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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
10章 バッカス大陸に吹く風

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274話、悪ガキに、鉄槌を

 馬車で黒騎士に着替えた俺が馬車から姿を現すと、さらに視線が集まっていく。早い話が悪目立ちだろうが、そんな視線に対して、ルフレ殿下は笑みを浮かべている。


「良い視線じゃな、其方はその姿の方が有名じゃからな」


「なんでそうなるんですか?」


 ため息混じりにボイスチェンジャー越しの声で語りかける。


「分からぬか? まったく、もう少しだけ、自分の価値を考えよ、其方は素の姿を知られすぎておるからな。若い貴族の娘、英雄に憧れる生娘、僅かな希望で近づく者もおるじゃろうに」


「買い被りすぎですよ……俺は単なるオッサンですし」


 ルフレ殿下からため息が吐かれる。


「やはり、わかっておらんなぁ、貴族の娘からしたら、年齢の三十や四十違えど、嫁に嫁がされるものじゃ、其方なら、むしろ若い部類じゃし、なんなら金もあるじゃろうからな、狙い目といえばわかるか?」


 学舎である学園で貴族の生々しい話を聞かされ、俺はヘルム越しになんとも言えない表情になってしまう。


 貴族令嬢って奴は世知辛い世界らしいな。


 ルフレ殿下と話が終わり、男性教員の案内で学園の中を歩いて行く。


 周囲からは学生からの声が聞こえ、一目見ようとする学生までいた。


「殿下が来てるよ」

「あれ、大会の優勝者のフライ様だわ」


 色々な声が聞こえ廊下を進んでいるだけでかなり賑やかになっている。


 しかし、中にはあまり宜しくない声も混じっているのも事実で、そんな声が耳に届く。


「優勝者って言っても、コロシアムに閉じ込められて何もできなかったんだろ?」

「だよな……見た目もガキだし、コネかなんかだろ?」

「なら、パパに頼んで、ウチの使用人として雇ってやるか」

「はは、メイトが大会優勝者とか、笑えるな」


 その言葉は、メフィスの耳にも届いていただろうが、何より俺の耳に響いたことが不快だった。


「悪い……ちょっと我慢できないみたいだ」


 俺は静かにそう言葉にすると、非常識なのを無視して、その学生達の方に向かっていく。


「随分と勝手な言い分だな? 聞いてて、笑えないぞ?」


 俺が【身体強化】を発動して近づいた瞬間、話していた3人の学生が身体を震わせた。


「な、なんだよ……こ、ここは学園だぞ」と力ない言葉が返される。


「だからなんなんだ、学園だとなんなんだ?」


 ヘルム越しに冷たく返した言葉に学生が慌てて腰から杖を抜く素振りが見えた。


「バカにするなよ!」


 俺に迫られた学生が怒りを露わにする。


「あ、待てって! 魔法はマズイって」と止めるような声が向けられたが、学生は止まれないのか「知るか!」と杖を振り上げた。


 当然、杖を使わせる気はないので、振り上げた杖を手で掴むとバキッと杖を折らせてもらう。


「ひぁ、あぁ!」


 学生相手に大人げない? ありえない? そんな言葉は今は知らん。


「どうした? 杖がないと何もできないのか? 言っておくが、フライちゃんは俺なんかより強いぞ。わかったか?」


 そこまで言うと、見ていた2人の学生が俺に杖を向けて振り上げる。


 ただ、振り上げただけだった。既に動いていた嫁ちゃん達が学生達の首に手を伸ばし、動きを止めたからだ。


「そこまでで、ご主人様への、これ以上の無礼は看過できかねます」


「そうねぇ。私としても、家族をバカにされたことには腹が立つし、許せないけど……止めないと止まれなくなっちゃうものね」


 ポワゾンとベリーがそう語り、ミア、ニア、ミトが加勢しようとした他の学生を牽制する。


「いくらなんでも、ダメでしょ? オッサンが優しくても、キレたら怖いんだからさ……」


「そうにゃ、キンザンがキレたら、ニア達が困るにゃ」


「だな……あの家族大好きな旦那様が本気になったら、レッドスコーピオンと一緒に食卓行きだぞ、馬鹿野郎が!」


 嫁ちゃん達の素早い動きに俺は怒りが吹き飛び、冷静になれていた。


 ただ、逆に嫁ちゃん達の方が、かなり頭に血が上っているようで逆に止める側になってしまった。


 一連の流れを見ていたルフレ殿下が教員に対して、口を開く。


「随分な歓迎じゃな……余としては、世間知らずの学生の発言と見て見ぬふりをするくらいの器はあるが、あの者達は、仲間のためなら、すべてを敵にするぞ?」


 その言葉に教員が青ざめるのがわかる。ルフレ殿下の言葉は間違ってないし、俺もまだまだ血の気ってやつがあるんだな……と再確認してしまった。


 騒ぎを聞いた他の教員達が集まり出すと、俺やナギの姿に焦ったのか、シールド魔法を作り出し、俺達から学生を守るように展開させていく。


 素早い判断に俺が感心するとフライちゃんが笑顔で前に出る。


「すみません。わたしは愛する人と居るのが幸せなのです。だから……」


 そこまで口にしたフライちゃんは教員が作り出した何層もあるシールド魔法に手を添えた。


 軽く手を前に押し込む動作をした瞬間、シールド魔法が砕け散っていく。


「次につまらないことを考えたなら、アナタの頭がこうなっちゃいますので、気をつけてくださいね」


 来て早々に目立つ形になったが、仕方ないと言えば仕方ないだろう、大切な女性をバカにされて黙ってる男になるなんて真っ平御免だ。


「な、何事ですかぁ……な、なんで生徒達が、それに黒騎士! 何がなんなんですか」


 突然叫ばれた女性の声に俺が視線を向けるとそこには、綺麗な女の人が慌てた様子でこちらを凝視している。


 見た目でいえば、三十代くらいで、王都の冒険者ギルドマスター、ヴェルデさんと同じくらい美しい大人の女性だ。


「きんざんさん、鼻の下を伸ばしたら許しませんよ?」

 フライちゃんから釘を刺される程度には本当に綺麗な人で、白いローブ姿にダークブルーのロングヘアーが印象的だ。


 ただ、この状況のため、少し話がややこしくなりそうだと思っていると、ルフレ殿下が両手を組んだ状態で怒気をはらませた声を放つ。


「随分と遅い登場じゃな、エフォール・ミルト学園長。余と余の(ツレ)を馬鹿にする学生を育てるとは、想像していなんだ。実に笑えぬのぅ」


 笑みを作りながらの言葉にエフォール・ミルト学園長が凍りついていた。


「そんなつもり……な、何があったか先ずは教えていただけませんか」


 今にも泣きそうな声で経緯を聞こうとするミルト学園長にナズナとリーフが返事をする。


「いいよ! あのね、リーフ達のママをメイドにするっていったの!」

「うん……笑うっていった……だから、パパ怒ったん、だよ……」


 そこからは、ミルト学園長が2人の話を真剣に聞いてから、ルフレ殿下に視線で内容を確認して事実だと理解すると深く頭を下げられた。


「本当に申し訳ありませんでした。頭を下げて許されるとは思いませんが、どうか」


 生徒のために本気で頭を下げれるって、熱いよな。


「ふむ、余は構わぬが……其方はどうじゃ?」


 ルフレ殿下の言葉に俺は軽く悩み、ある提案をすることにする。


「どうって言われても、なら……校庭を借りてもいいですか、壊さないように使うんで」


 俺の言葉にミルト学園長がすぐに頷く。急遽、校庭に向かうことになったルフレ殿下は楽しそうに笑い。その様子を不安そうに見つめるミルト学園長。


 フライちゃんをバカにした学生達はナギに掴まれて校庭へと強制的に運ばれ、廊下での出来事を見ていた学生達は、何が起こるかことの顛末を見るために集まり始めていた。

読んでくださり感謝いたします。

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