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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
10章 バッカス大陸に吹く風

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269話、天使の寝顔とパンケーキ

 勝利の宴が終わり屋敷に戻ることになる。

 ルフレ殿下からは、王城で泊まらないかと言われたが、今の状態で俺達が王城にってのは、遠慮させてもらった。


 屋敷について、寝てしまった娘2人をベッドへと寝かしていく。


「寝顔も天使だな、ゆっくり寝てくれ、本当にありがとうな」


 こんな時、海外なら素直に愛してるよって伝えるんだろうが、日本人にはなかなかに照れくさいな。


 娘達の部屋から出ると、なぜか嫁ちゃん達が勢揃いでニヤニヤしてるし、本当に……


「ご主人様が、性癖を拗らせずに親になれてワタシは安心しました」

「いやいや、さすがのオッサンもそれはないだろ?」


「わかんねぇだろ? だって、旦那様は、外見気にしないからなぁ」


 ポワゾンとミアの会話にミトが入ると、チビ嫁3人に視線を向ける。


「にゃ! 敵だにゃ!」

「なの! ミトちゃんから悪い視線なの!」

「ボクは、オッサンの一番だから、当たり前だけどね」

「裏切りなの〜!」

「許さないにゃ!」


 色々始まろうとした瞬間、ベリーとフライちゃんが止めに入る。


「そこまでよ。2人の部屋の前で、喧嘩なんかダメよ?」


「そうですよ? 母親とは、どんとしてないとダメなんですからね?」


 フライちゃんの言葉にドーナが「フライちゃんも見た目は一緒なの」と呟き、フライちゃんが切れたのは自業自得だな。


 とりあえず、娘達の風呂は朝にして、俺達は順に風呂へと浸かることになる。


 風呂の中には、俺とミアが今は入っている。


 普段なら、全員でとなるが、娘達が目覚めた時に誰もいないのはダメだということで、俺達より先に他の嫁ちゃん達が順に入って、今が最後の順番になっている。


「なんか、久々だよな……オッサンとこんな風に2人で入るの」


「そうだな、普段は賑やかだからな」

 自然と俺の膝の上に座るミア、普段と違う広い風呂に僅かに水滴が奏でる音が響き、互いに目を瞑る。


「なぁ、オッサン……今回さ……今回だけじゃなくてさ、本当に……会えなくなるんじゃないかって、オッサンと離れ離れで終わるんじゃないかって……」


「それを言ったら、俺だって同じだったよ。だから、みんなが無事で、ミアが無事な今を幸せなんだって思うんだからさ」


「ボクもだよ。だから、今だけ──」


 静かに、優しく重なるようなキスだった。小さくも優しく震えた唇がこの一日のすべてを終わらせるようだとすら感じてしまった。


「み、皆には、内緒だから……ボクだけ、ズルいって、クジ引きでも言われたからさ」


「だな、そろそろ出ようか」


「あ、うん……そうだね」


 風呂から上がり、俺は厨房の小窓に立ち、煙草に火をつける。


 長く吸えてなかったように感じるせいか、かなり、ガツンとくるな。


 そうして、静かな夜の一服を終わらせて、吸い殻を“リサイクル袋”に入れると同時に、背後からフライちゃんに声を掛けられた。


「きんざんさん。少しいいですか?」


「あ、おう、どうしたんだ?」


 真剣な表情のフライちゃんが立っていた。


「今回のことなんですが、本当に……すみませんでした。わたしは何の役にも立てませんでしたから」


「そのことなら、話だろ? むしろ、みんなが無事だったことが一番なんだよ」


 俯くフライちゃんは、小さく拳を震わせていた。当たり前の悔しさや、遣る瀬無さってやつなんだろうが、俺はその感情があまり好きじゃない。


「なら、フライちゃんに頼むかな。俺がもし困った時は、たくさん助けてくれ、それで助けた後はしっかりとハグでもしてもらおうかな」


「ハグって、思いきり抱きついて、離さないかもしれませんよ」


「その時は、幸せも噛み締められて、お得だな」


 俺が笑うとフライちゃんも笑ってくれた。これが正解だと俺は思う。笑顔があれば、なんとかなると信じたいからな。


 そうして、嫁ちゃん達と語りながら、夜は更けていく。


 そうして、気づけばリビングルームのソファーで寝てしまった俺達は小さな手に起こされた。


「パパ〜! 寝る時はベッドなんだよ」

「うん……風邪、引いちゃう……ママ達も」


 娘達に起こされる朝を経験する日が来るとは……。


「おはよう、ナズナ、リーフ、起こしてくれたのか、ありがとう」


 朝から、笑顔の娘達を連れて、まだ眠る嫁ちゃん達を起こさないように厨房に向かう。


「ママ達、起こさなくていいのかな?」

「パパ? 何するの……?」


「パパと一緒に、ママ達に朝ご飯を作ろうと思ってな、お手伝い頼めるかな?」


「うん、やる!」

「あたしも……やる!」


 娘達と作るのは、パンケーキに決めて、生地を作っていく。

 と言っても、使うのは『ホットケーキマックス』って、“買い物袋”から取り出した市販の粉なんだがな。


 昔から、失敗しないでお約束だからな、火加減だけは要注意だが、【調理器具マスター】を使えば、焦げたりはしないだろう? なんて思ってたが……。


 やはり、見てたらやりたくなるよな。


「2人とも、生地をフライパンに入れたら、プスプスが出るまでひっくり返したらダメだよ」


「わ、わかった……待つ!」

「リーフの方はもういいかな?」


 僅かに生地に出る丸い気泡、ホットケーキがふわふわになる理由は炭酸ガスが発生するからで、出過ぎるとフカフカのフワフワにならない為、タイミングが大切だ。


 そうして、俺はタイミングを見て、2人に合図をする。


 小さな手で小さなホットケーキがひっくり返されていく。ちなみにこれは三回目だがな……最初は失敗してたからなぁ。


 そうして、三度目の正直でひっくり返されたホットケーキは文句なく綺麗な焼き色とフカフカになっていく。


「「オォ!」」とハモるあたり、相当嬉しいんだな。


 先に2人の分が焼き上がり、味見という形でバターとメープルシロップをつけて食べて貰う。


「ふわふわ〜甘い〜」

「甘いし……もふもふだね」


 2人に砂糖入りのホットミルクを出してから、俺は嫁ちゃん達の分を焼いていく。


 朝から、大量のパンケーキが皿に並べられていくと、ポワゾンとペコ、グーが慌ててこちらにやってくる。


「ご主人様、すみません!」

「あ、いいよ。それより、先に娘達(2人)と、朝食を食べたら、風呂に入れてやってくれないか」


「あ、はい。かしこまりました。すぐに湯船を用意いたします」


「「主様、私達は皆を起こして来ますね」」


「あぁ、ペコ、グー頼むよ」


 そうして朝からまた、ドタバタになってしまったが、俺の家族はこれが一番だな。


 美味い朝食は幸せの始まり。朝の団欒はやっぱりこうじゃないとな。


 嫁ちゃん達が起きてくれば、先に食べ終わっていたナズナ達がまた、パンケーキを焼きたがったので、焼いてもらう。


 結局、普段の倍量がテーブルに並び、朝からパンケーキパーティーになってしまったことは言うまでもないな。


 ただ、その後の風呂だけは……「パパと入る!」と言われて、困ってしまったが、ニアが尻尾をエサに風呂に入れてくれることになった。


 もふもふは、やっぱり、ふわふわだから、強いなぁ。


 “朝風呂に、響く娘と、嫁の声”──なんて、柄にもなく詠んでみたが、俺としては満点なデキだな。

読んでくださり感謝いたします。

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