに優しそうな目でメガネをかけたイケメンさんです。
そのまま島津先輩を燃えないごみ置き場にでも持って行って下さい。
仕方ない行くのはいやだけどこのままだと目だってしょうがないからさっさと逃げることにしましょう。
私と麗羅さんはお弁当箱を持ちシスコン先輩(島津先輩)が待つ廊下に行く。
「未来早くしろよ!昼休みが終わっちまうだろうが! ……ん、その子は?」
「え、ああ、私の友人で九条麗羅です。 私1人ですとちょっと気後れしそうなので付いてきてもらうことに」
「ああ、九条さん久しぶりだな元気にしていたか?」
「はい、お久しぶりです島津様」
うむ麗羅さんの頬がかなり赤いよ。
これじゃあ麗羅さんが島津先輩に気があるてばれるんじゃないかな。
心配になりそっと島津先輩(シスコン先輩)を見ると特に何も気にしていないようだ。
どうやら麗羅さんの気持ちにきずいていないようです。
「島津はね姉命だから他のことは目に見えないんだよ」
ぎょっ、私の横にいつの間にかさわやかイケメンが立っていました。
「はじめまして一条さん。 僕は生徒会書記で3年の神宮寺恭一郎です。よろしくね」
にこにこと微笑みながら自己紹介する神宮寺さん。
「どうも一条未来です」
「九条さんも久しぶりだね。元気にしていた?」
「はい。神宮寺様もお元気そうでなによりです」
「おし、とりあえず生徒会室に早く行こうぜ。 腹が減って死にそうなんだよ」
私たちは島津先輩にせかされながら生徒会室に向かうことになりました。
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