表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
9章 女神の遊技 不始末の照らす先へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

255/280

253話、朝の一時に団欒を

 朝の目覚め、それは一日の始まりだ。清々しい朝の空気が、開かれた窓から室内に流れ込んでくる。


 僅かに冷えた空気が吹き込み、肌寒さを感じる中、俺は伸びをして起こしに来てくれたポワゾン達に視線を向ける。


「うぅ〜ん、おはよう、朝は寒いなぁ」


「おはようございます。ご主人様……」


「「主様! おはようございま……す」」


 挨拶と同時、部屋に起こしに来てくれたポワゾンとペコとグーの3人が固まった。


 それと同時に、ミアとニアが慌ただしく部屋へと駆け込んでくる。


「オッサン! 今みたら2人が……」

「大変だにゃ! キンザン、いないのにゃ!」


 視線の先、眠気眼を擦りながら見てみると、ベッドの端でナズナとリーフが互いを抱きしめるように眠っている。


 ん? 俺は昨日確かに、1人で寝たよな……嫁ちゃん達と寝たかったが、娘2人の教育のために夜は別々にって、話をして……


「なんで、2人がいるんだ?」


「それはワタシ達が聞きたい質問です。ご主人様……まさかとは思いますが? 優しさに漬け込む外道のような真似はしていないですよね?」


 咄嗟にナイフを抜きながらの質問に全力で首を横に振る。


 ミアが慌てて間に入ってきてくれた。


「待てって、ポワゾン落ち着いて、さすがに思考がおかしいって!」


 ミアが止めに入ってくれたが、危うく俺の大切な何かを失うかと思った……


「ふぁ……皆朝から賑やか。ナギは眠い……」とナギも部屋にやってくると、俺のベッドに眠る2人の姿を見て、優しい笑みを浮かべた。


「2人が寂しがってたから、ナギが夜に連れてきた。よく寝れたなら良かった。マイマスターはパパだから、子守りは仕事」


 その一言に全員が呆気に取られ、ポワゾンがナイフを太もものホルダーにしまうと、ナギに軽く注意をしていく。


「なんで? マイマスターと寝たら、幸せって、2人が言った? なんで寝たらだめ?」


「違うのです。寝るなら最初から寝るべきで、いきなり居なくなるとミアやニアのように探す人も出るのです、わかってください」


「ナギ、悪かった? なんかごめん、マイマスターに会いたがってたから2人を連れてきた、反省」


 ナギなりの優しさだったんだな。まぁ、それはいいが……


「ポワゾン、何いい話の雰囲気で終わらせようとしてんだよ……絶対に駄目な方で疑ってたろ?」


「お言葉ですが、ご主人様……普段の行動や今までの行いから考えて予想すれば、あり得るかと……ナズナとリーフはワタシの娘になった以上、ご主人様でも、手を出すなど許しません」


「出してないから! それに、もし2人が嫁に行くなんて話をしてたくせに、よく言うよな?」


「大丈夫です。仮にそんな輩がいれば、“狩り”で、しっかりと試させてもらいますので」


「なんか、言い回し違う気がするが……」


 ナズナとリーフの旦那になる奴は死ぬ気で生き残るしかないらしいな……


 そうして、賑やかな朝が始まるとすぐに俺は自室から追い出された。

 理由は2人の着替えのためらしい。ポワゾンが言うには「女性が寝衣姿を見せては良くない」ってことで、俺が追い出された。2人の服が運ばれていく。


 服は昨晩、ポワゾンが縫い合わせて作ったものらしい。チラッと見えたが、気合いの入った可愛い服だった。

 白い生地に黒いレース、世にいうフリフリなやつだ。男からすると、やり過ぎなくらい可愛い服ってやつに見えるんだが……


「可愛い! 見てくださいナズナちゃん、お姫様の服ですよ」

「お、おち、落ち着いて、リーフちゃん……わかるから、でも……着ていいの……かな」


 室内から聞こえる2人の嬉しそうな声と動揺、それに対して優しい声で嫁ちゃん達が返事をする声。


 こりゃ、長引くな……はは。


 ポワゾンもみんなも、2人が大好きなんだと素直に笑みがこぼれる。


 そうして、階下に向かい、厨房を見れば、ベリーが朝食のためのサラダ作りをしており、フライちゃんがパンを切り、ドーナが皿を並べてくれている真っ最中だった。


「みんな、おはよう」


「マスター。おはようなの〜」


 皿を並べ終わったドーナが俺目がけて飛んできたので、しっかりと受け止めてやる。


「朝から元気だな」


「そうなの! ベリーちゃんとフライちゃん以外の皆は、今はいないの、だからドーナが手伝ってるの!」


 軽くプンプンしているベリー。


「ドーナ、サラダも運んでくれる?」と言われると「はーいなの〜」と走って移動していく。


 朝食の準備には人が足りているようなので、1人、庭に出て“買い物袋”からホットの缶コーヒーを取り出して“カポっ”とプルタブを押し上げて、開けていく。


 缶コーヒーを飲みながら、片手に煙草……朝の優雅な一時ってやつだ。


 そういえば、“プルタブ”って言い方は、正式な名前じゃないって聞いたけど、なんでプルタブで覚えちゃったんだっけか……


 多分、俺が古い人間だからだろうなぁ、ガキの頃って、缶の開封口が取れるのが当たり前だったしな……


 それに“ステイオンタブ”って言葉が、言い難いのも悪いよな……だから、結局、簡単な方を覚えちまうんだよな。


 そんな過去の記憶、いつか、薀蓄(うんちく)として使おうと暗記したかすかな知識だ。

 まぁ、異世界にきた今となっては、缶コーヒーを一つ取っても、未知の存在扱いだから、本当に使う機会は無くなったがな。


 俺に才能があれば、ここで一句なんてのも、いいが……文才は皆無だからやめておこう。


 そうして、目を瞑りながら、あれよ、コレよ、と考えていると、不意に俺に向かって走ってくるナズナとリーフの姿が見えた。


「パパ〜見てみて、ナズナちゃんとお揃いです」

「パパ……似合うかな……リーフちゃんみたいに可愛い?」


 足にしがみつかれ、驚く反面、手早く煙草を“リサイクル袋”へと放り込んでいく。


「2人とも、改めておはよう。可愛すぎて、天使が走ってきたかと思ったぞ」


 2人の頭を撫でてやりながら、服を褒めてやるとポワゾン達も庭にやってきた。


「ご主人様、煙草を捨てられた判断は正しいですね。ですが、2人の服には風魔法の術式を編み込んでありますので、真横で吸われても大丈夫です」


「いや、あの、それは人として……」


 俺が慌てるように手を前に出すと、ポワゾンは何が気に食わないのか? と言うように小首を傾げ、俺を見つめていた。


「ご主人様、好きな物を我慢する仕草や、慌てて隠す仕草は、教育に対してあまり良くないかと……2人には、ご主人様のありのままをお見せください。宜しいですね」


「でも、煙草はなぁ……」


「ですので、2人の服には風魔法を、つまりは煙草の煙、麻痺毒、毒煙、すべてのものを風により遮断するので、むしろ、遠慮は不要です」


 自信満々のポワゾンの言葉の先にある瞳が“とりあえず、一服してくださいませ”と囁いているようだった。



 こうして俺は、朝の至福が緊張と罪悪感の一服になるが、ナズナとリーフの2人に煙草の煙が向かうことはなかった。


 ポワゾンが笑いながら「これなら、ご主人様も気兼ねなくいられますね」と囁いてきた。


「ありがとうな、ポワゾン」


「はい、ですが、ワタシの作った服以外の時は、控えてください。約束ですよ?」


 最後のポワゾンとの約束は絶対に守ろう、母は強しって言葉があるが、嫁は怖しのがあってる気がするよな……


「わかってるさ、さて、朝食を食べたら、フライちゃんの大会優勝の授与式だから、急がないとな」


 俺達は庭での家族タイムを中断して、朝食を食べに向かう。


 俺の朝にささやかな幸せが増えた瞬間だった。

読んでくださり感謝いたします。

☆☆☆☆☆で評価ありがとうございます


下にある[ブックマークに追加]もしてもらえたら、嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ