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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
3章 料理の道、キンザンのこだわり

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40話、狩りとカレーと寝顔と笑顔

 昨日の宝石店でのプレゼントから一日が過ぎた。


 ペコとグーの装備が整ったため、今日は朝から[森の入り口]から[森の終わり]までの間を周回することにする。


 森の中を歩きながら、角ウサギを探していく。


 ゴブリンなんかだと食えないし、できたら食材になるモンスターがいいからな。


 俺達の視線の先に角ウサギを発見して、すぐに2人が動き出す。


 ただ、2人の動きは動作が大きく、角ウサギはその姿に慌てて逃げ出してしまう。


「あ、あぁぁ」

「逃げられた……」


 2人が凹む姿に、俺も頬を指でポリポリと掻くほかなかった。


「まぁ、焦らない事だな、近づく時はなるべく音を殺して、静かに近づくんだ」


 軽くアドバイスを入れつつ、次に見つけた角ウサギにミアとニアが手本を見せるように接近し、音も無く迫り、一瞬の隙に双剣と鋭い爪で仕留めていく。


「「凄い!」」と、ペコとグーが同時に声を出すと、ミアとニアが音を出さずに接近するコツを優しく話していく。


 2人も説明をしっかりと聞いて返事をする姿に嬉しさを感じる。

 改めて、2人が変わったんだと実感している俺は、何処か、オッサンくさいな、まぁオッサンなんだが。


 そこから、昼過ぎまで実戦練習として、ミアとニアの指導のもと、角ウサギ狩りを続けていく。


 俺はベリー、ポワゾン、ドーナの3人と共に、いつも同様に川辺の拠点で昼食の用意を開始する。


 前回、食べ損ねたカレーを全力で作るつもりだ。


 今回は“買い物袋”で牛肉を使っていく事にして、煮込み用の肉を取り出していく。

 値段は秘密だが、かなりお高いお肉をチョイスさせてもらった。


 カレーはケチるより豪快で欲張りに作る方が美味しいからな。


 フライパンでカットしてある牛肉を炒めていく。肉の表面が焼けてきてから皿に肉を移して、次に野菜をカットしていく。


 ここでの問題は、ジャガイモの切り方戦争だろうか……


 キャンプ気分なら、野菜はゴロゴロカットにしていきたいが中には別の意見もあったりする。


 ジャガイモは小さくカットした方がいいという、ちびシャガ派。


 ジャガイモは粉々のドロドロにしないと許さんという、ドロドロ派。


 ジャガイモは別で炒めてから後乗せホクホク派など、多種多様、十人十色のこだわりがあるだろう。


 ジャガイモ1つで家庭の食卓が戦場へと変化すると考えると、安易に手を出せない食材の1つだ。


「ベ、ベリー……どうしたらいいと思う?」

「え、何がよ?」

「ジャガイモの切り方だ……」

「珍しい質問ね……キンザンさんなら、悩まないと思ったけど? 一口サイズでいいんじゃない?」


 あっさりと答えられたので、ホッと一安心して横を見るとドーナがジャガイモの塊を真っ二つにした状態で渡してきた。


「ドーナは、小さいから、デッカイのを食べて大きくなるの! だからコレも入れて欲しいの〜」


「わ、わかった。入れるよ」


 純粋にドーナの意見を聞いて、一口サイズのジャガイモとゴロゴロカットにされた二種類のジャガイモをフライパンに並べていく。


 火の通りが違うため、先に一口サイズのジャガイモに火が通った時点で皿に移し、その後、デカイジャガイモに火をしっかりと通していく。


 ジャガイモを調理しながら横で別のフライパンを火に掛けていき、人参と玉ねぎなどの他の野菜もカットしてからフライパンで炒めていく。


 必殺の二刀流だな。まぁ火加減なんかを見ながらだから普通にやるのは逆効果なんだが、俺には【調理器具マスター】があるため、なんら苦にはならない。


 ついでに言えば【食材鑑定】で野菜の火の通り加減などの管理が完璧に行える。


 二つのフライパンを操りながら、野菜を完璧に仕上げていく。


 そこから、巨大な寸胴鍋(ずんどうなべ)を用意して、具材を移してから水を加えていくことになる。


 具材を煮込み、アクを抜きながらしっかりと馴染ませていく。

 この際に別に鍋を用意して、野菜の皮をネットに入れて煮込んでいき、水と同量を煮出したら、その煮汁を鍋に加えていく。これがいい味を出してくれるらしい。


 らしいってのは、今回が初の試みなんだよな……


 そして、カレールーを入れていく。こだわるなら、1からスパイスを調合するのもいいが、そうなるとかなりバランスを気にしないといけなくなるからな、キャンプ飯には市販のルーをオススメするな。


「キンザンさん、なんか顔が真剣ね?」

「ご主人様の真剣な表情は料理でしか見れませんね」

「イケおじなの〜!」


 ヒデェいいようだな……俺の印象ってそんな感じなのか?


 気を取り直して、そこから俺は自衛隊でお馴染みの『雪子印のうんめぇ〜牛乳』を入れていく。

 この甘さでコーヒーなんだから、びっくりだな。


 さらにインスタントコーヒーと黒糖かりん糖もぶち込んでいく。

 量は好みになるから、味見しながら入れるのがオススメだな。


 隠し味を入れたら焦がさないように混ぜていく。


 簡単に見えて、カレーはチャーハンと同じくらい極めるのが難しいってのが俺の自論だな。


「いい匂いがしてきたな。ベリー、混ぜるのを頼んでいいか?」

「構わないわよ。キンザンさんはご飯の用意かしら?」


 俺は頷くといつも通り、飯盒で米を炊いていくことにする。


 その間に、ポワゾンとドーナがサラダを作り、昼食が次第にできあがっていく。


「よし、これで準備はできたな。あとは全員が揃ったら、ご飯だな」


「キンザンさんは、本当に料理が好きよね? 女性より、料理を選ぶ男性もいるって言うくらいだから、本当に心配になるわ」


「大丈夫ですよ。ご主人様は欲望に負けやすく、意思が弱いですから、色仕掛けをしてやればイチコロです」


「そうなの? ベリーちゃん? マスター、やられちゃうの!」


「意味が違うわよ、ドーナ落ち着きなさい」


「お前らなぁ、俺はなんか悲しいぞ……まったく」


 盛り上がる3人の話を右から左に流しながら、俺はテーブルに料理を並べていき、ミア達の帰りを待つことにした。


 それから僅かな時間が経過すると、林の奥から、大量の角ウサギを木の棒に縛り肩に担いだミア達が戻ってきた。


 全身が泥だらけで驚いた。しかし、それだけ真剣に頑張れた証だな。


 着替えを【ストレージ】から取り出して、手渡すと4人をポワゾンに任せて着替えさせてもらう。


 毎度の事で慣れたせいか、【ストレージ】には全員の予備の服が詰められた袋が幾つか入れてある。


 準備を怠って、前回はドキッとさせられたので、これは学びだ。


 泥だらけの服を軽くみんなで洗ってから木に紐を縛り干していく。


 全員が戻ってくるまでに俺は簡単なデザートの作成を開始する。

 カレーには、やっぱりフルーツとヨーグルトミックスだな。

 言い方はあれだが、フルーツポンチにヨーグルトを混ぜてやっただけの簡単なデザートだが、ヨーグルトその物がない世界では、かなり贅沢なのかもしれないな。


「よし、キンザン特製カレーだ。みんな食べてくれ。いただきます!」

「「「いただきます!」」」


 元気のいい挨拶と共に、一斉にカレーを食べ始めるとその顔は幸せな表情や辛さにびっくりする表情、そこからの至福な表情は見てて幸せだな。


「辛いにゃ〜美味いにゃ〜不思議だにゃ!」

「ニアもか、これ本当に見た目は悪いけど美味いよな!」

「見た目は言わないなの〜辛うまなの〜」


 まぁ、こんな感じで、前回は甘口カレーだったが、今回は中辛にしてある為か、色々と騒がしい昼食になっていく。


 サラダとカレーを全員が食べ終わりいよいよ、フルーツヨーグルトを【ストレージ】から取り出していく。


「デザートだぞ。みんなに今から配るから、仲良く食べろよ」


 小さな器にお玉ですくい上げたフルーツヨーグルトを一杯ずつ流し入れて渡していく。


 スプーンを手に嫁ちゃん達がワクワクしながら、最初の一口をすくい上げて口に入れていく。


 そこからの喜びと驚きに満ちた顔に俺は満足していたが、ペコが俺の顔を見て、悩んだ表情を浮かべていたので聞いてみる。


「どうしたんだ?」

「あ、あの……主様、カ、カレー……カレーをもう少し、その……」

「ああ、わかった。グーの分も入れてやるから、皿を貸してみな」

「あ、あ、ありがとうございます」


 ペコとグーの皿にご飯とカレーを入れていく。


「気に入ったなら嬉しいぞ。しっかり食えよ」

「「はい!」」


 そこから、嫁ちゃん達、全員がもう一杯ずつカレーを食べてくれた。


 カレーは大人気に終わり、片付けた後に、嫁ちゃん達は軽く昼寝をしている。


 カレーで繋ぐ笑顔があるんだから、カレーは幸せの味だって話もあながち嘘じゃないのかもしれないな。


 嫁ちゃん達の寝顔を見つつ、そんな事を考える昼下がり、俺は大きめの石に腰掛けて煙草に火をつける。


 こんな時間が本当の幸せなんだと改めて感じつつ、昼下がりの煙草を楽しむことにした。

読んでくださり感謝いたします。

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