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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
2章 相棒と強敵・新たな出会い。

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30話、屋台で2人の昼ご飯

 ペコとグーの2人が増えてから、俺達は屋敷の管理を依頼として2人に任せる事に決めてギルドに住み込み依頼を出していた。


 不思議な話だが、安定して、屋敷に住める事や、依頼費から税金が引かれる事、何より、俺達が留守にしても屋敷と店舗を信頼出来る相手に任せられる事実が大きかった。


 ただ、1つ考えないとならない事があるとすれば、ペコとグーの2人が俺の店で働きたいと言い出した事だろう。


 2人を1人前にするまでは面倒を見るつもりだったから、働くのは構わない……ただ、何ができるかが、分からないのだ。


 屋敷へと戻ってから、全員に2人が一緒に住む事を伝えて、各自の役割や、週に1度、揚げもん屋『フライデー』を開いている事を説明していく。


「2人は字は読めるか?」


 そんな質問に首を左右に振る2人。


「なら、ベリー、2人に文字と計算を教えてやれないか?」

「構わないわよ。その方が、後々、私達の為にもなるしね」


「助かるよ。必要な物があったら言ってくれよ」

「分かってるわよ。まぁ、まずは基礎から教えるから、2人を連れていくわよ」


 そう言ってベリーとペコ、グーの3人は勉強部屋として、空き部屋へと向かっていった。


 残されたのは、俺とニアだ。


 なんで2人なのか……理由は、ミアは月に1度のアンリとのクエストに出ているからだ。


 [バリオン]

 [ミリミナの森]

 [テピアの草原]

 [ヤヌンバ]


 この順で移動しながら、モンスターを狩り、間引きをしていくクエストだ。


 アンリさんは、俺に気を使っていたが、ミアとアンリさんなら問題ないので、しっかりと送り出した。


 ドーナとポワゾンは、2人でうさぎ狩りに行ってくれている。

 何故、2人で? となるだろうが、ドーナは普段、大鎌などを不思議と何処かから出している為、メインの狩りをドーナが行い、ポワゾンがサポートする形で食材確保を頼んだからに他ならない。


 △△△

 因みにドーナの大鎌などが何処に入っていて、どんな形で取り出しているのか気になった俺はそれとなく質問をしていた。


 ──数日前に聞いてみた結果。


「なぁ、ドーナ? 狩った獲物とかも入るのか?」と聞いてみたが、本人も分からないと言うので、先ずは試す事にした。


 試しに【ストレージ】から取り出したオーク肉の塊を影に入れられるかを試していく。


 不安な表情だったがドーナが肉を掴むとあっさり入ったのだ。

 そこから取り出せるかも試したが、問題なく取り出せた事から、ドーナは俺と同じ【ストレージ】のようなスキルを所持している可能性に気づく。


「マ、マスター! 大変なの……た、たくさん入るのーーー!」


 まぁ、色々試すのは今度かな、びっくりしているドーナに俺は【ストレージ】について話したりと色々としていた。


 △△△


 そして、今日、試しにポワゾンとドーナでうさぎ狩りに行ってもらった。


 その結果、俺とニアの2人になった訳だ。


「にゃ〜キンザン? 予定はあるかにゃ? 暇かにゃ?」


 なんか構ってほしそうに視線を送るニアの姿があった。


「予定はないが、どうした?」


 予定が無いと伝えた瞬間、耳が“ピンッ”と立ち、尻尾をくねらせる。猫そのままだな……


「にゃら、お出かけするにゃ〜」と、はしゃぎ出したので、ベリー達に置き手紙を書いてから、軽く準備をする。


 当然だが、いきなり過ぎて、何処に行くかなんて決めていない。


 行き当たりばったりな、お出かけだな。


「デートにゃ〜」とルンルン気分で楽しそうなニアを見て、俺も自然と笑みがこぼれた。


「デートか、なんか照れくさいな」

「照れてるキンザンはなんか不思議だにゃ、でも、嬉しいにゃ〜」


 最初にいつもの繁華街を抜けて、屋台が立ち並ぶ広場へと移動する。


 普段は俺が作る側の為、屋台をまじまじと見るのは初めてだ。


「キンザン、これ美味しいんだにゃ〜」


 ニアが指さしていたのは、羊のような動物が描かれた看板の串焼き屋だった。


「こいつはなんなんだ?」


 俺の声に屋台の店主が素早く返事をしてくれた。


「いらっしゃい、こいつは『メルメル羊』の串焼きだ。臭みが少なくて食べやすいんだ! 1本、彼女さんにどうだい」


 上手いな、さりげなくニアをターゲットにしてるなぁ。


「なら、俺のも頼むから2本くれるか、幾らだ?」


「1本、銅貨8枚(80リコ)だ。5本買ってくれたら、1本サービスさせて貰うよ」


 その言葉にニアが目を輝かせていたので、店主の言う通り、5本で大銅貨4枚(400リコ)を払い、1本オマケをもらった。


 広場のベンチに腰掛けて、2人で食べていく。


「美味しいにゃ〜」

「確かに美味いな、臭みもないし、むしろ、牛肉に近いかもしれないな」


 俺は『メルメル羊』を眺めて……あの値段でこの肉が食べれるんだな。

 塩だけのシンプルな味付けだが、肉汁が甘いのか? 異世界の食材をもっと食べるべきかもしれないな。


 そんな事を考えながら、嬉しそうに食べるニアの頭を軽く撫でる。


「はにゃ〜、お外で耳のそばを撫でたら恥ずかしいにゃ」


「す、すまん、悪かったな」

「わ、悪くはないにゃ、それよりも食べるにゃ〜」


 残りの串焼きを仲良く食べてから、次は露天商が並ぶエリアへと移動する。

 珍しい髪飾りやアクセサリーなどが並び、服やハンカチといった日常品も多く売られていた。


 品物を見ながらニアが笑う。そんな表情も悪くないなと素直に感じた。


 露天商では、ニアが買いたい物はなかったらしく、次に移動する。

 移動した先は、カフェなどが並んだ少しオシャレなエリアだった。


 そんなオシャレな店が立ち並ぶエリアの一角にあるカフェへと2人で入る。

 店内は何処か懐かしい雰囲気の漂う店で、カフェと言うよりも喫茶店に近いイメージを俺に与えていた。


 何故、そう感じたかと言えば、扉を開いた瞬間に珈琲の豆を煎ったような香りとドリップされた珈琲の2種類の香りが鼻を突き抜けて来たからに他ならない。


 テーブルに案内されて、俺は珈琲を頼み、ニアはフルーツジュースを頼んだ。


 2人で静かに時間を過ごしてから、カフェを出る。

 最後に「行きたい場所がある」と言われ、高台へと移動する。


 夕日が眩しく照らす高台で俺達は互いを見て笑っていた。


「楽しかったな」

「にゃにゃにゃ〜楽しかったにゃ〜」


 沈み始める夕日を見ていると、不意にニアがモジモジとしだした。


「キ、キンザン、あのだにゃ……この高台でキスをしたカップルはずっと一緒にいられるそうなんだにゃ、ほ、ほんとかにゃ?」


 ニアの言葉に俺は笑いそうになったが、グッと引き寄せると、小さなニアの唇にキスをする。


「ずっと一緒だから、安心しろ」

「安心するにゃ、キンザン、大好きだにゃ〜」


 俺達は夕日が完全に沈むまで、2人だけの時間を過ごした。


 屋敷に戻ると、カンカンなベリーが待っていた。


 2人で謝ってから、夕食の支度を開始すると、ドーナとポワゾンが帰宅した。


「ただいま〜なの、沢山取れたの!」


 嬉しそうな声がしたので、玄関に向かうと、角うさぎの返り血で真っ赤になったドーナとポワゾンの姿があった。


「な、なんだそりゃ」


「すみません、ご主人様。ドーナ様がウサギに対して、鎌でフルスイングし続けた結果でございます」


「はぁ、わかったから脱衣場で服を脱いでから、お湯を使って洗ってこい……」


 本当に今日は驚かされたり、笑ったりと色々ありすぎだ。


 まぁ、こんな日も悪くないな。


 2人が風呂で身体を洗っている間にパスタを茹でていく。

 本当はミートソースパスタの予定だったがメニューを変更して、カルボナーラを作る事にした。


 しばらくすれば、テーブルにはサラダ、カルボナーラ、ウサギ肉の焼肉が並べられる。


 いつも居るはずのミアが居ない食事は少し寂しいが、それを顔に出したらダメだな。


 皆で食事を楽しみ、時間が過ぎていき、洗い物を手分けして片付けた後に、いつもの煙草タイムに入る。


 煙草の煙を吐き出しながら、俺は改めて考えてしまう……


 ミアと出会ってから、初めて別々の夜を迎えるんだな。


「ふぅ……ちゃんと飯食ってるかな、最初の頃って、硬いパンと干し肉だったんだよな……大丈夫かぁ……」


 俺はミアの事を心配しつつ、眠りについた。



 


 

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