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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
9章 女神の遊技 不始末の照らす先へ

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244話、戦う理由。デジールの目的

 会場からは、ウィル・アクシオンに賭けた連中からの絶望の叫び、俺に賭けた変わり者は喜びに歓喜の奇声を上げ始めた。


 3位になっちまったなぁ……


 そんなことを考えながら、ゲートから通路を進んでいた。


 薄暗い通路の奥に僅かなランプに照らされた人影があり、俺はその場で足を止める。


「あら、意外に冷静ね? 私よ、エトランジュよ。試合お疲れ様じゃない。どうだった? デジールの感想を教えてよ」


 悪戯っぽくに笑うエトランジュはクスクスと楽しそうに笑いながら近づいてくる。


「いや、どうせ見てたんだろ? それより、確認したいんだけどさ」


 デジールが口にした「“癒しの滴”じゃないと、治せないから、ミトロ・ジーア様のため」って内容について質問していく。


 俺からミトロ大司教についての質問が出たことが余程意外だったのか、エトランジュが首を傾げると、視線を後ろに回し、声を掛けていく。


「デジール? アナタったら、肝心な説明もしてなかったの? 仕方ないわね」


 通路の奥側から、俺より先に退場したデジールが気まずそうに顔を出した。


「……はい、3位に興味ないとか、格好つけて話した後だったから、伝える間がなかったと言うか……」


 少しおどおどした態度に大会中の勝気な雰囲気はないなぁ。


「はぁ、仕方ない子ね。ごめんね。私から話すわ」


 そうして、エトランジュはミトロ大司教の体がどんな状態なのかを話してくれた。


 話を聞いていく中で俺が理解したのは、ミトロ大司教という人間の身体が年により、限界が近い事実と長年の無理がもたらした結果、本来よりも限界が早まった事実だった。


「つまり、優勝賞品の“癒しの滴”には、本来の寿命に戻す役割もあるって話で合ってるか?」


「まぁ、そうなるわね。さすがに病なら何とかできるけど、根本が身体、本来の限界じゃ、女神も介入できないのだからデジールには私の手伝いをさせる代わりに眷属になってもらったのよ」


 サラッと弱みにつけ込んだ事実を知らされた気分だな。


 ただ、既に優勝者が身内しかいない事実と、“癒しの滴”は既に俺が“買い物袋”で金貨で買えてしまう事実がある以上、やることは一つだと思う。


 急がば回れなんて言葉があるが、本当に急いでいるなら、強行突破ってのも必要だろう。いや、必要だと思うんだマジに。


 そうして、話を聞いていく最中に俺は新たな疑問について質問をする。


「なぁ、エトランジュ……リーフはどうするつもりなんだ……まさか、命を奪うような真似はしないよな……」


 俺の言葉は確認であると同時に、見極めの一手だった。仮にエトランジュがリーフを始末する気なら、さすがに説得だけはしたい。


「あら、意外ね? もしかして、あの子も欲しくなったの、アナタってば、本当に好色家ね」


「違いますから! それより、どうなんだ、そこは……しっかり答えてくれよ」


「そうねぇ、まずは勘違いから、正そうかしら? 誤解しないで欲しいのは、女神は本来、人に危害なんて加えられないのよ」


 エトランジュは自分の顎に人差し指をあてるとそう呟き、言葉を続ける。


「確かに、例外はいるわ……ただ、私みたいに管理者になるとその例外にはなれないのよ。管理者の役割があるからね」


 エトランジュが女神は“監視”・“管理”・“改善”を任された存在だと説明してくれた。


 本来は“介入”・“助言”・“力の行使”など、多くの制限が課せられるのが世界の管理者であり、転生と転移の神に与えられる裏事情も教えてもらう。


「話がずれたわ、だから、この世界の人間を女神が始末するような真似はできないのよ。それに女神である私も世界の住人扱いだから、できたら、誰も罰せなくなるでしょ、理不尽すぎるもの」


「でも、エトランジュが追い掛けてた相手って、リーフなんだろ?」


「正式には、リーフに残された前神の欠片ね、本当に、無名の神が力を持つとロクなことしないから、あの子を使って、復活まで企むから仕方なくね」


 前神(前任管理者)は、リーフに強い暗示と力の欠片をバレないと思い与えていたらしく、リーフ本人は既に投獄された“名も無き神”の与えた使命を今も遂行するために動いてたようだ。


 内容も既に明らかになっていて、名も無き神は、自分の存在を優勝するであろう、リーフを使い新たな信者を増やすため、利用するつもりだったらしい。


 ただ、既に捕まり、神託と称した命令ができなくなった今、リーフは新たなそれを受け取るために眠りについているとも聞かされた。


「まあ、だから、彼女は目覚めないのよ、女神から神託を受けるための空間に、もう名も無き神は現れない。ただ、待つだけの時間が永遠に流れるわ」


 俺は何を言えばいいか分からなかった。拳を握る手は自分が話を聞いたら、何かできると思っていた反動か、いつもより強く力が込められているように感じる。


「なんとか、ならないのか……」


 誰も来ない部屋で1人なんてのは、口にしたらよくあるんだろうが、その孤独が永遠に続くなんて、そんな事実、利用された少女が1人受け止めるなんてこと、あっちゃダメだろ!


「え、助ける気なの? 少なくとも、被害者だけど、リスクを考えたら、オススメしないわよ」


「なんて言うか、ずっと誰もいない部屋に1人で待ってるんだろ、それって悲しいと思うんだ……」


「ううん……なら、時間が無いわね。リスクを最小限にするためにリーフの身体を連れてきなさい。あとフライさんには、“きっちり話すのよ!”場所は入口手前の医務室だからね。急ぎなさい」


 困ったように苦い顔を浮かべたエトランジュの言葉に俺は頷くとすぐにフライちゃんの待つ控え室に走っていく。


 通路を走り出した際、デジールにも何かを伝えているようだが、今は走るのに集中しよう。


 控え室の前に移動した俺は、黒鎧のヘルムを取り、扉を開いた。


 フライちゃんは室内で退屈そうに座っており、俺の顔を見て驚いていた。


「正体バラしていいんですか?」

「もう、全員にバラしたから大丈夫だよ。それより話があるんだ」


 そうして、話をするとフライちゃんがかなりお怒りになったが、最後は「はぁ、本当にお人好しですね」と納得してくれた。


「分かりました。ついでなので“癒しの滴”のこともメフィスに納得させます。なので好きに使えばいいと思いますよ」


 フライちゃんからは最後にエトランジュ宛の伝言として、「絶対に無事に終わらせない」と伝えるように言われた。


 次にベリー達に任せていたリーフを迎えに行き、エトランジュと共に助ける内容を嫁ちゃん達に話すと、こちらもきっちりと呆れられる結果になってしまった。


 ただ、最後には諦めた笑顔で俺を送り出してくれた。


 こうして、リーフを医務室に運ぶ。


 室内にはエトランジュ、デジールの他にヒヒ様と見慣れない老婆が待っていた。


「えっと、どちら様?」


「……はじめまして、かしら? ミトロ・ジーアです。デジールから頼まれてヒヒ大司教と力を貸しに来ました」


 優しそうな笑みを浮かべたミトロ大司教がニッコリと笑う。


 ただ、元気そうに見えるが、どこか弱々しい雰囲気を感じられる姿に俺は悩まずに“買い物袋”を開く。


「これを飲んでください」


 俺は回復薬だと言いながら、“癒しの滴”をミトロ大司教に手渡す。


「これは……まさか、盗んだのですか」


 悲しそうな顔を浮かべるミトロ大司教にエトランジュが軽く言葉を掛ける。


「彼は盗んでないわ。女神の私が保証するから、飲みなさい」


 エトランジュの後押しで小瓶を開き、全てを飲み干したミトロ大司教の体が眩く輝くと、表情が明るくなり、雰囲気からも若干若返ったようにすら感じられる。


 準備が整うと、俺達はリーフを眠りから解き放つために行動を開始する。


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