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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
9章 女神の遊技 不始末の照らす先へ

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259話、冒険者に金貨を

 俺達は今、冒険者ギルドへと向かって走り出している。


 王都の現状。

 教会側の動き。

 王城に対しての情報。


 俺達はまだまだ、情報が足りなすぎる。


 何よりも、戦力が絶対に必要な状況で、その戦力が絶対的に足りてないんだ。


 ただ、冒険者ギルドには大会に参加した選手や、大会を見に来た冒険者がまだ王都にいるかの情報くらいはあるだろう、デジールの言葉から、そう考えたんだ。


 街を駆け抜ける間も、暴徒化した住人や王都を訪れた連中が店を襲い食料や金品を強奪する姿が見え、ブルーノ達、警備兵団の面々は結果的にそちらに向かうことになった。


 分かってはいたが、王都の混乱と治安の悪化が進めば、相手の思うつぼだ。


「悪りい、兄弟、だが、絶対に駆けつける! 困ってる連中を見捨てられねぇんだ、許してくれ!」


 そんなブルーノの意志を無下にできなかったのも、また事実だから仕方ない。


「よっしゃッ行くぞ! 馬鹿共を全員ぶっ飛ばすぞ」

「「「うおおぉぉぉッ!」」」


 ブルーノ達が別行動になり、暴れていく姿は、どっちが悪人か分からないな……


 俺達は走り、冒険者ギルドへと辿り着いた。


 冒険者ギルドの周囲はあまり影響がないのか、静かなもんだ──“ガシャンッ!”とギルド内部から音がして、とりあえず中に入る。


「テメェら! それでも王都の冒険者なのかい!」


 ギルドに入ると受付カウンター前に大男を片手で持ち上げ、鋭い眼光を向ける細身の女性の姿があった。


 見た目、三十代くらいの凛とした雰囲気に真っ赤なドレス姿、冒険者ギルドに似つかわしくない綺麗な女性が俺よりも大きな男を持ち上げる状況に頭が混乱する。


「ん? なんだい! 今は依頼なんか受けられないよ?」


 俺達に気づき、視線だけを俺達に向ける女性、鋭すぎる瞳に俺は柄にもなく緊張してしまった。


「なんだい? 要件があるなら、言いな! 依頼は無理でも、話くらいは聞くよ?」


 姐御肌ってやつなのか、ドスの効いた口調に呑まれそうになるが、俺は気合いを入れて目的を話していくことにする。


「取り込み中に悪い、ギルドマスターさんに話があるんだ!」


「ん? いきなり、ギルドマスターに話がしたいって、常識知らずなのかい? それとも、それだけの価値があるのかねぇ?」


 女性が大男を軽々と投げ飛ばし、カウンターに寄り掛かる形で腕を組むと俺を凝視する。


「まぁ、自己紹介からだねぇ、アタシはヴェルデ・クルオールさ、それでアンタは誰なんだい?」


「俺は[バリオン]を拠点にしているクラン『フライデー』のキンザンと言います」


「キンザン? ふふ、ああ、アンタが噂の……こいつは大物が来たもんさね、それなら、素性も問題ないねぇ」


 俺が誰かわかっているという雰囲気、確認だけはしとくことにする。


「アンタ、自分がどれだけ、冒険者ギルド協会で有名か自覚ないのかい? 呆れたねぇ」


 ヴェルデさんは、俺が冒険者ギルド協会に注目されている事実を教えてくれた。


 理由としては、[バリオン]の税金百年先払い騒動や王国騎士団のダミオを倒した事実、グリド商会事件、他多数の事件があったことで俺は無駄に有名人になっていたようだ。


「話がそれたねぇ、それで有名人のキンザンさんが、冒険者ギルドのマスターに何の用なんだい? 話をまずは聞かないと、話が進まないねぇ?」


「わかった。俺が来たのは、ギルドに王城奪還を手伝って欲しいからだ!」


 ギルド内にいた冒険者や受付嬢、目の前にいるヴェルデも一瞬、固まったが、すぐに「クスクスッ」と、笑いが起こり出した。


「あはは、聞いたかよ、アイツら! 誰がそんな事するってんだよ? そうですよねヴェル──」


「黙りな!」とヴェルデさんが目にも止まらぬ速さで、拳を笑っていた男冒険者の腹部に叩きつける。

 壁まで吹き飛ばされた男を見て俺は呆気にとられてしまった。


「悪いねぇ、冒険者にも話すら聞けないバカがいるんだよ……他にバカが居るなら前に出な、先に黙らせてやるからさ?」


 ヴェルデさんの言葉に冒険者達が全力で首を左右に振る。その姿はまるでコントだな……言わないけど。


「話なんだが、俺はタダで手伝ってもらう気はない、依頼として、頼みたいんだ」


 そう口にするとヴェルデの表情が予想外と言った表情を浮かべている。


「意外だね? アンタの情報は以前に確認してるけど、感情に訴えてくると思ったんだがねぇ?」


「俺も人がすべて感情で動くなんて思いません。それに依頼じゃないといざって時に裏切られても困りますから」


「冒険者だって、裏切るさ……わかってるだろ?」


 大会に参加してた冒険者達を考えれば、そんなこともあるだろうと思う、ただそれも含めてだ。


「わかってます。それを含めての依頼です。冒険者が裏切るのは、金払いや勝ち目がない時だと思ってますから」


「まぁ、そうかもしれないねぇ? ただ、僅かな腕利きを集めても、負け戦だろう?」


「僅かなら……ですが、冒険者ギルドの冒険者全員を雇うという内容ならどうですか?」


「ふっ、アハハハハ! そんな夢物語を口にするか、アハハハハ!」


「夢物語ですか、夢を笑うのは叶わないとわかった時だけではないですか? それに夢を笑う者は夢に足元を掬われるなんて言葉もありますよ」


「ほう、言うじゃないか、なら……冒険者ギルドの冒険者登録している奴らはC級以上なら、全体で300人、C級以下も入れれば、600を超えるんだよ?」


「その戦力は集められますか?」


「集められて、半数だろうねぇ、本気なのかい? 依頼なら、安くない報酬が必要になるよ」


「わかってるさ、最低いくらだ」


「提示額じゃなく、要求額から聞くってのかい……」


 ヴェルデが突然、ギルド内を見渡す。


「アンタ達! いくらなら、この馬鹿な夢に命を賭ける! 金貨五枚か? 十枚か? そんな安かないだろ! 命を賭ける気がある奴は残りな! 曖昧は要らないよ、魂で考えな!」


 ちらほらと、ギルドから外に出る冒険者と身構える冒険者、それでもかなりの数がギルドには残ってくれている。


 ギルド内のバーや受付側の壁にもたれ掛かる冒険者達は前向きに考えてくれてるらしい。


「これだけいれば」


「もう少し待ちな、多分まだ増えるからね」


 ヴェルデがそう言うと、すぐに最初に外に出ていった冒険者達が勢いよく扉を開いて戻ってくる。


「ヴェルデさん、呼んできました。外にもまだ入れない連中が集まってます」


「わかってるさ、それで、キンザンさんアンタは、いくらで、冒険者の魂を買う気だい? 金貨200枚は出さないと釣り合わないよ?」


「金貨300枚だ」


「随分な額だねぇ、まぁ、600人で分けたら、大した額にはならないが、筋は通したね。そんだけ出してもらえたら、十分さ」


「違う、冒険者1人に対して300枚だ!」


 俺の言葉に冒険者ギルド内が振動した。


 1人300枚、つまりは180000枚の金貨(36億リコ)の報酬を俺は報酬として提示した。

 俺が稼いだ分のみになるが、ヒヒ様に感謝だな、ほんじゃ、全ツッパと行こうか。


「アンタ、本気かい……今更、この人数を前に嘘なんて通じないよ」


「嘘じゃないさ、奥に通してもらえないか?」


 俺は許可をもらい、冒険者から見える内側の位置に移動すると、【ストレージ】から金貨の入った袋を大量に並べていく。


 中身を確かめるギルド職員が固まったのがわかる。


「ヴェルデさん……一つ一つが金貨です、【会計】スキルで確かめましたが、間違いありません……」


 その一言が決め手になった。


「聞いたかい! アンタら、1人頭、攻略報酬は金貨300、命賭けて戦う奴らは声を上げな!」


「「「おおぉぉぉッ!」」」


「決まりだね! アタシ、ヴェルデ・クルオールがギルドマスターとして、依頼を受諾する! 死ぬ気で稼ぎなァッ!」


読んでくださり感謝いたします。

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