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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
10章 バッカス大陸に吹く風

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270話、救いの手

 俺達は今、コロシアムの前に立っている。目的は、壊れた残骸の片付けや炊き出し支援になる。


 王都の現状を考えれば、人として当たり前くらいの手伝いはしておきたいからな。


 娘2人の風呂が終わってから、風魔法でポワゾンが乾かし、出掛ける準備を整え、今はポワゾン御手製のウサミミ付きポンチョを着ている娘達。


 フードには、ウサミミが付けられていて、見た目からも可愛らしい子供服だが、やはり、2人が着てるから尚更、可愛いんだよな。


 昨晩は飲めや騒げやと楽しい宴と料理で気持ちも腹も満たせただろうが、結局のところ、失ったものを元の形にしないと本当の安心は戻らないだろう。


 シンプルな話、単純に家があって、壊れた壁の穴が塞がって、そんなことを考えれば、キリがないだろうが、一つ言えるのは、住む場所が無事であることが何よりも大切だって話だ。


 だから、俺達は俺達でできることを手伝おうって話にまとまった。


 以前の癒しの街「カエルム」同様に瓦礫や壊れた家具などは廃棄用の置き場を決めてもらい俺が“リサイクル袋”で回収していき、必要な木材などは“買い物袋”から調達する。


 ただ、それだけでは、圧倒的に大工の数が足りないため、フライちゃんに頼み、教会にある転送陣の復旧をしてもらうことになっている。


「って、ちょっと! 待つのよ、フライさん! なんで、管理者のアタシから許可もないまま、転送陣を復旧しようとしてるのよ!」


 フライちゃんが教会の転送陣に触れた瞬間、いきなり現れたエトランジュに作業を止められた。


「なんですか、エトランジュ? わたしが何をしようと、問題はないと思うんですが」


「大ありよ! フライさんはもう、管理者じゃないんですから、教会に新たな転送陣を作るなんて駄目に決まってるでしょうが!」


「はぁ、器が小さすぎて、話になりませんね……きんざんさん? とりあえず、邪魔なので黙らせていいでしょうか?」


 視線を俺に向けるフライちゃんの言葉にエトランジュが身体を震わせたので、とりあえず、落ち着かせてから話し合いにしてもらった。


「まぁ、エトランジュ、今の状況なら転送陣を作る手伝いって形で、ダメかな?」


「駄目に決まってるでしょう? 人の争いがきっかけで壊れたなら、それに女神が力を貸すなんて絶対にあってはなりません!」


「はぁ……分かりました。なら、話が早いですね」とフライちゃんが呟いた瞬間、錫杖を取り出すと、床に目掛けて勢いよく薙ぎ払いを炸裂させる。


 俺もエトランジュも目を疑うような綺麗な薙ぎ払いは床を削り、瓦礫を塵に変えるとフライちゃんはにっこり微笑んだ。


「これで、この場所は女神に破壊された教会になりましたよね? さぁ、力を貸してもらいますよ、エトランジュ」


「は、あぁぁぁぁぁ! これだから、フライさんに関わると大変なんですのォぅぅぅぅッ!」


 まあ、こんな感じに他の教会や、転送陣のあった施設を対象にエトランジュを脅す形で結果、転送陣は早急に設置することができたので……良しかな?


 転送陣が瞬く間に輝き、各地に向かって俺達は手分けをして移動していく。


 ミア、ポワゾンには、始まりの街、商業都市[バリオン]


 ペコ、グーには、癒しの街[カエルム]


 ミト、ニアには、砂漠のオアシス都市[ガルド・ゼデール]


 ナギには、沼と自然の土地[マーシュマレ]


 ベリーには、鉱山の街[ボルドール]


 こうして、俺、フライちゃん、ドーナの三人以外のみんなに各地へと向かってもらい、ギルドや各地の知り合いに助けを求めることにした。


 あくまでも、エトランジュは設置だけは許してくれたが、本来の使い方は許してくれなかったため、フライちゃんの関係者である俺達しか使うことができないことが、正直もどかしいな。

 

 まぁ、話し合って、みんなが自分から行くと選んだ結果だから、しっかり任せよう。


 ちなみに娘達は、ドーナと一緒に瓦礫の撤去に向かってる。危ないことはしない約束だから、心配だが、ドーナを信じよう。


「さて、きんざんさん。わたし達もそろそろ向かいますか、結構な量の廃材や瓦礫が集まってますし」


「そうだな。それに必要な物資も出さないとだからな」


 必要物資、その筆頭はやはり水だろう。

 確かに水路は無事だが、瓦礫や埃、さらに反乱貴族達が水路を塞ごうと手当たり次第、色々なものを投げ込んだため、飲むにはリスクが高くなってるからな。


 “リサイクル袋”に廃棄用置き場のガラクタを入れていき、配給として、水とパン、毛布を配ることを伝えていく。

 あまり、派手な食料にしないのは、配給が良すぎた結果、働くことを馬鹿らしく感じて怠け者が溢れることを考えた結果の判断だ。


 毛布に関しては、高級品扱いになるだろうが、やはり、夜は冷えるだろうから、これだけはしっかりと配ることに決めた。


 俺達の自己満足と言えばそれまでだが、それでも今、やらないと後悔する未来にしかならないと思っちまったんだから、これは仕方ないよな。


 そうして、支援物資として、配給を開始するとすぐに人だかりが生まれ、それを見た兵士さん達が手伝いを名乗り出てくれたので本当に助かった。


「並んでください。キンザン殿から皆さんの分は用意してあるとのことです! 慌てないでください」


「次の方、はい。パンと水になります。隣で毛布を受け取っていってください」


「並ばないと、貰えません! 割り込みなどせずに並んでください! 全員に行き渡る物資があるそうですので、並んでください」


 俺達が声を出さなくても、兵士さん達がしっかりと言いたいことを伝えてくれるので本当に助かる。


 そうして、広場で配り始めた配給が数時間続いた頃、癒しの街[カエルム]に向かっていたペコとグーが戻ってきた。


「主様、戻りました」

「しっかりと助っ人を連れてきたよ」


 そこには、癒しの街[カエルム]の高級ホテルであるレイラホテルのオーナー、レイラが立っていた。


「やぁ、キンちゃん。大変だって聞いて、助けに来たよ」


「レイラ? マジにレイラか!」


「当たり前じゃんか。助けに来たよ。まぁ、助けに来る代わりに、キンちゃんの二号店のメンバーにホテルの厨房を任せて来ちゃったから、それはごめんねぇ」


 俺はそれを聞いて、笑ってしまった。


「そうか、ダイン達が、色々悪い、良かったのか?」

「むしろ、キンちゃんの二号店は有名だから、うちのホテルとしては、ありがたいまであるよ。さて、話は聞いたけど、大工だよね」


 レイラはそう言うと、すぐにスキル【アシスタントワーカー】を発動していく。


 このスキルは本当に便利すぎるチートスキルだ。

 自分が必要な職種の人形を作り出して、自由自在に働かせることができる。ブラック企業もびっくりなスキルだ。


「さぁ、皆で、テキパキやっちゃって!」


「相変わらず凄いな……」


「でしょ、報酬は黒砂糖を適当でいいよ。あ、あとはメンソール1箱にしておいてあげるよ」


 そうしていれば、商業都市[バリオン]からは、ポワゾンとミアと共に『建築ギルド』と『調理師ギルド』、さらに『冒険者ギルド』からも、救援部隊が組まれて、頭領達が若い衆を連れてやってくる。


「旦那! 助けに来たぜ!」

「キンザン殿、調理師ギルドから来ました! 食材も持ってきましたぞ」

「冒険者ギルドからも、ポーションや物資をかき集めてきました」


 こうして、他の[ガルド・ゼデール]、[ボルドール]、[マーシュマレ]からも続々と人が集まり、瞬く間に、王都を救おうと仲間達が手を伸ばしてくれたのだ。


読んでくださり感謝いたします。

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