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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
9章 女神の遊技 不始末の照らす先へ

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236話、仲間の為の戦い

 ウルグの変わり果てた姿に対して、フライちゃんが口にした──「多分ですが、()()()()側の力だと思います」という一言に俺は眉を潜めた。


 フライちゃんが口にする“わたし達”ってのが引っ掛かってならない。


「ごめん、フライちゃん、分かるように説明してもらえると助かるんだけど……」


「そうですね。外で話すことにするのですよ」


 言われるまま、廊下に移動した俺の顔を見つめ、真剣な眼差しを向けながら口を開く。


「ウルグさんのことですが、端的に言って、あれは女神の加護によるモノだと思います……ただ、加護だけであのような状態にはならないでしょうから……最悪は身を捧げている可能性があります……」


「身を捧げるって……何の話なんだい、フライちゃん……いきなり、怖い話になりすぎじゃないかな」


「力を手に入れるっていうのは、それだけ大変なんです!」


 2人で話している最中、突然のため息と呆れたような表情がこちらに向けられた。


「はぁ……フライさん……何、話をややこしくしているんですか? そんな説明の仕方をしたら、アナタ達の旦那様に誤解されてしまいますよ」


 声の主は、病の女神──病神のエトランジュだった。


 最近よく姿を見せるが、今はそれについて言及するよりも、フライちゃんの発言に対して、間違いを指摘した事実が気になってしまう。


「一旦、フライさんの旦那と2人で話させてもらえるかしら、なるべく分かりやすく説明してみるから……」


 フライちゃんが反論していたが、普段と違い、エトランジュは堂々とそれを論破してしまった。


「フライさん、今は私に任せてください! フライさんたら、説明がすごく残念な形になるでしょうに、無理をしないでくださいな」


 この一言で、エトランジュが勝利を掴むと、フライちゃんは医務室に入っていってしまった。


 追おうと伸ばしたその手をエトランジュが止める。


「フライさんが話に入ると時間が何倍も掛かるかもしれません。いいんですか?」


「いや、多分にそんなことないだろ?」


「はぁ……あるんですよ。フライさんは戦闘やスキルのセンスは凄まじいのですが……脳筋な面がありまして……説明や説得は壊滅的に残念な女神なんですよ」


 エトランジュの説明に最初の出会いを思い出す……


 確かに、説得は下手だし、説明もアレだったよな……今回はエトランジュに従うか……すまんフライちゃん。


 そう考えてしまった瞬間、医務室の扉が勢いよく開けられ、怒りと涙に歪んだフライちゃんの顔がこちらに向けられる。


「分かりました、きんざんさんの浮気者! わたしは説明してあげません! エトランジュと仲良く話せばいいんですよぉだ!」


 バタン、と扉が再度閉められる。


「はぁ……とりあえず、無心で聞いていただけますか? 私もフライさんに恨まれたら困りますので」


「あ、はい、譲歩します……」


 説明が開始されるとエトランジュが、まずはデジールについて話し始めてくれた。


「デジールは私の選んだ信徒であり、私の眷族扱いになります。ですので、奥様方に勝ってしまいましたが、恨まないでもらえたら嬉しいのですが」


 頷き、そのまま話を聞いていくと、“眷族”が何かについての説明をしてくれた。


 眷族とは、よくある神々の使いみたいなポジションで、神の力を何分の1程度の威力だが、使用することが許された存在だとわかった。


「つまり、デジールの強さはエトランジュさんが与えた力って解釈で大丈夫かな?」


「うーん、少し違うかな? 私の力を使えても眷族側が耐えられなければ使えないの、だから、デジールの本来の力に【スキル】って形でプラスされてる感じかしら?」


「なんとなくは、理解しましたが、なら、リーフもエトランジュさんの眷族ってことですか?」


 俺は真っ直ぐに見つめながら、口にした瞬間、先程まで、緩やかな表情で語っていたエトランジュの顔が冷たいものに変化する。


「口は災いの元って言うらしいけど、軽率な判断はオススメしないわよ……私の眷族はデジールのみだし、複数の眷族を有する場合のリスクを考えたら、普通はしないわ」


 地雷を踏んだことに気づいて、慌てて謝罪しようとするが、頭を下げる前に止められる。


「謝らなくていいわ、そりゃあ、あんな話をしたなら、そう勘違いもするわよね。ごめんなさい。ただ、あのリーフって娘は、私から見てもタチが悪いわね」


 俺は話の本質が見えないせいか、首を傾げそうになっていた。


「ごめんなさい。あのリーフって娘は間違いなく、女神の眷族よ……私が追っていた存在もあの子よ。ただ、今は手を出せないのよね、腹立たしいわ、まったく」


「手を出せない?」


「そうよ、この人間側が開いた武闘大会って祭りは、神々に捧げる催しみたいなモノなのよ。だから、現状で世界を見守る立場になった私は見守ることしかできないのよ」


 エトランジュは世界の監視者であり、転生と転移を担当する女神を兼任しているため、大会参加者に直接、手を出せない事実を教えてくれた。


 武闘大会が終われば話は別になるようだが、仮に優勝者がリーフになってしまうと、エトランジュが管理者の立場を辞めない限り、神に遊技を捧げた存在として、手出しができなくなるらしい。

 そのため、眷族を大会に参加させることを選んだらしいのだ。


「話が逸れたわね……ウルグって娘に関しては、大会中のスキルによる影響でしょうから、この大会参加の中でリーフの意識を失わせれば大丈夫なはずよ」


「そうなのか!」


「間違っても、大会以外で襲ったりしたらダメよ? あのリーフって娘は、戦闘の時のみ、眷族化してるみたいだから、下手な襲撃で眷族化する前に何かあれば、解除が困難になるわよ。いいわね?」


「分かった。最後に聞いていいか? リーフに力を与えてる存在って誰なんだ」


「あぁ、それは私の前任で、フライさんの後任だった、“名も無き神”よ……本来はこんな力なんてなかった筈が、フライさんがいきなり、アナタの元に向かうために引き継ぎをしっかりしなかったから、手違いがあったんでしょうね」


 呆れたような目でそう告げられた。


 俺のせいじゃんか! ウルグがひどい目にあってるのも嫁ちゃん達が危なくなってるのも、俺がフライちゃんに頼り過ぎた結果じゃないか!


「ありがとう……全部、理解した。リーフは俺もぶつかったら何とかするつもりだ。色々ありがとう、エトランジェさん」


「構わないわ、ただ、前任の“名も無き神”がどんな力を手に入れたかは私でも分からないわよ? ウルグって娘の様子からも催眠系やマインドコントロール系なのか、封印系なのかも未知数なんだから」


「それでも、必死に足掻いてみせます。ウルグは俺の大切な仲間なんで」


 話が終わり、エトランジュはまた姿を消した。


 少なくとも、今回の大会で明確に敵である存在がリーフだと絞れただけでも御の字だと思う。


 それと同時に、リング側から、既に開始されていた。

 第六試合、ウィル・アクシオン 対 アタンティフ・ヴァールハイトの教会派(アルノ・マーレ派)と冒険者ギルド側の敗者復活戦が終わったようだ。


 ミクロ・フォーノが“ウィル・アクシオン”の勝利を宣言している声と観戦席からの声がここまで響いてきていた。


 ・第一試合〇──フライちゃん 対 ポワゾン──✕


 ・第二試合〇──メフィス 対 ミア──✕


 ・第三試合反則負け✕──ドーナ 対 黒騎士──〇


 ・第四試合✕──ニア 対 デジール──〇


 ・第五試合〇──リーフ 対 ウルグ──✕


 ・第六試合〇ウィル・アクシオン 対 アタンティフ・ヴァールハイト──✕


 午前中の試合が全て終わり、6名の勝利者が決まった。


 そして、俺は“癒しの滴”を手に入れるというヒヒ様からの依頼よりも大切な仲間のために勝たなくちゃいけない戦いになっていることを再確認した瞬間になった。


読んでくださり感謝いたします。

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