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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
4章 各地を回って食材探し[カエルム]

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67話、久々の開店日はバタバタタイム

 朝になり、久々に迎える店の開店日、気持ちを込めて、伸びをしてから気合いを入れるように声を出す。


「しゃあ! 頑張るか」


 リビングに降りて朝の一服を済ませてから手を洗う。

 嫁ちゃんの中で一番早起きなポワゾンが着替えを済ませて、リビングにやってくる。


「おはよう。ポワゾン」

「ご主人様、おはようございます。早く起きたつもりが申し訳ありません」

 俺が早いだけだが、なぜか謝られるのも開店日特有の流れになっている。


「気にすんなよ。早く目が覚めただけだから」

「皆さんが目覚める前に、その……」


 少し照れたような表情のポワゾンに俺が首を傾げると急に近づかれ、キスをされた。


「え!」

「たまには構ってくれないと、女性は寂しいものなんですからね。皆さんを起こしてきます。ご主人様、あと、好きですよ……」


 そんな小さな最後の囁きに朝からドキドキさせられてしまった。


 朝からポワゾンにこんな形で不意打ちをくらうとは思わなかったな。


 緩んだ表情を引き締めつつ、朝食の支度をしていく。

 今日はやはり気合いを入れたいため、朝から手間だが、親子丼を人数分作っていく。


 なぜ、手間と言ったかというと親子鍋を使えるコンロが少ないからだ。

 つまりは、時間がかかるからというだけの話で、やることが同じなので言うほど手間ではないんだがな。


 米問題も解決した今、悩むことも少なくなってきている。本当に好き勝手な生活になり始めているように感じるな。


 そんなことを考えながら、朝食用の親子丼を作っていく。


 勿論、俺やベリーなんかに関しては普通盛りだが、ミアやナギ達に関しては大盛りが普通のサイズになっている。

 そのため、サイズが様々であり、必要ならフライパンで親子丼を作る感じだ。


 まぁ、朝からバタバタと作り終わる頃には嫁ちゃん達が起きてくる。


 服を着替えたいつもの姿、たまにボタンをかけ間違えたりする姿も見れるのが朝の特権かもしれないな。


「おはよう。みんな、朝食できてるからな」


 そんな言葉にミアが駆け寄ってくる。


「いつもありがとうな。オッサン、そのいつも……感謝してるからな! あと、ポワゾンだけにズルいんだよ」


 そんな一言の後に、朝から2度目のキスをされる。

 一瞬、ポワゾンが親指を“グッ!”としたのが見えた。


 結局、朝食前に可愛い嫁ちゃん達に感謝の言葉とキスが追加され、なんとも情熱的な朝になってしまった。


 時間が瞬く間に流れ、開店時間になる。

 厨房側で油の温度をあげ、品切れになる前にいつでも商品を揚げられるように確認していく。


 既にカウンター側には商品が並び、見やすくしたメニュー表とお客さんに渡した手持ちのメニューを返還するための籠も設置してある。


 案内と列の整理はニアとドーナの2人に担当してもらう。

 会計はやはりベリーになり、商品の受け渡しには初参戦のフライちゃんにも協力してもらう。


 注文を取る係はポワゾンとミアに頼み、詰め込みにはペコとグーの2人に任せていく。


 そして、前回バタバタした厨房から商品を運ぶ係はナギに任せることになる。


 全体のサポートと追加注文を俺が担当していく、改めて店の看板がオープンに代わる。


 予想よりも客足は減っておらず、むしろ、先週休んでしまったせいだろうか、一人一人の注文の量がかなり多かったため、焦りを感じた俺は早々に仕込んでいた種を揚げていく。


 やはりと、いうべきだろうか表から「オーコロ合計30、オーダー! まだまだ来るぞ」っとミアの声が響く。


 それを聞いて、どんどんオーコロを揚げていく。


「ご主人様、アジャフライとイカフライもお願いします。皆さんが次々に頼まれて足りなくなりそうです」


「え! まじか、少し待ってくれよ」


 予想外の反響に俺は次に頼まれた2種類を揚げていく。


 イカフライは早い話がイカリングだ。なので大量に揚げられるが場所が足りなくなっていく。


 急いで、次々に揚げていき、早々に次の油にも火を入れていく。

 朝だからと油断して、2つ目のフライヤーに火を入れて無かった俺のミスだと早くも反省点が浮き彫りになる。


 問題点を反省しつつ、作業に集中していき、追加分のフライを揚げていく。


「ナギ! 揚げたてのトレーは熱いから気をつけて運んでくれ」

「わかった。マイマスター、熱くても頑張る。問題ない」


 そんなナギの反応に若干の心配をしつつ、盛大に揚げ物を揚げては提供する。


「キンザンさん、レジがパンクしちゃうわよ! 手伝って、流石に1人じゃ無理よ!」


「フライちゃん! ごめん、ベリーのサポートに入れるか!」

「了解です。すぐに向かうのです」


 商品の受け渡しポジションにはナギを移動させることにして全体的に安定した。


 新たな改善点が見えたため、メモをしたいが、そんな時間すらないくらいに繁盛してるってんだから、嬉しい悲鳴だ。


「マ、マスター! タルタルがなくなるの! 大変なの!」


「はぁっ! タルタルが無くなった、それは販売終了の札を出してくれ!」


 最悪、どこかで仕込み直すか、いや、こんなことしてる余裕はないか、売れないと考えたのがまずかったか、予想外すぎるな!


「タルタルは完売、ただ、もっと少なくてもいいなら、さらにミニサイズを出すから! 味は違うがそれでいいか聞いてくれ!」


 咄嗟の思いつきで罪悪感はあったが『お弁当用ミニタルタルソースちゃん』を“買い物袋”から取り出していく。


「正直、転売みたいな真似はしたくなかった……ただ、普通のやつは金取って、これは取らないってワケにいかねえんだよーーーー!」


 とりあえず、後半戦の『お弁当用ミニタルタルソースちゃん』の分は本体価格約900円分を差し引いて、あとは孤児院に寄付することを決めた。


 とにかく、今回は前回、臨時休業しちまった分、なるべくお客の要望に答えてやりたい。足りなかったのは自分のミスなんで、利益とかは度外視だ!


 午前中は客が途切れることなく続き、予定した量を遥かに超える注文数だったため、フライちゃんに1日1回しか使えない結界を使ってもらい、2度目の仕込みを行う結果になった。


 流石の俺もこんなに皆が揚げもんを買いに来るなんて思ってもみなかったため、度肝を抜かれた。


 ただ、帰ってくお客の笑顔や「また来るよ」「次も楽しみにしてるね」と声をかけられるため、素直に感謝しかない。


 ダサい話になるが、学生時代の俺は昼ピークの飲食店で「また来たのかよ!」とお客に悪態をついていた時期もある。

 今更だが、成長したと感じる瞬間だった。


 昼が過ぎて、若干だが客足が落ち着いてきたので、2人ずつ、昼飯を食べてもらうことにした。

 順番的にはドーナとポワゾンから始まり、ペコ、グーと繋がり、各嫁ちゃん達が食べていき、最後に俺とベリーが食べる流れになる。


 みんなで食べれないのは残念だが、既に1食は結界内で食べているため、文句はでなかった。


 今回はメニューはカレーにしてある。

 理由としてはカツカレーにしたかったからだ。


 揚げもん屋のカツカレーなんて少し贅沢な感じするからな、俺も嫁ちゃん達もカレーに関しては好みはあるが、辛さを後から弄れるため、美味しそうに食べてくれた。


 そして、夜の18時を知らせる鐘がなり、『揚げもん屋フライデー』は最後のお客を見送り閉店した。


 最後の方は注文を聞いてなければ待ってもらい。追加で揚げる形になっていたが、それでも問題なく待ってくれるお客さんばかりであり、本当に嬉しく思う。


「みんな、お疲れ様だな」


 俺がにっこり笑うと、疲れはてた嫁ちゃん達からも笑顔が帰ってきたのでホッとした。


 夕食はあっさりとしたメニューで、お茶漬けと漬け物、余ったお刺身と言った形になり、揚げ物ばかりを見ていた嫁ちゃん達も不思議と食欲が出たらしい。


 ハードな1日だったが、悪くない終わりになった。


「次はもう少し、タルタルソースを作らないとな、代用は今回だけにしたいしな」


「オッサン、タルタルソースだけは“買い物袋”で出せるようにしたらいいじゃんかよ?」


「それはズルくないか、なんか、不正してるみたいな」


「いや、無くなった時だけにしてさ、元々の量を増やして、無くなった時だけ出せばよくない?」


 ミアの提案に俺が悩んでいるとベリーからも声がかかる。


「いいんじゃない? 毎回、作った物を出せるようにしてあげたら味も変わらないわけだし? 悪くない話だと思うわよ」


 悩んだが、今は保留にしようと決めた。

 ただ、本当に足りなくなるのだから、悩ましい問題だな。


 それから明日の予定だが、朝から2号店に米を届けたりとやることは山積みだから、頑張らないとな。


 外に出てから、ポケットから煙草を取り出し、“ガチャ”とライターを鳴らす、ゆっくりと肺に白い煙をおくり、一日を振り返りながら煙を吐き出し、今日も終わったなと一人、空を見上げた。

読んでくださり感謝いたします。

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