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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
9章 女神の遊技 不始末の照らす先へ

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242話、まさかの共闘? 三位決定戦・上

 最終日の大会前半が終了する。俺も通常運転で屋台を手伝うことになり、売上もぼちぼちを叩き出すことができた。


 この大会に参加した上位選手である嫁ちゃん達が売り子をしていることもあり、人気に拍車がかかったんだろうな。


 まぁ、屋台だけあって、俺が鉄板と向き合っている間も命知らずのナンパ野郎が何人か来ていたみたいだが……


「おい? ナンパ野郎、買うんだよな? 最低十人前からだからな、文句ねぇよなぁ!」


 ミトがナンパ野郎からしっかりと勉強代を搾り取っており、ミアとニアにポーズをお願いする記者がいたりと、屋台の周りは大賑わいだった。


 最後にはルフレ殿下が登場して、大騒動ってのが半日の前半部分の話になり、本当に慌ただしい日になりそうだよ……


 ちなみに俺は黒騎士として敗北してしまったため、本来は3人の選手が1位、2位、3位を争う総当り戦を行う予定だったようだが、ストレートに1位、2位を決める決勝戦になってしまった。


 最初の一試合目が俺とリーフ戦になり結果は引き分け……


 第二試合の勝利者──フライ。

 第三試合の勝利者──メフィス。


 この2人が戦い、勝った方が大会の一位となる。


 まぁ、勝利者が決まるんだが……2人の力関係を知っている俺からしたら、なんとも言い難いんだよな。


 それに、賭けの倍率や勝利予想と人気はすべてメフィスがダントツで人気らしい。

 俺はヒヒ様に頼んで既にフライちゃんが勝つ方に金貨100枚を賭けさせてもらっている。


「おい、見ろよ? アイツ、金貨をあの娘側に賭けたぞ」


「まぁ気持ちは分かるが、メフィスの勝ちだろうな?」


「ちがいねぇや、去年はウィルに賭けて大損したからな、他の奴らも賭けの元締めに一泡吹かせる気満々だろうさ」


 そんな声が至る所から聞こえてくる。どうやら、去年も最終試合が合法の賭けになっていたらしいな。


 ついでに言えば、去年はウィルに賭けた連中が多かったらしい……メフィスの奴は去年から参加してるみたいで、それまでは、ウィル・アクシオンが優勝者だったらしいな……


 裏を返せば、教会側のトップが引退して、三派閥になったから、ルフレ殿下が釘を刺しに掛かったんだろう。


 まぁ、今回の対戦カード的に、フライちゃんが勝つなんて思う奴はいないんだろうな。

 賭けてる連中の大半が王宮大魔導士のメフィスが勝つと信じてるみたいだしな。


「知らぬが仏ってか、まぁ、俺は俺で嫁を信じるのみだからな、フライちゃんなら大丈夫だろうしな」


 日本なら、こんなスポーツ賭博みたいな賭けは一発アウトだろうが、異世界なら問題ないだろう。


 ついでに言えば、最終試合は本当に盛り上がってるから、元締めの連中もフライちゃんに賭けた奴を小馬鹿にするような態度まで見せてるしな。


「ありゃ、泣きを見るだろうな?」


「さっきから独り言ばかりじゃないか、ほれ、お前さんに頼まれた賭けのチケットだよ。しっかり受け取りな」


 俺の言葉を聞いていたヒヒ様が突然現れ、俺の代わりに賭けの証明書になるチケットを渡してくれた。


「あ、すみません。助かります」


「構わんさ。アタシも買わせてもらったからね、何よりアンタに賭けた分もあるんだ。次こそ損は御免だよ?」


 ヒヒ様の発言に俺は首を傾げていた。


「何の話です?」


「何を言ってんだい? アンタが3位に入るかどうかの賭けだよ。アンタに賭けたって言ってんだよ。それにアンタの嫁らも、アンタが勝つ方に賭けるらしいからねぇ、負けるんじゃないよ!」


 俺は3位決定戦の存在を忘れていた……三試合があり、本来なら上位3人が順位を付けられるはずの試合──俺の試合が引き分けたせいじゃんか!


 頭で理解してたが、当事者目線で考えてなかった事実に気づいた瞬間、自分がやはり、一般人なんだと痛感した。


 呆然とする俺にヒヒ様が悪人も逃げ出すような鋭い視線と似つかわしくない笑みを向けてくる。


「次に負けたら、アンタの嫁も損をするだろうからねぇ、男を見せてきな、わかったね!」


「わ、分かりました……」


「よし、決勝戦前に3位決定戦をやるって話だ。アタシはその報告をアンタにするために来たんだよ。しっかり頼んだよ」


 ヒヒ様は言いたいことを言うと去っていった。


 軽い休憩をもらってぶらついていた俺は、慌てて嫁ちゃん達が待つ屋台に走っていった。


「あれ? オッサン! 何してんだよ、早く行かないと試合始まるじゃんか!」


 ミアが俺に気づくと、こちらに走ってきて、周りを気にしながら、そう口にしてきた。


「あ、いや、みんなに話してから行こうかと……」


「いいから走れって、ボクが伝えとくからさ、まったく、変なところ真面目だよな?」


「あはは……なんかいつも、悪いな」


「悪くないから、勝ってきてよ。ボク達の屋台の稼ぎを全部賭けたからさ、負けたら、タダ働きになっちゃうからね!」


 負けられない理由がプラスされ、俺はため息をグッと飲み込み笑って見せる。


 ミアの後ろ側、屋台側からもベリー達が笑みを向けてくれた。


 嫁の笑顔を守るためにも勝たないとな。


 そうして、鎧を再度、装着した俺はゲートに立っていた。


 改めて、俺に大会なんて似合わないと感じるが、信じてくれてる人がいる。

 その信じてくれてる人が嫁達なら、負けたくなんかないし、諦める気もないって話だな。


 そうして、俺はリングへと向かうことになった。


 ただ、リーフは意識が戻っていないため、棄権扱いになっているので、この3位決定戦は3人のバトルロワイヤルになるようだ。


 俺ほど、バトルロワイヤルが似合わない選手はいないよなって思うが、リングに立つ2人の選手はやる気満々らしいな……


 メフィスにボコボコにやられたウィル・アクシオンとフライちゃんにボコボコにされたデジールの2人が俺に視線を向けてきている。はぁ、胃が痛いわ……


 しかも、俺は仮だが、3位決定戦が教会三派閥の代表者って、本当に勘弁してくれよ。


 そうして、俺がリングに上がり、ミクロ・フォーノが3位決定戦の幕開けを宣言していく。


 ただ、誰が先に動くか分からない状況で試合開始の鐘が鳴らされる事実に俺は身構えることしかできなかった。


 開始の鐘が鳴ると同時に、最初に動いたのは、ウィル・アクシオンだった。


「悪いが、負けられないんでな! 決めさせて貰う! 【ライトニング】」


 ウィル・アクシオンの握る剣が発光すると同時に雷撃を纏い、大きく振り上げられた剣が横に振り払われる。


 稲妻の刃が轟音を放ちながら、リングすべてを攻撃範囲にするように俺とデジールへと襲い掛かる。


 俺は雷撃に対する対応策を持っていないため、咄嗟に腕につけていた中華鍋を力任せに外し、稲妻の刃に目がけてぶつけていく。


 中華鍋が稲妻とぶつかった瞬間、リングに中華鍋が落下する。その直後、無数の落雷が中華鍋に降り注いでいく。


「反則すぎるだろう! あんなのどうすりゃいいんだよ!」


 俺が声を上げた瞬間、デジールにも稲妻が襲い掛かろうとしていた。


「あぁ、ちくしょう! 男が女に! そんなヤバイもん向けてんじゃねぇよ!」


 咄嗟に【ストレージ】から、ベコベコにされた黒鎧の“鬼の黒兜”を取り出し勢いのままに投げつける。


 デジールに直撃するはずだった稲妻が鬼兜を包み込んだ瞬間、雷が降り注ぎリングを削り取っていく。


「な、私に助けなんて!」


「悪い、なんか夢中で割り込んだ! エトランジュから、アンタが眷属って話を聞いてたからさ」


 多分、聞いてなくても助けたんだろうが、理由がないと嫁ちゃん達から色々言われちゃうからな……


「さてと、女とおっさんに容赦ない聖騎士様を何とかしないとな」


「アンタ、変わってるって言われない?」


「よく言われるな」


 デジールの反応から、多分、協力してくれると思いたい。


 俺とデジールの共闘は無言のままに結ばれた。

読んでくださり感謝いたします。

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