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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
3章 料理の道、キンザンのこだわり

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46話、みんなの好きなメニューを聞いてみた。

 一旦、フライちゃんとの会話を中断させて、しっかりと麻婆豆腐を食べてもらってから、部屋について質問する。


「なんで、こんなに真っ暗なんだ? 調理中は逆に便利だったが、流石にコレはな……」


 周囲を軽く見渡してから、視線をフライちゃんに向ける。


「ですよね……私の力は、さっき殆ど使い切ってしまったのですよ……本当に駄目な女神でしたね……」


「でした……って、本当に何があったんだ?」

「うぅぅ……私、私、本当に女神じゃなくなってしまって……」


 話を聞いていけば、光輝く部屋そのものが女神としての力で保たれた世界であり、力を失った女神には輝きすら与えられない。

 だから、完全に力を失う前に俺達に会いに来てくれたらしい。

 本来なら、まだまだ力を保てたはずだった……


「それなのに……力を使ったのか……」

「だって、皆さん……お出かけを楽しみにしてましたから……少しだけ女神らしい事をしたかったんです……へへ……」


 バカ野郎……女神だとか、何とかじゃないだろう……自分が全部失ったら、なんの意味もねぇじゃないかよ。


「あはは……手厳しい意見ですね……最後まで駄目な女神ですね」


「違ぇよ……違うんだよ……フライちゃんさ、頑張りすぎなんだよ。もっと自分を大切にしてくれよ、女神とか他人とか関係なくさ、頑張り過ぎないで生きてくれよ!」


「そうできたら、きっと……もう遅いかも知れませんが違った未来もあったんですかね……ただ、転生と転移の女神としての力は無くなっちゃいましたから」


 切なげに俯くフライちゃんの姿があった。


「なら、今から始めたらいいんだよ。いつでも人は止まらなければ変われるんだ。だから、諦めないでくれ……」


「女神をクビになった初めての存在でもですか?」

「クビなんて、俺も経験したさ、まあ女神様と責任の重さが違うけどな」


「分かりました。なら私も今日から変わります。だから女神フライとしてじゃなく“一人のフライ”として、扱ってくれますか?」


「ああ、そのつもりだ。だからとりあえず、目を覚ましてくれるか?」


「分かりました。約束ですよ……破ったら本当に引き回しにしちゃいますからね……」


 発言が物騒なのが気になるけど……フライちゃんが少しでも元気になるならそれが一番だと思う。


「先にきんざんさんにお伝えしておきますね。私は自分で生きる為に頑張るつもりです」


「大丈夫なのかよ? フライちゃん一人だと色々と大変だと思うんだが」


「それでもですよ」


「無邪気に笑うと心配してる俺が過保護みたいに見えるな」


「ですね……きんざんさんは過保護さんですね。そろそろ起きますね。あちらでまた話しましょう」


 優しそうな笑みを浮かべると、フライちゃんはその場から姿を消していく。


 そして、俺の身体も光に包まれると最初に座っていた別室で意識を取り戻す。


「相変わらず、時間は進んでないみたいだな?」


 廊下を進んでいく。フライちゃんが目覚めているかを早く確認したいからだ。


「あ、オッサン、さっき凄い勢いで居なくなったと思ったら、忘れ物か?」

「キンザンは、相変わらずのうっかりさんだにゃ」


「違うから、そろそろ、フライちゃんが目覚める筈だから戻って来たんだよ」


 とりあえず、扉をノックしてから返事が返ってきたので室内に入る。


「キンザンさん。どうしたのよ?」

「いや、そろそろフライちゃんが目覚める気がしてな」


 そんな会話をしている最中、フライちゃんの眠るベッドがガサゴソと動き出す。


「み、皆さん、ご迷惑をおかけしました……」

 起き上がって直ぐにフライちゃんはベッドから立ち上がるとその場の全員へと頭を下げた。


 そこから皆を連れて、リビングへと移動する。


 嫁ちゃん達が心配そうにフライちゃんを囲み、質問と安堵の言葉を伝えていく。


 僅かに困った表情を浮かべているが、嬉しそうにも見えるので、そのまま見守ることにした。


 質問が終わり、一息入れる為に『夜の紅茶ストレートティー』をヤカンに注いで軽く湯気が出るくらいに温めてから人数分のマグカップを用意して注いでいく。


 テーブルに並べて皆で飲んでいく。


「お、美味しいですね……凄くバランスがいいですし! びっくりですね」


 そんなフライちゃんの発言になぜかミアが嬉しそうに口を開く。


「だろう! ボク達のオッサンは見た目はヒョロヒョロだけど、頼りになるし、料理は美味いし……男らしい時もあるしな……」


 なんか、褒められてるなぁ、照れ臭いんだが。


「知ってますよ。きんざんさんは、麻婆豆腐が最高なんですよ」


「ん? まあぼぅどぅうふ? 聞いたことない料理なんだけど! オッサン、説明しろよ! 食べたことない料理が出てきてんじゃん!」


 そんなミアに追い討ちをかける一言が発せられる。


「ニアはバーベキューとちゃんちゃん焼きが好きだにゃ」

「ドーナは、逃げないそうめんなの!」

「何よ、2人ともお茶漬けだって美味しいじゃないのよ?」


「ワタシもベリー様に賛同です……お茶漬けは思考の味でした 」


「「私達は……カルボナーラが好きです……」」


 ペコとグーまで、参戦か……

 ちらっとミアを見ると悔しそうに拳を握りプルプルさせていた。


「はぁ、全部また作るから、仲間はずれとかじゃないからな、ミアほら、機嫌なおせよ。あーん」


 慣れた手つきで、飴玉を取り出し、ミアの口に向ける。

「ふん、し、仕方ないなぁ……あーん」っと口を開くミアの口の中に飴玉を優しく入れていく。


 軽く機嫌がなおったのを確認してから、嫁ちゃん達に視線を向けると皆が少し火照ったような表情で俺とミアの行動を見つめていた。


「私達がいるのにずるいわよ? キンザンさん」

「にゃにゃにゃ……ミアが一番キンザンから、“あーん”されてるにゃ」

「ニアちゃん、ドーナがしてあげるの、大丈夫なの」

「優しいにゃ〜ありがとうにゃ」


 そんな会話を聴きながら、フライちゃんに俺は質問をする。


「フライちゃん、もう一回になるが、麻婆豆腐食べれるか? 嫌なら他のメニューにするが?」


「また食べれるんですか! 食べます!」


 その答えに軽く頷くと俺は厨房に向かい、“買い物袋”から食材をチョイスしてフライパンで麻婆豆腐を作っていく。


 因みに米はチャーハンにすることにした。

 なんちゃって中華なら、餃子なんかも焼きたいが、今回は麻婆豆腐が主役の為、餃子君には御遠慮してもらった。


 厨房からは、街中華を意識する俺の激しい中華鍋を振るう音が響きだし、フライパンで作る麻婆豆腐と中華鍋が勢いよく炎に包まれていく。


 チャーハンは焼飯なんていう場合があるが、炎に米をくぐらせて行くんだから、本当によく出来た言葉だと思うよ。


 素早く中華鍋で2人前ずつ、チャーハンを炒めて皿に盛り付けていく。

 因みにチャーハンの具材はシンプルに玉子、ネギ、オーク肉、刻んだ紅生姜といったものになる。

 本来は海老とかチャーシューなんかも入れたいが、ワガママはよくないよな。


 ただ、玉子を使うと未だにミアやニアからは驚かれるんだよな。


 そんな、こんなでチャーハンと麻婆豆腐が完成した、余った片栗粉と玉子を使い玉子スープも作っていく。


 ここまでやったら、唐揚げも作りたくなってきたな。


「なあ、皆? 薄味になっちまうかもしれないが、唐揚げとかも作るか?」


「「「作る (にゃ〜)(なの〜)ッ!」」」

 嫁ちゃん達、全員から言われたのでラビカラ用の肉を気持ち大きめにカットしていく。

 カットした肉にフォークを使って穴を数箇所開けてから、塩コショウを力強く揉んでいく。


 ニンニク、蜂蜜、卵黄、焼肉のタレを入れて更に揉んでいき、最後に片栗粉をまぶしてから、中火の油へと入れていく。


 揚げ時間は170度で3分、そこから次々に揚げては次の唐揚げを入れていき、最初の唐揚げを4〜5分バットにあげて休ませてから、二度揚げとして180度から190度の油に入れて1、2分程度、揚げていく。


 揚がった物を小皿に3個ずつのせていけば、完成になる。

 竜田揚げにも見えるが、どちらにしても上手く揚がった事実に大満足だな。


「さぁ、皆、今日は街中華風だぞ。食べてくれ!」


 料理を食べる皆の姿がやっぱり最高だった。素直な「美味い!」や「最高だにゃ」など本当にシンプルな感想だが、そんな言葉に俺は癒されてるんだなと改めて感じた。

読んでくださり感謝いたします。

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