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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
9章 女神の遊技 不始末の照らす先へ

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252話、ナズナ……

 初めての晩御飯……あたしは、すごく嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて、気づいたら……涙が溢れていた。


 あたしは要らない存在だったから……

 誰かに名前も呼ばれない……

 誰にも存在を知られない……

 ただ、いるだけの存在で、それ以上でもない。


 あたしは、“名も無き神”って呼ばれてたけど、名前なんかじゃない……存在を認められない神に与えられる名前……寂しいよ……悲しいよぅ、なんで1人にならないとダメなの……


 助けて、1人、なんて、やだよ……


 あたしは長い孤独の中で、ゆっくり過ぎる時間と共に生きていく。

 最初は、日にちを数えてみた……誰かが来るんじゃないか、もしかしたら、あたしには……本当のパパとママがいて、あたしを探してくれてるんじゃないかとか、色々考えた。


 最初の一年は孤独で誰も来ない空間に1人で座り、たまに頭の中で、自分自身に問い掛けては“大丈夫だよ?”、“きっとパパとママが迎えに来てくれるよ”と自分の問に自分で答える日々が続いてく。


 すぐにやめた……“50年”くらいで、無駄だと気づいたから、あたしは考えるのをやめた……


 ただ、あたしが考えることをやめて、希望を捨てて、すべての流れを受け入れた時、あたしは天界から突然、転移術式により呼び出された。


 囲むように座る老人達はどこか偉そうで、あたしの存在なんか無視して、一方的な質問を色々と聞いてきた……でも、あたしは何も返せなかった。


 だって、あたしは……生まれてから、今この瞬間まで──誰かに喋りかけられたことなんてなかったから……


 本来なら喋りかけられたことを喜ぶべきなのか? それとも、感動で涙を浮かべるべきだったのか……何も分からない……


 もう、今更、何があってもどうでもよかったし、何も……望む気もない。だって、あたしは……誰にも必要になんかされないんだから……


 捻くれ者? 反抗的? 無感情? やる気がない? 無関心? 愚かな娘? 色々な言葉を、初めて見る髭だらけのお爺ちゃん達に言われた。


 ここであたしが改めて女の子なんだと理解した。自分の性別すら曖昧だった。

 他の性別を見たのもこの日が初めてだった。


 あたしが無関心に別のことを考えながら、話を聞き流すのが気に入らなかったのかもしれない。


 久しぶりにそんなことを考えた時、不意に理不尽という言葉が頭に生まれた。

 知らなかった言葉と単語が次々に浮かんできて、内側から割れてしまいそうになる。


 そんなあたしを見て、髭だらけのお爺ちゃん達は何かを勝手に決めたようだった。頷きながら、立ち上がるとあたしを見下ろした。


 ただならぬ、恐怖? 初めて、近づかれる恐怖という感情を感じて、身が震えている……


 いくつも頭の中に羅列される言葉の意味が分からないが、恐怖を恐怖なんだと、怖いを怖いんだと、感じることは簡単だった……。


 震えるあたしは、次の瞬間には真っ白い空間に飛ばされ、ゆっくりと立ち上がる。


 そこで、あたしは、あたし以外の女性と初めて会った。

 青色なのだろう、髪の毛が作り物みたいに綺麗な女の人。


 あたしが、恐る恐る質問をしようとするが「あ……は、だ……れ……の」と発音ができなかった。


 それなのに、彼女はあたしに「私はサポーターです。あなたにこの“バッカス”の管理者としての仕事とルールを教える存在です」と笑いかけてきてくれる。


 そこから、前任者のことを軽く聞いたが、名前や立場などは非公開だと分かる。

 天界のランクというもので観覧できる情報の管理がされているらしく、あたしは底辺から数えた方が早い存在だと理解した。


 ただ、サポーターは名前を教えてくれなかった。


 サポーターはあくまでもサポーターで名前をつけたり、もらったりはしないらしい。

 何より、前任者との日々はリセットされるらしい。


 あたしよりも、悲しい存在に見えてしまったが、サポーターと過ごす日々はあたしの喜びに変わっていた。


 そんなある日、バッカス大陸を眺めていた……単なる暇つぶしだった……あたしの毎日は世界の監視をして、すべてを見逃すことだった……


 必要のない仕事だった。


 ただ、その日、偶然見ていた地上で小さく震える女の子が視界に入った。

 孤児なんて珍しくもないし、そこら辺にそんな子はうじゃうじゃいる。


 わかっていても、視線が離せなかった……真っ赤に焼けるような頬の色、痩せこけた貧相な身体、誰が見ても汚い女の子……ただ、諦めてない瞳だけがあたしを吸い込むようだった。


 あたしにとって、この瞬間がすべてを決める分岐点だったのかもしれない……

 間違えたはず……少し違う、あたしの人生が流れ出していく感覚、まるで砂時計の粒がゆっくりと時を刻み、元の位置に戻らないように……あたしの選択もまた、戻ることはない。


 初めて自分で決めた瞬間だった。


 あたしは孤児であろう少女を助けてしまっていた。野ざらしで弱った肉体をサポーターちゃんの力を借りて回復したり、サポーターちゃんに栄養について学ばせてもらった。


 最初は元気がなかったけど、少女はあたし達に笑みを浮かべてくれるようになり、あたしとサポーターちゃんも不思議とやり遂げたって気持ちになれている。


 ただ、この行動は本来の不干渉の断りに反する行為らしい。よく分からないがサポーターちゃんは、ずっと“警告”ってあたしに言っていた。


 あたしはあたしの思うままに動いていくことをやめないため、最近は素直にサポーターちゃんも手伝ってくれるようになった。


「あ、ありがとう……サポーターちゃん、ずっと、ずっと感謝……してた、ずっと、言えなくてごめん……ね」


 あたしがそんな言葉をサポーターちゃんに掛けないといけない事態が起きた。


 度重なるバッカスへの干渉をよく思わない天界から、あたしを捕まえるための天兵が送り込まれることになったからだ。


 追い詰められるように白い空間を移動するあたしとサポーターちゃん、そうして最後の瞬間がやってきた。


「サポーターちゃん、あなたは悪くない……あたしだけ、あたしだけが悪いから……サポーターちゃんだけは助けて……」


 懇願するように頭を下げたあたしの言葉に天兵達は「罪は両者にあります……」と話を聞いてくれる気はないらしい。


「大丈夫です。ただ、名も無き神様、時間がありません……アナタが正しいと思うように生きるのが人生かと、ですので──良き、異世界生活を、行ってらっしゃいませ、ナナカミ様」


 サポーターちゃんの言葉と共に、あたしの意識は暗闇に飲み込まれていく。


 目覚めた世界は黒一色の世界で、僅かながらの光がどこからか照らされているのみだった。


 サポーターちゃんの姿はなく、誰もいない空間、あたしは泣いた。ただ、泣きじゃくってしまっている部分がいる。


 そんな時、不意に聞こえた、小さな声……あたしとサポーターちゃんで助けていた少女の声だった。


 あたしは必死に少女に声を発していた。


「リーフぅぅぅぅ」

 どんなに叫んでも何も返ってこない。


 情けない姿だろう、名前が無いと言っても神であるあたしが、1人の少女に助けを求める結果になっているんだよ……なんでだろう、涙が出ちゃうよね……


 あたしの希望が生まれた……一方通行に施してきた。ただ、助けたかった……役に立ちたかった、必要とされたかった……


 自分の価値を知って欲しかった……


 弱いあたしはリーフに救われた瞬間だった。サポーターちゃんもいない、誰にも気づかれない寂しい景色にリーフが来てくれた。


 それから、リーフはあたしに向けて言ったの。


「ナナカミ様、皆に名前を知ってもらおうよ」


 そんな、嘘みたいな言葉だった……


「え、えっと……リーフちゃん、なにを?」


「私、ナナカミ様が皆に知られたら、きっと凄く幸せだと思うんです」


 リーフはあたしのことを真剣に悩んでくれた……もちろん、無理はしないで欲しかったから……少しだけ、力の使い方を教えてあげたの……


 あたしの力は……【反転】、あまり強くないし……攻撃とか争いに向かないスキルだけど……リーフは喜んでくれた。


 子供から大人に【反転】したリーフに抱きしめられた時はびっくりしたし、温かかった。


 それでも、天界から存在がバレたみたいで、あたしの力を手に入れたリーフは、新しい管理者に追われることになったの……


 女神エトランジュ様は、あたしよりも高位の女神様で、リーフにはたくさん逃げてもらった。


 途中でいろいろな人に出会って、そんな中の1人が、あたし達を救ってくれた……


 あたし達を許してくれた……名前をくれた……抱きしめてくれた……


 だから、あたしもリーフもパパとずっといたい……不思議なママ達といっぱい喋りたい……


 愛してるし、愛してくれてるパパとママ達が大好きだよ。

読んでくださり感謝いたします。

☆☆☆☆☆で評価ありがとうございます


下にある[ブックマークに追加]もしてもらえたら、嬉しいです。


2025/12/13三回目の投稿ですm(*_ _)m


朝、昼、晩の三回に投稿しました。投稿の仕方を色々と考えてるせいで、なんか、すみません



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