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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
5章 砂漠の街オアシス都市 [ガルド・ゼデール]上

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75話、ロックドラゴン鍋は大人の味?

 ルンダさんと別れの挨拶を済ませて、俺とフライちゃんは『調理師ギルド』を後にする。


 すぐに転送陣を使い、屋敷から砂漠のオアシス都市[ガルド・ゼデール]へと戻る。


 フライちゃんの結界のお陰で、実際はリアルな時間で1時間程度しか経過していない。


 急ぎ『ミトの解体屋』の扉を開き、中へと入る。

 扉が開いた音に視線が集まる。


 無事に戻ったことを喜ぶ嫁ちゃん達に笑いかける。


「ただいま、色々あったけど、ロックドラゴンの件だが、なんとかなりそうだ」


 俺は明るく笑みを浮かべて、報告がてら声を出した。

 ただ、そんな言葉にミトは浮かない顔をしている。

 ミト以外のその場にいた嫁ちゃん達は俺の言葉に安堵したような表情を浮かべていたのでとりあえず、なんとかなる事実を再度伝えていく。


 そんな短い時間で戻ってきた俺とフライちゃんに対してミトは最初同様に諦めたような表情を浮かべていた。


「なんか、ありがとうよ……でも、そんな気休めはいらないよ。ツンケンしたが悪かったな。解体場は諦めるよ……」


 俯き、膝で握り拳を作るその姿は痛々しく、俺は急いで、解体したロックドラゴンの素材をその場に並べていく。


「な、ロック、ロックドラゴン! なんで、え、どうなってんだよ! 答えろよ、不思議野郎!」


 俺をなんとか野郎って言わないと気が済まないのかな、この子?


「まあ、見ての通りだから、解体については問題ないから、安心しろって」


 その言葉にミトは初めて安堵したような表情を浮かべて肩の荷がおりたように膝をついた。


「はは、親父……何とかなりそうだぜ、本当は、諦めてたんだ、だから、本当にありがとうな」


「おう、乗りかかった船だ。とりあえずはやるだけやるからさ、それよりミトさん、今から少し、いいか? まぁ、言わなくても分かるだろうが──」


 真剣な表情でミトを見ながら、俺はそう声をかけるとミトは続きを話す前に言葉を被せて会話を中断させた。


「な、なんだよ……さすがに分かってるよ。いいぜ……奥の解体場で、今からだよな……付き合ってやるよ……」


 さすがに素材を持ってきたからか、なんか汐らしいな? まぁ、話すなら落ち着いて話したいから丁度いいか。


「ただ、他の奴らは待ってろよ! 色男野郎と話してくるから、絶対に入ってくんじゃねぇぞ!」


 ミトが威嚇するように、声を張ると嫁ちゃん達が少しピリついた気がしたので間に入る。


「はは、らしいから、少し待っててくれ、色々やらないといけないからさ、頼むよ。みんな」


 俺の言葉に渋々という表情が半分と苛立ちを顔に出す嫁ちゃん達の姿があり、俺は苦笑いをしながら、頬を指で掻く。


 ミトと共に奥の解体場に入るとそこは思いの他、狭い部屋だった。

 小さなテーブルと仮眠用だろうか、小さなベッドが置かれただけの空間であり、ミトが口にした解体場と言う言葉に対して、あまりに狭い空間だった。


「おいおい、さすがにここじゃ無理だろ?」


「う、うるさいな! ウチの解体場には……ここくらいしか、鍵がかかる部屋が無いんだよ、察しろよ……鈍感野郎」


 話が見えないのでとりあえず、部屋の外に出ようとする。すると後ろからミトに袖を掴まれた。


「お、おい、なんで行くんだよ……」


「なんでって? ほら、この部屋だとできないからさ? ロックドラゴンの解体練習には向かないだろ」

「な、ロックドラゴン……だ? ウチが──この思わせぶり野郎がァァァァっ!」


 俺は容赦なく、いきなりのクリティカルアッパーをくらい、身体と共に意識を飛ばされた。


 とにかく、次に目覚めた時、嫁ちゃん達とミトに見守られていた。


「お! オッサン、大丈夫かよ?」

「何回気絶するのにゃ、本当に悲惨だにゃ……」

「まぁ、今回は不可抗力ばかりだけどね、たしかに、かなり珍しいパターンみたいね……まぁキンザンさんだから、仕方ないわね」


 ミア、ニア、ベリーが話す横で申し訳なさそうに視線を落とすミトの姿があった。


 俺が声を掛けようとした瞬間、ポワゾンとフライちゃんから、なぜか小さな声でしっかりと叱られた。


「いいですか、きんざんさん……女には覚悟を決めた瞬間があるんですよ!」

「ご主人様、前にも話しましたが……女心を学び、恥をかかせず、流れに身を任せることも学んでください。骨は拾って差し上げますから」


 まぁ、そういう流れだったらしいが、俺としてはむしろ、なにもないまま、吹き飛ばされて良かったと思う。


「いや、さすがにそれは卑怯だろ! ミトの気持ちを考えたら、素材を渡したからって、そんな選択することないんだ。可愛い女の子なんだから、自分を大切にしてほしいしな!」


 俺はハッキリと聞こえるようにポワゾンとフライちゃんに話して行く。


「ご主人様、そういう所が一番駄目なところかと……生殺しというか、無慈悲な攻撃と言いますか」


 その言葉に“ハッ”としてミトを見ると真っ赤になり震えていた。


「か、可愛くなんかねぇからな……それに、ちゃんと悩んだんだからな……クソ鈍感野郎」


 なんか、凄い罪悪感だな。だけど、今回は間違いなくミトの気持ちは違う感情だと思うからそういったことはしない。弱みに付け入るのは紳士じゃないからな!


「さて、ミト──今からはマジな話だ。ロックドラゴンを一緒に捌くから俺の言う通りに従ってくれ」


「は? 本気なのかよ、ウチにできるわけねぇだろうが!」


「できるから言ってんだよ。いいから話し聞いてくれよ。失敗したって何回でもやり直せるからさ」


「そんなに言うなら、やってやるよ……できなかったら、お前のせいにするからな……口先野郎って、言うからな……」


 いきなり、大人しい態度になるの何とかならないかな……まぁ、話はついたので、そこからは嫁ちゃん達も巻き込み、ロックドラゴンの解体を実際に行っていく。


「ミト! さっきから言ってんだろうが、力で何とかしようとすんな!」


「うっせぇな! 教え方が下手なんだよ!」


「だから、甲羅を外すまでゆっくり削るんだよ!」


「やってるだろうが! ふん! あ……」


 力を込めたミトの一撃でロックドラゴンの筋が切れて、一気に劣化が始まる。


「またやったな、ミト!」

「え、だから! 無理って言ってんだろ! 話を聞けよ、耳無し野郎!」


 そんなやり取りを繰り返しながら、数時間の解体作業は続き、夜中になるその瞬間までロックドラゴンの解体は続いた。

 俺達は4体のロックドラゴンを解体することに成功していた。


「な、やればできるだろうが?」

「うるせぇよ……こんなしんどい解体、二度と御免だからな……クソ野郎!」


 悪態をつきながら、にっこりとギザ歯を剥き出しに笑い床で寝転ぶミト。


「でも、最高だっただろうが?」


「知らねぇし、でも、悪くない気分だな。スパルタ野郎……へへへ」


 俺達が笑っていると、我慢の限界と言わんばかりに嫁ちゃん達が怖い笑みで俺に迫ってくる。


「オッサン、鼻の下伸ばしすぎだからな、ふん」

「なにが、可愛い子なんだから、自分を大切にだにゃ、しっかり手懐けてるにゃ〜」


 ミアとニアの言葉に嫁ちゃん達が軽く頷くのが見えた。


「なんか、俺の信用が失われてるような気がしてきたわ」


「そんなことないだろうが、勘違い野郎……アンタの女達はアンタしか見てねぇよ」


 その一言に嫁ちゃん達の顔を見るとなぜかそっぽを向かれてしまった。ただ、その頬が微かに赤らめていたので俺も照れくさくなってしまった。


「人の店でイチャついてるんじゃねぇよ、ふん! クソ色ボケ垂らし野郎!」


 ミトが不貞腐れたようにそっぽを向いてしまったので、とりあえず俺なりにその場の空気をなんとかしようとある提案をして見ることにした。


「とりあえず、ミト。解体は成功したことだし調理場を借りてもいいか?」


「あ? 別にいいけどよ……」


 ミトに案内されて調理場に入る。すぐに嫁ちゃん達も調理モードに入り、俺達は即座に調理を開始する。


 食材は勿論──ロックドラゴンだ。

 ただ、一つ怖いのは、地球なら亀にはサルモネラ菌がいることだろう。


 サルモネラ菌、主な症状は、【胃腸炎・敗血症・髄膜炎】と本当にヤバいやつだからな、ガキや爺さんなんかが、これにかかると命に関わるから、しっかりと火を通す必要がある。


 なので、今回はロックドラゴン(亀)の唐揚げと鍋にすることにきめた。


 油の温度を高めに設定して、衣をつけてあげていく。

 見た目は解体したお陰でシンプルなササミのように見える。


 揚げている間に、嫁ちゃん達には鍋の用意をしてもらうことにした。

 野菜を切ってもらい、鍋を火にかけて、昆布と生姜で出汁を取っていく。


 鍋はスッポン鍋を参考に作るので昆布から出汁が取れたら、ネギの緑の部分とロックドラゴンの肉を一緒に煮ていく。


 灰汁が出てきたら丁寧に取っていく。

 スッポンの場合は血が凝固した物になるため、悩まずにとってもいいらしいが、取りすぎない方がいいと言う話も聞いたことがあるので注意して取っていく。


 事実、俺だって、知識はあっても、スッポン料理をするような機会はなかったため、初見プラス、未知との遭遇的な真剣勝負なんだからな。


 そこからは酒や味醂、醤油と日本人好みの味付けをしていき、切った野菜を一緒に煮ていく。


 野菜は定番の白菜やネギ、春菊にキノコ類を選んでいく。不味くなるわけのない最強の鍋部隊と言えるだろう。


 ロックドラゴンの唐揚げを揚げながら、火加減を嫁ちゃん達に管理してもらい、次々に唐揚げを盛り付けていく。


 米を【ストレージ】から出して、ミアとニアが茶碗に米を盛り、ベリーが薬味を刻んでいく。


 つけダレも作るか悩んだが、今回は時間もかかっているため、シンプルにそのまま食べることになる。


 スッポン同様に調理しているため、既に2時間という時間が流れている。


 しかし、誰も文句を言わなかった。みんなロックドラゴンの唐揚げをモシャモシャと摘み食いしているからだ。


 その中にはミトの姿もあり、満面の笑みを浮かべていた。


 長く時間をかけて完成させたロックドラゴン鍋(スッポン鍋風)を器に盛り付けて、長々と待たせた夕食を開始することになる。


 ただ、俺はその前に[カエルム]の2号店に米と必要な食材を届けに行くことになってしまったので、一人、食事のタイミングがズレてしまった。


 戻ると既に食べ始めていた嫁ちゃん達の姿があり、やはり鍋というのは熱いのか、少し火照った顔をしている。

 俺も鍋と唐揚げを食べ始める。最高に美味くできていたのでホッと安心した俺はある事実に気づく。


 そう、これは正しく、スッポンと言える味であり、その効果が即座に身体に現れていたのだ。


 そして、それは嫁ちゃん達とミトも同様であり、俺は嫁ちゃん達に襲われる結果となった。

 

 今回は食材のチョイスを間違えたかもしれない……

読んでくださり感謝いたします。

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