32話、『除霊ギルド』と詐欺ギルド
捕まえた男達を一箇所に集めてから、質問を開始する。
「お前達はいったい誰なんだ?」
「…………」
全員、無言だったので可哀想だが、一人を選んで、ポワゾンに任せることにした。
「はぁ、残念だ……素直に話してくれたら、こんな選択しなくて済んだのになぁ、ポワゾン、好きなのを一人預けるから、喋らせてくれ」
「かしこまりました。ありがとうございます。絶対に喋らせてみせますので」
清々しい笑顔なのに口元の笑い方が、色々残念なんだよな……
ポワゾンは一人の気弱そうな男を選ぶと、ニアに頼んで店舗側にある地下室へと運ばせる。
「ま、まて、なんなんだコイツは! 待ってくれ、うわぁぁぁぁッ!」
バタンッと、屋敷側の扉が開かれて、店舗側の通路へと消えていく。
そんな様子を見た男達が不安そうに俺を見たので、俺はドーナに視線を向ける。
「さて、次は誰が話し合いになるんだろうな?」
俺の言葉に反応するようにドーナのスキル【収納】から、大鎌を取り出して笑っているドーナ。
「なのなの〜話し合いなの〜」と楽しそうに笑うドーナ。
その様子をみて、顔面蒼白になる男達の姿があった。
そこからは最初に連れていかれた男がポワゾンと
ニアに連れられて戻ってくる。
戻された男は全身の毛が全て抜け落ちており、ポワゾンの手に握られていた物は俺が使用禁止にした強力脱毛剤だった。
あんなエグいもんをまだ持ってたのか……
俺は髪を両手でしっかり隠しながら、身を震わせた。
あっという間に男達の表情が凍りついて、俺達の質問に素直に答えるようになった。
素直に最初から話せばいいのに、人は愚かだな……
「お前らはなんなんだ?」
「はい、オレ達は『除霊ギルド』で働く職員でして……」
「そうか、それで目的はなんだ?」
俺は肝心な目的を質問する。
男達は実際に除霊や光魔法を操れる光魔法使いだったが、目的は真っ黒だった。
まずは、霊が集まりやすい場所や建物を見つけて、幽霊屋敷の噂を流して、除霊を依頼させる。
当然、依頼で建物内部に入る為だそうだ……
日本のシロアリ駆除の詐欺に似てんな……
そして、点検と称して、“魔呼びの札”を貼り付けてくるのが手口らしい。
どこの世界にもこんな奴がいるんだな、本当に呆れちまうよ。
「で、お前ら、覚悟出来てんだろうな?」
「え、いや、オレ達はまだ、屋敷を手に入れてないし、反省してる……許してくれよ、なんなら、金も払うから」
反省してるって言うやつに反省してた、ためしがないんだよな。
「なら、罪を認めるんだな?」
「み、認める反省したから、許してくれ!」
その言葉に俺はポワゾンに軽く頷いて見せる。
流石というか、俺の言いたいことを理解してると言うか、ポワゾンは痺れ薬を容赦なく、男達へとぶっ掛けていく。
「悪いが、お前らを許す気はないんだわ……もうすぐ兵士がお前らを捕まえに来るはずだからな」
「な、反省したって言ってるだろうが!」
「だから、反省すんのは当たり前なんだよ、それよりも確り罪を償って貰わないとな」
そう、これだけの騒ぎなのに、ベリーが現れない理由は、既に『冒険者ギルド』に向かわせたからであり、ギルドから兵士に報告がいく事になる。
つまり、こいつらを最初から突き出す気しかなかった。
一人、髪をすべて失った可哀想な奴もいるが、詐欺師に優しさはいらないだろう。
その後、兵士がやってきて『除霊ギルド』の男達が連れていかれた。
仲間がいないか心配していたが、その後に『除霊ギルド』そのものが小規模の詐欺ギルドだと分かり、その場にいた男達の他に仲間が居ないことがわかった。
余罪もあるようで、犯罪奴隷は間違いないだろうと兵士の一人に言われた。
とりあえず、俺は心配のタネが1つなくなった事にホッとした。
ただ、俺からも話が聞きたいと兵士に呼ばれてついて行く事になってしまった。
仕方なくいった先は[バリオン]にある警備兵団の詰所であり、何故か俺も取り調べ室のような部屋に案内された。
なんとも鉄格子が生々しいな……
「すみませんね、わざわざ、ご足労頂いてしまって、今回の『除霊ギルド』の件で幾つか、確認をしておきたくてですねぇ」
話の内容は単純に被害として何があったかと、それに伴いどれ程の被害を被ったかであった。
俺はあった事を全て話し、さらに屋敷で男たちが話した手段を事細かに話していく事になった。
兵士側も予想より悪質な『除霊ギルド』のやり方に、表情が険しくなり、最終的には、その日の内に『除霊ギルド』への調査を強行する結果となった。
流石にこちらの世界でもいきなり踏み込むのはアウトらしいのだが……
だが、今回は少し違っていた。容疑者が全員拘束されており、証言と“魔呼びの札”が存在する事で可能になったそうだ。
『除霊ギルド』では酒瓶と無数の建物に何をしたかのメモや大量の“魔呼びの札”とそれを作る為の作業部屋などが発見されたそうだ。
俺が内容を知っている理由は『除霊ギルド』に兵士が踏み込み、戻るまでの間もこの場で待たされたからに他ならない。
証言の通りなら他の仲間が居ないだろうが、関わってしまった手前、何もないか心配していたが、『除霊ギルド』その物が小規模の詐欺ギルドだと言う言葉が改めて事実だと分かり、その場にいた男達の他に仲間がいない事で踏み込んだ兵士達も無事に戻ってきていた。
正直、今回は焦ったが、兵士の皆さんの行動が早かったお陰であっさりと1つの詐欺グループを壊滅させる流れになった。
人生で二度と経験したくない出来事だったと思う。
俺が解放されたのは真夜中だった。
兵士のお兄さんがしっかりと屋敷までついて来てくれた為、安全に屋敷に辿り着けた。
屋敷の前には心配そうな顔で待つ嫁ちゃん達の姿と、ペコとグーの2人の姿があり、悪い事をした訳ではないが申し訳ない気持ちになった。
「みんな、ただいま」
「キンザンさん、大丈夫?」
「キンザン大丈夫かにゃ!」
「ご主人様、ご無事でしたか」
「良かったの、心配したのー!」
そんな具合に皆に心配をかけてしまった。
「俺は大丈夫だから、それより、腹が空いただろ? 今からなんか作るから、中に入ろう」
俺達は兵士のお兄さんに頭を軽く下げてから、屋敷に入っていく。
夕食は結局、お茶漬けになってしまったが、今日くらいは許してくれるだろう。
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