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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
3章 料理の道、キンザンのこだわり

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33話、ちゃんちゃん焼きとキャンプ気分

 今日の俺は珍しく、寝坊してしまった。昨日にあった『除霊ギルド』の一件でかなり疲れていたようだ。


 慌てて二階にある自室からリビングに向かうと、既にみんなが起きていた。

 テーブルにはパンが置かれ、簡単なスープが人数分皿に盛られて置かれており、小鉢にはサラダが入れられていた。


「わるい、寝坊した」


 そんな一言に、嫁ちゃん達を含めてみんなが俺に朝の挨拶をする。


「構わないわよ、それより座ってキンザンさん、私が軽くだけど、朝食を作っておいたわよ」

「ニアも手伝ったにゃ〜」

「手伝ったの〜」


 そう言われて席につくと、ポワゾンが飲み物を俺の前に置く。


「おはようございます。ご主人様。ベリー様とニア様、ドーナ様が朝から頑張られておりましたよ」


 そんな会話をしながら、食事が始まる。


 元々、ベリーは“食の祭り”に出店するくらいには料理が出来るついでに言えば、転生者だからなのか、かなり腕がいいんだよな。


 俺はパンとスープを交互に食べながら、そんな事を考えていた。


 バタバタしていたが、今日は俺自身も[ミリミナの森]の奥にある[森の終わり]まで行かねばならない。


 説明は要らないだろうが、店を週1で開けるには、食材調達が必要になるからだ。

 ウサギ肉はドーナとポワゾンが先んじて狩って来てくれている為、問題はないが、オーク肉を何とかしておきたい。


「今日は[森の終わり]に向かうから、ペコとグーはどうしたい?」


 2人に聞いたのは、狩りに行くとなると、危険もあるからだ。

 ペコとグーは、戦闘経験がない為、本人の意思なしには決められないからな。


 2人は小声で相談してから、俺を真っ直ぐに見た。


「もし、大丈夫なら、私達も連れて行ってください」

「わかった。なら、一緒に行くとするか」

「「はい!」」


 数日の間にハキハキと喋れるようになったのは本当に嬉しい成長だ。


 この調子なら、仕込みなんかも手伝って貰える日が近々来そうだな。


 俺達は[森の終わり]へと向かっていく。


 森に向かう途中に『冒険者ギルド』がある為、ギルドにも寄っていく。

 ペコとグー、2人の住み込み依頼の報酬を預けておくためだ。


 無駄な手間に見えるだろうが、直接2人に賃金として報酬を渡すと税金が引かれない。

 そうなると後々、税金分を計算して、ギルドに書類を提出してから、税金を払う事になるので、更に面倒になる。


 まぁ、ギルドに昨日の御礼もしたかった為、軽く寄り道になる。


 『冒険者ギルド』に入ると受付嬢さんから心配の声かけをしてもらった。


「大丈夫ですよ。それとこれが『ツインズ』に対する報酬になります」


「はい、確かにお預かりしますね。本当に無茶はしないでくださいね?」


「えぇ、分かってます。それでは失礼しますね」


 軽く会話をしてからギルドを後にして[バリオン]を抜け、俺達は[森の終わり]へと辿り着く。


 昼過ぎに到着し、慣れた手つきでテントを組み立て、拠点を構える。


 この場所は以前にオークジェネラル戦の際に使った拠点だ。

 その際に作った即席の調理場がそのままになっていた為、有り難く使わせて貰う事にした。

 

 そこからは各自で探索を開始する事になる。

 前回がオークリーダーやオークジェネラルとの遭遇だったので、若干の危機感は存在したが、そればかりを気にしていては何も出来ない。


「よし、全員で探索に入るけど無理はなしだぞ」


 ベリーとニア、ポワゾンとドーナがチームとなり、俺とツインズの2人で昼食の支度をしていく。


「さて、【ストレージ】から調理台を出してっと、何を作るかな」


 最初の作業は、ウサギ肉に塩コショウとスパイスを擦り付けていく。


「しっかり、押し込んで行かないとな、ウサギ肉をバットに並べて、放置っと……次は米か、たまにはキャンプ感覚であれを使うか」


 俺が取り出したのはキャンプなんかでご飯を炊く為の道具だ。飯盒(はんごう)炊爨(すいはん)ってやつだな。


 最近は車で使える炊飯ジャーなんてのもあるらしいが、外でこいつを使うとなんか、テンション上がるよな。 


 石窯の温度が上がり切る前に、フライパンを2つ取り出す。


 1つのフライパンには、野菜と肉を入れて、塩ダレを回しがける。


 もう片方のフライパンには川で捕まえた魚を捌いてから、中に玉ねぎやキャベツなどの野菜とキノコを詰めてから、アルミホイルで包んで置いていく。


 片方は塩ダレの蒸し肉と野菜、片方はチャンチャン焼き風だな。


 ちゃんちゃん焼きを知らない人もいるかもしれないが、北海道の郷土料理で、味噌バターという、日本人好みの味で、俺に忘れられないインパクトを与えた料理の1つだ。


 簡単に作れるくせに、ご飯にも酒にも合うのだから、本当に素晴らしい料理だと思う。


 今まで、作らなかった理由は、美味すぎて他の料理を食べて貰えなくなったら困るからなんだが……


 やはり、作りたいし食べたいッ!


「悩むのは作った後だ! 味付けがしっかりしてれば、多分、大丈夫だ!」


 次から次にアルミホイルに具材を入れて、石窯に入れていく。


 楽にできるから、ちゃんちゃん焼きらしいが、異世界だと中々に手間だな。


「ペコ、グー、皿を頼む。あと、火傷しないようにな!」

「「分かりました!」」


 出来上がったモノをアルミホイルごと皿に乗せていき、テーブルへと運んで貰い、人数分の料理が完成した。


「アルミホイルは冷めないからいいよな。あとは芋でも焼いとくか?」


 余ったアルミホイルにジャガイモを包み、焼いていき、飯盒の米が炊けたのを確認する。


 辺りに美味そうな香りが漂いだすと、自然に嫁ちゃん達が戻ってくる。


「美味しそうな匂いにゃ〜ヨダレがでるにゃ」


 ニアとベリーが先に戻ってきたので、【ストレージ】から出した川の水で手を洗って貰う。


 それからすぐにポワゾンとドーナも戻ってきた。


 今回は血だらけってオチがなかったのでホッとした。


 そこからは、食事になるが、アルミホイルを開くまで、ニアは不思議そうにずっと銀色の包みを眺めていた。


「ほら、開くぞ?」

「わ、わかったにゃ!」


 アルミホイルを開くだけで変に緊張するニアに俺は笑いを堪えながら、手早く包みを割いていく。


 湯気が上がり、味噌とバターに包まれた野菜と魚が姿を現す。


 一気に食欲を誘う香りが鼻を突き抜けて、胃袋を刺激していくと、【ストレージ】から飯盒を取り出して、器へと小分けにしてよそっていく。


「キンザンさん、わざわざ、それでご飯を炊いたの?」

「おう、外で炊くならこれしかないだろう?」


「呆れたわ、それも男のロマンなの?」

「当たり前だろう? キャンプ気分なら、ロマンがないとな」


 俺とベリーの会話に他の全員が不思議そうな表情を浮かべていた為、慌ててご飯をよそっていき、全員に行き渡ったと同時に食事を開始する。


「そんじゃ、いただきます!」


「「「いただきます(なの〜)(にゃ〜)」」」


 思いの他、ちゃんちゃん焼きは上手くできていたが、やはり鮭を使わなかった事が悔やまれるな。

 似た魚が入ればいいが、そこは贅沢は言えないな。


 嫁ちゃん達とツインズの2人も美味しそうに食べてくれていた為、本当に良かった。


 更にジャガイモにマヨネーズをかけてポテトサラダ風にしたのも良かった。

 冷ましきれなかったが、それはそれで、マヨが溶けて絡み合い美味かった。


 俺達はそのまま、夜になるまで、交代で狩りを続けていく。


 オークジェネラルが居なくなり、オークの数も少ないが、俺達が店で使う分は問題なく狩ることが出来た。


 夜になり、作ったのはカレーだ。

 これに関しては、ベリーに“カレールー”を渡して作って貰った。

 むしろ、俺以外、全員で作らせたと言うのが正解だ。

 まぁ、食事を作る際に言いたかないが、見た目でアレがアレだから、本人らに作らせるのが正解と言うやつなのだ。


 そして、嫁ちゃん達にカレーを任せてる間に俺は1人で狩りに向かう。


 オーク程度なら、今の俺でも問題なく狩れるからだ。そして、俺の目の前には3体のオークがいる。


 1体は、槍を持っており、残り2体は棍棒のようなモノを持っている。


 タイミングを見計らい、俺が竜切り包丁を強く握った時、オーク達の背後から草を掻き分けて走って来る何かに気づく。


「な、なんだ……」


 イレギュラーの為、慌てて、距離を取ると俺は音の方に視線を向ける。


 オーク達も武器を構えると茂みを睨むように視線を向ける。


 茂みから突然、何かが飛び出したかと思った瞬間、先頭に居たオークの顔面に何かが放たれた。


 遠目でよく見えなかったが、飛び出した何かが口から吐き出した液体を浴びたオークの頭部が一瞬で石に変わっていた。


「な、何が起きたんだ……」


 俺は飛び出してきたモノの姿を見て固まった。


 くちばしから鋭い牙を無数に生やしたニワトリだった。


「あ、アレがコカトリスなのか……」

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