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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
5章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・ゼデール]上

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96話、異世界で非常食。負けない気持ち

 俺はツナを作ると嫁ちゃん達に伝える。


 すると質問してきた嫁ちゃん達の顔が混乱したような表情へと変化する。


「ツナってなんにゃ? ポワゾンわかるかにゃ?」

「いきなり聞かれても存じ上げません……また、ご主人様の知る料理なのでしょう」


 そんな会話を聞きつつ、俺は並べたテーブルにペーパータオルのロールを次々に置いていく。


 しっかりと食品用アルコールでテーブルを消毒してから、手袋を装備していく。


 手袋をつけた理由は今回は保存食としても考えているからであり、素手で触ることで起こるリスクを避けるためなのでそこは絶対に譲れない。


 嫁ちゃん達にもしっかりと食品加工用の手袋をつけてもらい、俺は改めて準備を開始する。


 簡単な準備を終えてからツナの作り方を説明しつつ、実際に調理をしていく。


 その場の全員が俺に注目する最中、俺は前に使っていたマグロ包丁を【ストレージ】から取り出す。


 すぐに【食材鑑定】【調理器具マスター】【解体】のトリプルスキルでマグロもどきを解体していく。


 今回は解体よりも、下準備に時間がかかるため、全ての解体を俺がやっていく。

 1つわかったのは、やはり、マグロ包丁は、手に馴染むし、なにより素材がマグロもどきだからなのか、しっくりくるな。


 俺自身のマグロに対する経験や知識は少ないが、スキルを駆使することで竜切り包丁の時には感じられなかった。別の感覚が手のひらから全身に流れ込んでくるようだった。


「なんか、オッサン、いつもより解体早くないか?」

「バ、馬鹿野郎! そんな速度で解体したら素材が、傷ついて! え、ない……どうなってんだよ?」


「ミトは、まだ新人さんだからマスターのすごさを知らないの! マスターは本当にすごいの!」

「なにがすごいかは、分からないけど、ドーナのいう通り、確かにすごい野郎なのは、認めてるっての……」


「もう、三人で喋ってないで! ミア、ミト、ドーナ、早く解体された部位を運ぶわよ!」


 ベリーがしっかりと指示を出しながら、俺が解体したマグロもどきを運んでいく。


 最初の一匹を解体してから、すぐに次の作業を説明する。


「まずは、短冊切りにしたマグロもどきの水分を抜き取る。塩を掛けてってくれ」


 俺は短冊状にしたマグロもどきに塩を振り、ペーパータオルで包んでいく。

 嫁ちゃん達も同じように手を動かし、大量の切り身の水抜きが次々にされていく。


「ねぇ。キンザンさん? ツナにするためにどれくらい時間を置くの?」


 ベリーからの質問に俺は少し悩みながらも「30分くらいかな」っと返事をする。


「なら、他のマグロ(もどき)を水抜きしていけば、すぐに最初の方の水抜きが完了するわよ」


 俺は軽く頷き、次々にマグロもどきを解体していく。


 嫁ちゃん達はそんな短冊切りにされた切り身を同様に塩を振り、ペーパータオルを巻く作業を繰り返していく。


 そうして、最初の短冊切りにしたマグロもどきを再度新しいペーパータオルで拭き取っていく。


「ここまでが、下処理なんだ。次からは煮込みになるから、ベリーとポワゾンにも煮込みの管理を手伝ってもらいたいんだ」


「わかったわ、任せてキンザンさん」

「かしこまりました。ご主人様のため、全身全霊で、やらせていただきます」


 俺は部屋の隅に“買い物袋”から大量のサラダ油の一斗缶を取り出して置いていく。


「今からやり方を見せるから見ててくれ」


 まずは水気を取ったマグロもどきを大鍋に並べていく。そして、“スライスしたニンニク”、“黒胡椒の実”、“ローリエの葉”を入れてから油を大鍋に入れていく。


「はにゃ! 油がもったいないにゃ、水で煮たらいいにゃ」


「ニア、こいつは保存食ってやつでな、それに水だと出せない味が引き出せるんだよ。食べるなら、美味い方が嬉しいからな」


「干し肉みたいな、ものかにゃ? なら、干さないとダメにゃ?」


「はは、干し肉もいいが、水に限りがある今は喉が渇く干し肉は辛いだろうし、なにより硬いと皆は食べれないだろ?」


 保存食として、干し肉は最適だろうが、幼い子供や老人には厳しいと思う、それは生のマグロもどきも同様だろう。だからこそ、今はツナを作ると決めたんだ。


 油はマグロもどきが浸るくらい注ぎ、大鍋を火にかける。

 軽く油が煮えて、ふつふつと気泡が浮いてきたらマグロもどきの色も白く変わりだすから、火を極弱火にしてしっかりと全体の色が変わるのを待っていく。


 マグロもどきの色が変わってきたら、ひっくり返す。20分~30分程、極弱火で煮ていく。

 煮ている際もなんどか位置を変えたり、ひっくり返したりが必要になる。


「まぁ、こんな感じでやっていくんだ。大変な作業になるだろうが頼めるか?」


 俺の説明にベリーとポワゾンが頷くと同時に、ミア達も手伝うと言ってくれた。


「なんでボク達には頼まないんだよ! 不公平だぞ!」

「そうにゃ! ニア達は手伝うって決めにゃ!」

「ドーナもやるの! マスターのために頑張るの!」


 プンスカと怒る三人にミトが容赦なく横槍を突き刺す。


「いや、身長的に厳しいからじゃねぇのかな? 嫁大好き野郎からしたら、よく見えない状態で油は使わせたくないんじゃねぇのか?」


 その言葉に三人のチビ嫁がミトに視線を向けてからすぐに俺を睨みつける。


「そうなのかよ! オッサン!」

「きっちり話すにゃ!」

「マスター! ドーナは大人なの!」


 話が一瞬でややこしくなったため、俺は誤魔化しながら、低い長テーブルを“買い物袋”から急ぎ取り出していく。


 実際にミトのいう通り、今マグロもどきのために使っているテーブルはかなり背の高い物になっている。


 そこにカセットコンロを置き、さらに大鍋が置かれているため、三人の身長的に危ないのだ。


 低いテーブルにセットしたカセットコンロ数台を三人に任せることになり、他の嫁ちゃん達も参戦して一気にツナを仕上げていく。


 煮えたツナを冷ましてから、タッパーに入れたら、完成になる。

 極弱火のため、冷めるまでにそんなに時間も掛からない。


 嫁ちゃん達にツナ作りを教えて、実際の作業を任せることにして、俺はその間に廃材やゴミなどを街で回収していく。


 メフィスが素早く回収場所を用意して、部下さん達が街中に知らせてくれたため、すんなりと作業が進み、俺はその足で、レイラホテルに向かう。


 レイラホテルでは、既に大勢の人が集まり、僅かな食糧をもらい、帰って行く姿が見えた。


「おい、レイラ! 大丈夫か」


 入口で食糧を配るレイラに俺が声をかける。


 普段クールなレイラは頭にタオルを巻いて、服も汚れていたが、ニッコリと笑い俺を出迎えてくれた。


「キンちゃん、来てくれたの。ありがとうね」


「おう、大丈夫か」


「大丈夫だよ。それにさ、少しでも皆に食べ物を渡したいからさ」


 レイラは多分、本心でそう言ってるんだな。だからこそ、やっぱり手伝って貰わないとな。


「頼む、今からここでも、ツナを作ってくれないか!」


 俺の発言に不思議そうな顔をするレイラ。


「ツナって、あのツナ? 日本の缶詰の?」


「おう、転生者のレイラならわかるだろうが、生のマグロもどきより、ツナにした方が食べやすいだろうからな」


「よく分からないけど、わかったよ。で、何したらいいのさ?」


 レイラに頼み、仕込み用のスペースをホテルの厨房に用意してもらい、嫁ちゃん達に教えた内容を説明していく。


「へぇ、ツナって、マグロを油で煮るんだ? ごめん、本当に知らなかったわ、まぁ、作り方はわかったから、スキル【アシスタントワーカー】発動」


 レイラのスキルで、大量の料理人達が一斉に姿を現して、ツナ作りを行っていく。


 俺はすぐに必要な油やニンニク等を大量に厨房に出していき、マグロもどきを数体置いていく。


「悪いな、レイラ。頼む」


「任せてよ。キンちゃん!」

「あと、これ、良かったら食べてくれよ」


 俺は酢飯の入ったタッパーと“マグロもどきのわさび醤油漬け”を多めにテーブルに置いた。


「まさか、これ! キンちゃん、あんた前からこんな調理ができたわけ!」


 なぜかすごい勢いで迫られてしまったので、とりあえず、醤油を数本渡すことで許してもらった。


「ありがとう、キンちゃん! 醤油があるなんて、本当に幸せだわ〜」


 こちらの世界は発酵食品なんかの技術はあまり発展していない。むしろ、そういった技術が持ち込まれてないように見える。

 まぁ、転移者や転生者がアニメみたいにそんな知識をバカスカ知ってるわけないだろうから、当然だろう。

 俺もさすがに醤油や味噌の作り方までは知らないからな。


 俺はレイラに『フライデー2号店』に海鮮丼などのために醤油をおろしていた事実は絶対に言わないと誓いながら、レイラホテルを後にした。


 元ドゥム邸に戻ると大量のツナタッパーが綺麗に蓋をされて並べられており、俺の存在に気づいた嫁ちゃん達から声が掛かる。


「キンザンさん、次のマグロもどきを出して、もう置いてあった分は捌いてもらったから」


 ベリーの言葉にマグロもどきを置いていった場所を見ると綺麗に解体されていた。


「すごいな、誰がやったんだ?」


「やったのはニアとミトだにゃ! キンザンより早く解体できるはずにゃ」


 自信満々にそう答えたミアが鼻を鳴らす。


「まぁ、解体屋だからな、それに……たまには、いい姿を見せないとだし……」


 ミトはなんか、声が小さいな?


「みんな、ありがとうな。さっきレイラホテルに寄って、ツナの作り方を教えて来たから、あっちに合流して欲しいんだ。頼めるか?」


「オッサン、任せて、しっかりやるからさ」

「「私達も主様に従います!」」

「マイマスター、早く行こ。皆でやれば早い」


 ミアだけでなく、ペコとグー、ナギもやる気に満ちており、俺は改めて信頼できる嫁ちゃん達に感謝した。


 俺は嫁ちゃん達を連れて、レイラホテルに向かい、その日の晩まで大量のツナを仕込んでいく。


 実際に他の食品として、メフィスに叱られそうだが、小麦粉やジャガイモなんかも配る予定だ。


「あとは、飲み水を何とかしないとな……」


 俺達のできる全力でなんとかしたい。全てを救うことは無理だろうがやるだけやりたい。諦めるより足掻きたいからな。


 災害は何度も経験してんだ。日本人なりの負けん気を見せてやるからな。

読んでくださり感謝いたします。

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