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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
3章 料理の道、キンザンのこだわり

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34話、コカトリスVSオッサン・カレーとバーベキュー

 初めて見たコカトリスは、サイズこそニワトリと変わらない。

 だが、くちばしから生えた複数のギザギザの歯、青い眼球、全身は白い毛に覆われていて、違いはあれど、姿だけなら本当にニワトリそのままだ。


 しかし、俺の知るニワトリと違うのは尻尾があり、その尻尾が蛇になっていることだった。


 よく見れば、最初にやられたオークが完全に石になっており、残されたオーク達は逃げるに逃げられない状況になっていた。


 逃げようとすれば逃げることは出来るのだろうが、背後からいつ石化されるか分からないんだ、どうしようもないよな。


 俺もゆっくり見物って訳にはいかないな、どうするか……


「たく、オークジェネラルの次はコカトリスか……ただ、群れじゃないのが救いだな……」


 俺にある選択肢は2つだな。


 1つ目、嫁ちゃん達を連れて逃げる。これが一番楽だし、確実に安全が確保される選択だ。


 2つ目、戦って、コカトリスを倒す。正直、戦ったことのない相手に、いい選択とは言えないが、[森の終わり]であるこの場所に居座られるのは勘弁だ。


「どちらにしたもんかな……まったく、楽しいキャンプ気分が台無しだな」


 そんな風に考えているとコカトリスが動き出す。


「ギャアアアッ!」と、声を上げながら、一体のオークへと飛び掛った。


 オークも棍棒を振り回しながら、必死に抵抗するが、全て回避されてしまう。


「プキャアッ!」と棍棒を振り下ろした瞬間、尻尾側の蛇が口を開き、球体状の液体を発射する。


 それを浴びたオークが瞬く間に石に変わっていく。


 それを合図に最後のオークが棍棒を振るうが回避されていく。

 しかし、射程範囲だろうに、コカトリスは毒を使おうとはせずに、回避に専念しているように見える。


「石化の毒は連発できないのか? 最初のオークから多分、五分くらいで、次のオークに放ってたな……」


 考えを確かめるようにだいたいの時間を数えながら、戦闘を隠れて見守る。


 そして、石化の液体がオークに放たれる。


「時間で考えるなら、五分か……なら行くしかねぇなッ!」


 素早くその場から、立ち上がり、一気に【身体強化】を発動させる。


 予期せぬ俺の存在にコカトリスの動きが微かに鈍った瞬間、俺は竜切り包丁を全力で振り放った。


 ギリギリで回避されたが、すぐに【リミットカット】を発動すると片手で振り下ろしたばかりの竜切り包丁を振り上げる。


 勢いのままに振り上げた刃がコカトリスの尻尾へと直撃する。


「ギャアアアアアアッ!」と馬鹿でかい声が森に鳴り響く。


「仲良く、吹き飛べえぇぇぇぇぇぇぇッ!」


 その勢いのままに、竜切り包丁を横に振ると分厚い鉄板に殴られたコカトリスが吹き飛び、木に直撃する。


「よっしゃ」とガッツポーズをしてから、すぐにコカトリスへと走り、首を確実に切断する。


 一安心して、コカトリスを【ストレージ】に収納しようとした瞬間だった。

 俺の靴に“ベチャッ”と、何かが破裂したような音が鳴る。


 慌てて確認すると、口を開いて息絶えた蛇の頭があり、すぐに俺は靴を脱ぎ捨てる。


 靴はすぐに石化してしまい、俺は恐怖を感じずにはいられなかった。


「危ねぇ……もし、肌に触れてたらやばかったな」


 息絶えたと分かっていても警戒しつつ、蛇の頭を【ストレージ】へと収納する。


 改めて、銅像のような姿のオークに視線を向ける。


「どうなってんのか分からないが……【食材鑑定】っと」


 鑑定した結果は、反応が僅かにあるが『食用不可』の文字が表示されている。

 食べられる食材なら切り方や〆方なんかが表示されるため、残念ながら、オークは全滅だった。


「はぁ、せっかく三体もいたのに残念だな……」


 その場にあった石に座り、煙草に火をつける。


 改めて、生きてることに感謝しながら、石にされたオーク達を見ていた。


「もしかしたら、俺も森の石像コレクションの仲間入りだったかもしれないな」


 煙を吐きながら、軽く呟いて、吸殻を“リサイクル袋”に入れる。


「さすがに吸殻は、“リサイクル袋”でも何も出ないわな、さて戻るか」


 そう思って立ち上がった瞬間、目の前に転がっていた石化したオークが微かに動いたように感じた。


「次はなんだ? 【食材鑑定】」


 慌てて、鑑定を行うと、先程よりも肉の部分が増えているのが分かり、その部分が次第に広がっていく。


「さすがにファンタジー……俺の知ってるコカトリスさんは、石にされたら、人生終了のアラーム付きなんだが、違うらしいな」


 そして、一番最初に石化されたオークの腕が上がり、石化が砕かれる。


 そこから、顔についた、石化を剥がしていくオークを頭上で眺めつつ、竜切り包丁を構える。


「お前らついてないよな……石化の次は、食材化だもんな……」


「ぷぎゃ?」という声を無視して、あっさりと頭部を落とさせてもらい、【解体】で一気に食用オークになってもらった。


「次は先に試してみるか……恨むなよ」


 石化されたままのオークの一体に竜切り包丁を当て、首を切断する。


 竜切り包丁はまるで大根でも切ったかのような手応えで、石化された首を容易く切り落とした。


「相変わらず、エグい切れ味だな……はぁ、さて、どうなるかな?」


 石化されたまま首を切断されたオークは時間が経つと元に戻り【食材鑑定】でも『食用可』の文字が表示された。


 その為、最後のオークも同じように切断してから、石化が解除された後に【解体】で肉になってもらった。


「普通の奴なら、こんな冷静に【解体】だのなんだの、出来ないんだろうな……改めてブラック企業時代の闇を感じるわなぁ」


 3体のオークとコカトリスを仕留めたので、大人しく嫁ちゃん達が待つ、拠点へと戻ることにする。


 拠点に到着すると、警戒した様子の嫁ちゃん達の姿があった。


「なんかあったのか?」


 とりあえず、ベリーに質問する。


「キンザンさん、無事だったのね、早くコレを飲んで、話はそれからよ」


 そう言われて緑色の液体が入った瓶を手渡される。


「飲む前にこりゃなんだ?」


 さすがに渋い顔になる。渡された液体は青汁を十倍濃くしたような色の液体だったからだ。


「それは、コカトリスの石化を防ぐための石化解除ポーションよ。さっきまでコカトリスの声が森で聞こえてたでしょ?」


 つまり、ここまでコカトリスの声が響いてたから、みんな警戒してるんだな。


「なぁ、ベリー? これって高いのか?」

「え、まぁそれなりにするわね、安くはないわよ?」

「なら、大銅貨1枚で売るって言ってくれ」

「え、あ、わかったわ。大銅貨1枚で売るわ」


 改めて、ベリーから石化解除ポーションを受け取り、“買い物袋”から取り出してみる。

 問題なく取り出せた事で無事に買えたことがわかった。


「なぁ、ベリー……もう、焦ることないんだよなぁ」


「ダメよ、ポーションを飲んでも、コカトリスがいる以上は油断できないわよ!」


「違うんだよ……コカトリスは討伐したんだよな、あはは」


 そんな発言に、ベリーが顔を引き攣らせた。


「討伐したの? コカトリスを? 石化解除ポーションも無しに?」

「まぁ、偶然な……」


 それから、嫁ちゃん達を集めて、はぐれ個体のコカトリスと出会った話とオーク達についてを話していく。


 ベリーだけでなく、ニアとポワゾンにも有り得ないという顔をされてしまったのはショックだったが、無事を喜んでもくれたので良しとした。


「本当にコカトリスを討伐したなら、近くに巣があるはずだわ……少なくとも、オスとメスで行動を共にしてるはずよ」


 俺はその言葉を聞いて、すぐにコカトリスを討伐したポイントへと向かう。


 今回は嫁ちゃん達とツインズも一緒についてきている。


 討伐したポイントから少し離れた場所に洞穴を見つけ、中に石を投げ入れる。


 石が洞穴の中で“コツンッ”とぶつかる音がした瞬間、入り口に目掛けて、石化の液体が放たれる。


 既に俺達は離れていたため、直撃することはなく、そのまま巣穴へと突撃する。


 コカトリスと言う魔物は、獲物に一斉攻撃をする習性がある為、本来はタンク役が石化解除ポーションを飲み、全ての攻撃を防いでから討伐する魔物らしい。


 良くも悪くも、一斉に石化の毒を使い切る辺りが鳥頭だと思う。


 結果、2体目のコカトリスを討伐することになった。


 巣の中には、石化されたオークが大量に運び込まれており、巣にいたコカトリスが解除されたオークを石化する役目だったようだ。


 生きたまま、ずっと石化されるって……拷問かよ。


 コカトリスの巣穴で見つけたオーク達もサクッと首を切断してから、石化解除後に【解体】で肉にしていき、要らない部分を“リサイクル袋”に入れていく。


 予想を上回るオーク肉とコカトリスを2体手に入れ、更に巣穴に溜まっていた大量のオーク達の武器とコカトリスの卵を5つゲットした。


「大量だな、さて、戻ってカレーを食べるかな」


 その言葉に嫁ちゃん達だけでなく、ツインズも視線を逸らしたのがわかった。


「あ、そうだよな……コカトリスの件でカレーどころじゃなかったよな」


 そんな発言に、ニアとドーナが泣きそうな顔で首を全力で左右に動かしている。


「違うのにゃ、ごめんなさいなのにゃ」

「マスターごめんなさいなの……」


 話を聞いていくと、味見と言いながら、食べたカレーに衝撃を受けて、ベリーを含め、全員で味見をしていたら、食べ過ぎてしまったらしい。

 しかも、カレーを火に掛けたままだったため、残してくれていた俺の分が焦げてしまったようだ。


「マジか? くくっ、カレーを全部、普通、食べれんだろ、あはは、美味かったか?」


「美味しかったにゃ、だから、キンザンの分を残しとくつもりだったのにゃ」


 俺は泣きそうなニアとドーナの頭を撫でてやり、軽く頷くと予定を変更する。


「なら、大量のオーク肉もあるし、バーベキューにするか、まだ食えるか?」


 笑顔で質問すると、パッと明るくなったニア達が頷く。


「なら、野菜のカットを頼む。みんなにも串に刺したりしてもらうから手伝ってくれ」


 こうして、俺はカレーを食べ損なったが、楽しいバーベキューを満喫することになった。

 食材採取がてらにキャンプも悪くないな、次はミアも連れてみんなで来たいもんだ。



読んでくださり感謝いたします。

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