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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
8章 王都に潜む影と信じる者

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230話、大会二日目、決戦表と朝の一時


 朝になり、独特の寒い空気が屋敷を包み込むのを感じながら、俺は目を覚ましてしまった。


 本来なら、まだ寝ていたいが、大会の二日目だと考えると遠足前の学生みたいに目が覚めてしまったという、オッサンなのに少年心を忘れない俺がいた。


 まだ寝ている嫁ちゃん達を起こさないようにリビングへと向かうと、既に目覚めて朝食の支度をするポワゾンの姿がキッチンにあり、声をかける。


「おはよう。ポワゾン、早いな? 今日は選手なんだし、ゆっくり起きたらよかったのに」


「ご主人様、おはようございます。大会出場は、あくまでも流れからなるものです。本来の仕事を蔑ろにして、寝ていては妻もメイドも務まりませんので」


 礼儀正しく、頭を下げるポワゾンはやはり真面目すぎるように感じるが、それでも俺からしたら、素晴らしい嫁だと素直に褒めたくなる。


「真面目だなぁ、でも、だからこそ、俺はポワゾンを信頼できるし、やっぱり俺にとって必要な存在だって素直に思えるんだよな」


「ふふっ、それですとワタシが不真面目でしたら、価値がないように感じてしまいますが?」


「違うからな、なんて言うか、不真面目でもポワゾンだから、そばにいてほしいって思うはずだからな」


「そう言うことにしておきます。ただ、ご主人様がワタシ達以外にそういった発言をしないかが心配でなりません」


 笑顔を浮かべながら、しっかりと釘を刺すあたり、本当に頭があがらないなぁ。


「ポワゾン、とりあえず、朝食作り手伝うから、2人で済ませようか」


「あら、昨日はベリーに優しくして、今日はワタシですか? 本当にある意味、紳士的ですね。ご主人様のそんなところが、やはり心配でなりません」


 そんなセリフを呟くポワゾンの笑顔を横目に、朝食の手伝いをしていく。そうして、みんなが起床するまでに仕上げていく。


 そうしてる間に、ベリーとフライちゃんがリビングにやって来て、次々に嫁ちゃん達が食卓に並んで座っていく。


 最後に起きてきたのは、やはりドーナであり、髪がヤマタノオロチみたいになっている。


「すごい髪型だな……」


 そんな俺の呟きと同時にドーナが影から(くし)を取り出すと俺の膝の上に駆け足で飛んでくる。


「マスター! 髪を可愛くするの〜」


 朝から足をパタパタさせるドーナの白い髪を(くし)とかしながら、綺麗に整えていく。


「ヤマタノオロチが、綺麗に退治されたら、櫛名田比売(クシナダヒメ)のでき上がりだな」


「クシナノヒメ? どんな姫なの?」


「クシナダヒメだよ。ヤマタノオロチに食べられそうになったのを英雄に助けられて幸せになるって話のヒロインだな」


「ふーん? ドーナにはマスターがいるから、英雄はマスターなの〜」


 朝から上機嫌のドーナが自分の席に座り、みんなで朝食を食べると、ゆっくりと時間が過ぎていく。


 そうして、フライちゃん達は一足先に選手用の控え室に入るために屋敷から移動を開始する。


 ベリーとペコ、グー、ミト、ナギの5人も屋台を出すために同じように俺とナギを残して、出かけていく。


 ナギは嫌がったが、ベリーとミトの勢いに勝てずに今日は別行動になる。


 屋敷を出る5人からなぜか笑みを向けられる。


「昨日は知らなかったけどよ、ふん、秘密にしやがって、最低な旦那様め! 勝てよな、鎧野郎!」


「「ご武運を、黒騎士な主様」」


「ごめんなさい。さっきうっかり、ネタバレしちゃったのよ。でも、皆が心配してたから、許してちょうだい」


「ナギはマイマスターといたい!」


「ダメよ!」「ダメだ!」「「ダメです!」」


 ナギに全員がダメ出ししてから、俺はみんなを見送ることになる。


 どうやら、俺の正体は5人(ベリー、ペコ、グー、ミト、ナギ)にバレてしまったらしい。ナギは最初から知っていたから問題ないが、ヒヒ様に説明するか悩むなぁ。


 それから少しして、ヒヒ様が馬車で迎えにやって来る。


「来たよ。早く乗りな……」


 ヒヒ様に言われて馬車に乗り込むと昨日と同じように裏口に馬車が移動していく。


 ヒヒ様が用意した部屋で鎧を装着した俺は選手控え室へと向かっていく。


 既にフライちゃん達が室内におり、自然と足を運ぶ俺に怪訝な視線が向けられる。


 朝の緩やかな雰囲気とは違う敵を見つめるような鋭い視線、俺が足を止めると同時に、背後からメフィスの声がする。


「いけませんなぁ……いきなり、あのご婦人方に歩み寄るのは無礼を通り越してますし、命知らずと言う他ありませんなぁ? 試合まで、威嚇のような真似は控えることをオススメしますねぇ、黒騎士殿」


 俺の正体を知っているからだろうか、少し笑いを堪えるメフィスの顔があった。


「いきなりすみませんなぁ、いくら、普段からご婦人に甘く、女性に囲まれている黒騎士殿からすれば、少し寂しいでしょうが、今は我慢してほしいものですなぁ……話したいのは理解しますがねぇ」


 メフィスが喋り終わると同時に、嫁ちゃんやウルグといった控え室の女性から鋭い視線が一斉に向けられる。


 完全に孤立した俺に小さな声でメフィスが囁く。


「殿下から、控え室で、いかがわしい雰囲気にしないようにと言われてましてなぁ……恨まないでいただけたら助かりますなぁ」


「メフィス殿……試合で貴殿が勝つように祈っております。まぁ勝てればですが?」


 ピキっと軽くメフィスの額がピクつく。


 俺なりの些細な仕返しを終えたあたりで、会場側から司会のミクロ・フォーノが大会二日目の挨拶を語る声が聞こえた。


 いよいよ、大会の本番と言えるトーナメントが開始される。


 そうして、対戦カードが読み上げられていくことになると会場からは、大きな声援と歓声がコロシアムに響き渡っていく。


 ・第一試合◆──フライちゃん 対 ポワゾン──◆


 ・第二試合◆──メフィス 対 ミア──◆


 ・第三試合◆──ドーナ 対 黒騎士──◆


 ・第四試合◆──ニア 対 デジール──◆


 ・第五試合◆──リーフ 対 ウルグ──◆


 トーナメントのため、第六枠として、敗者復活戦が昨日の夜に行われており、回復師により傷を癒したウィル・アクシオンと、アタンティフ・ヴァールハイトの二人が戦うことになる。


 ・第六試合◆ウィル・アクシオン 対 アタンティフ・ヴァールハイト──◆


 敗者復活戦が確実に次の試合に進むあたり、本当に汚いと思うが、本来の大会の目的を考えれば、仕方ないんだろうな。


 初戦からドーナか、手加減なんか期待できないな……こりゃ、死なない程度にがんばるかな……


 そんなことを思いながら、対戦カードを俺は静かに見つめていた。


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