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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
2章 相棒と強敵・新たな出会い。

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21話、アマゾネスの戦士?リリー、オークジェネラルのスキル

 笑う月の夜について、嫁達と話し合った結果、俺達はその場に残る事にした。


 あっさりと受け入れられた事には驚いたが、俺も残るつもりだったのでホッとしている自分もいた。


 話が決まった為、すぐにロウセンに報告に向かい、俺達も見張りに参加する事になる。


 人数が多かった為、改めて聞いてみると、全体で7 パーティーが存在していた。


 普段は2パーティーが見張りを行い、他が休むといった感じだったが、今回の笑う月の夜だけは、4パーティーが見張りを行うことになる。


 つまり、俺達が加わる事で8パーティーになり、見張りが安定して行う事が出来るようになった。


 俺達は後半の見張りになったが全員が眠る事に不安を感じた為、話し合って、独自に見張りを立てる事にした。


「俺はいいから、みんな寝てくれ、なんかあれば起こすからさ」


 嫁達の不満の声もあったが、納得させて、全員に眠って貰う。


 自分達のテントから出て正面に視線を向ける。


 焚き火を囲んだパーティーの姿があり、空には笑ったように輝く月が出ている。


「こいつは凄いな……」


 俺が初めて見た月は不気味に笑っていた……正確には、光の加減なのだろうが、それでも不気味に感じるのだから、なんとも言えないな。


 煙草を吸いながら、煙を月に向けて吐き出し、再度、周囲に視線を向ける。


 他のパーティーも落ち着いているが、何処か緊張感が漂っているのがわかる。


「ピリついてんな……まぁ、じゃあないか」


 煙草を消してポケット灰皿に入れると【ストレージ】に入れる。


 見張りの交代時間が迫っていき、そろそろ、嫁達を起こそうかと考えていた。


「う、うわぁぁぁ! オークだっ! オークリーダーとオークだっ! 全員を起こせ」


 突然の叫びに驚愕する冒険者達が武器を手に駆け出していく。


 俺の嫁達も、テントから飛び出すと直ぐに臨戦態勢に入っていく。


「みんな、起きたな! 最悪の状況だな、たく……」


「オッサン、やるんだろ! どうすんだよ」


「やるさ、ミアとニアは2人でオークを頼む、無理はするなよ!」


「分かってるって、ヤバかったらすぐに戻るよ」

「ニアもわかってるにゃ! 無事に戻るにゃ!」


 力強く、そう答えた2人の姿に頷く。


「信じてるからな、全体に無理すんなよ。ベリー、ポワゾン、ドーナは3人で動いてくれ、前衛はドーナに頼む、周囲に警戒して、ベリーとポワゾンは火力で殲滅してくれ」


「待ちなさいよ、キンザンさんはどうするのよ!」


 凄い勢いで俺に顔を近づけるベリー。


「俺は、新しい竜切り包丁(コイツ)の力を全力で試して見たい。加減が分からない以上、誰かを傍に置くのは避けたいんだ」


 俺の言葉に、嫁達の表情が一気に険しくなる。


「勝手な事ばっかり、キンザンさんのそう言う処は本当に理解できないわ!」


 ベリーの厳しい言葉、しかし、その瞳は涙で潤んでいた。


「ご主人様、今回は本当に最低です。女心を本当に学んでくださいませ」っとポワゾンが頭を下げて、ベリーの後を追う。


「マスター……ベリーちゃんを泣かせたらメッなの!」


 どうやら、俺は酷いことをしちまったみたいだな、でも、きっと大丈夫なんて、甘さがあったから、前回は後悔したんだ。


 今回のミアとニアには【スピードアップ】を与えてあるので、回避も逃走も問題ない。


 ベリー達も、新たなスキルを与えてあるし、何よりベリー達は判断が早い為無茶はしないだろう、不安材料のドーナもベリーの指示は聞いてくれるはずだ。



「さて、俺は俺の仕事をしないとな……【身体強化】【調理器具マスター】発動……」


 緊張感もなく、咥えた煙草に火をつけて、俺は竜切り包丁を握り、駆け出していく。


 俺の正面から木々を薙ぎ倒すようにして、オークの集団が姿を現す。

 冒険者のテントを狙っていたのか、無人のテントを踏み潰し「プギャアァァァッ!」っと雄叫びをあげている。


「おっかねぇな……でも、デカイ的が沢山いるなら、力任せでも大丈夫だよなっと! 」


 咥えていた煙草を一気に肺に吸い込み、正面に向けて走り出し【食材鑑定】を発動するとすぐに包丁を構える。

 鑑定が示した赤く点滅したポイントに向けて悩まずに刃を振り払っていく。


「うおりゃあぁぁぁぁぁぁッ!」


 ただ、力任せの一撃だった。

 剣術も槍術も、いや、むしろ武術の心得なんてもんは持ち合わせていない。


「ピギャアァァッ!」っと痛みからだろう、声をあげて倒れ込んだオークに俺は刃を振り下ろす。


「たく、耳に残るんだよ……だから、生きたまま解体とかは苦手なんだよな……」


 今はスキル【解体】を使用していない。【解体】スキルを使えば、俺自身の力が理解できないからだ。


 ただ、まだ一体を倒しただけであり、俺の周りには仲間を殺されて、ブチ切れたように眼を血走らせたオーク達の姿があった。


「次はどいつだ! スプラッターは苦手だし、豚の解体ショーもやりたかないんだけどな」


 そんな事は知らないと言わんばかりに、三体のオークが槍を手に突進してくる。


 正面から、走ってくるオーク達に向かって、横払いを放つ。


「恨むなよッ! 【リミットカット】ハァァァァッ!」


 ズバッと、激しい音が響き、水風船が破裂したようにオーク達が吹き飛んでいく。


 体力が一気に失われる脱力感と同時に、水分を補給した時のような体内の中を駆け巡る潤いを感じている。


「これが【リミットカット】と【自己再生】か、やべぇな、でもまだやれるな」


 俺が息を切らせているのを見たオーク達は二手に分かれて駆け出してくるのがわかり、俺は姿勢を低くして、足に力を入れる。


「敵はあれで全部か……なら、全力で吹き飛ばすッ!」


 囲むように俺に飛び掛かるオークの勝利を確信したような笑みに俺も笑い返していた。


「あばよ、ブタ野郎ッ!」


 漫画の敵役が回転で敵を薙ぎ払うように竜切り包丁を全力で振り抜いた。


 【リミットカット】を発動した全力の一振りが“ドガンッ”と肉を爆散させる。


 その一撃に俺自身も驚き、その代償が全身に筋肉痛のような痛みとなって駆け抜けていく。


「はぁ、はぁ、やべぇ……今、新しい敵が来たら、マジに終わるな……」


 そんなフラグのようなセリフを吐いた事をすぐに後悔する事になる。


「クソ!! 逃げろッ!」

「俺らだけじゃ無理だ!」

「うわぁぁぁ! 何とかしろ」

「魔法が弾かれてるわ、私には無理よ」


 数名の冒険者の叫びが聞こえ、俺の横を駆け抜けていく。


「アンタも逃げろ! ヤバいやつが来る!」


 正面の大木を軽々とへし折りながら、オークリーダーよりも巨大なオークがオークリーダー達を引き連れて姿を現した。


「ははは、前衛に居た連中は、全滅かよ……ミア達を別方向に向かわせて正解だったな……」


 逃げたくても、体が動かねぇんだわ……


 一瞬の歓喜からの絶望だった。


「デケェな、おい、ダンプくらいあるじゃんかよ、畜生が!」


 終わったと思った瞬間、背後から1人の冒険者が駆け出してくる。


「大丈夫かい!」と言われ、横に並ぶようにして大剣を構えた女冒険者と視線が重なる。


「ああ、だが、すぐに動けそうにない」


「喋れるなら大丈夫そうだね! これ飲みな!」

「回復ポーションか、ありがたいな」

「大銅貨1枚だよ、安くした分は戦闘で払いな」

「はは、ありがたいなら、ほら、頂くよ」


 俺は大銅貨を女冒険者に渡し、貰った回復ポーションを一気に飲み干す。

 それと同時に“買い物袋”を【ストレージ】から取り出し、急ぎベルトに縛り付ける。


「救いの女神に感謝だな」


「はは! 変なやつだな? アタイを救いの女神なんて言う奴は初めてだよ」


 内心で確かにと思ってしまう。

 俺を助けた女冒険者はアマゾネスのような筋肉質の体に長い茶色の髪、救いの女神よりは、(いくさ)の女神という方がしっくりくる。


「アンタ名前は?」

「俺はキンザンだ」

「アタイはリリーだ。悪いが逃げないで戦って貰えると助かる」

「当たり前だ、今逃げたら、叱られるからな」


 俺はそう言うと、徐ろに金貨を“買い物袋”へと1枚入れる。


 目の前に向き直ると、リリーとの会話を中断して正面から近づいて来るオーク達を睨みつける。


「オークジェネラルか、厄介な相手だねぇ」


 リリーの呟きに俺はギルドで読んだ図鑑を思い出す。


 上から数えた方が早いオークが上位種だ。


 キングやエンペラーといった進化をする可能性があり、『発見次第討伐しなければ被害が拡大する』と書かれていたモンスターだ。


「なぁ、リリーさんよ、勝てるのか?」

「勝てるか勝てないかじゃなく、勝つんだよ!」


 リリーは走り出していた。

 俺の竜切り包丁と変わらない大剣を握り、オークジェネラル達に向かっていく。


 俺も直ぐに動き出し、リリーを狙うオークリーダー達に斬り掛かる。


 オークリーダーは以前と違い、剣と盾を装備しており、盾を使ったガードをしつつ、リリーの攻撃を防いでいる。


「リリーッ! 後ろに飛べ!」


 俺の声に、後ろに飛び退くリリー、その瞬間、俺が前に出て、オークリーダーの腹部に刃を振り抜く。


「ピギャ!」と声がした瞬間、リリーの大剣が下から上に向けて放たれるとオークリーダーの首が宙を舞う。


「やるじゃないか、アンタ、面白いね」

「そりゃどうも、まだまだいますが、盾持ちを潰せば何とかなりそうだな」


 高みの見物を決めてるオークジェネラルが動く前に盾持ちだけは潰さないといけない。


「盾持ち、残り3体か、行くぞッ!」


 そこから、オークリーダーの盾持ちだけを狙い、攻撃を仕掛けていく。

 オークリーダー達も俺の行動に気づき、通常オーク達を前に出してきたが、リリーがオーク達を肉片へと変えていく。


「キリが無いな……他の奴らは大丈夫なのか」

「さあね、ただ、こいつが親玉なら、他の連中は大丈夫だろうさ」


 リリーは再度、身構えて、正面から突進してくるオークに斬り掛かる。


「俺もやるしかないな」


 今の俺は【身体強化】【食材鑑定】【調理器具マスター】の3つを随時発動している。

 少し悩んだが、更に【リミットカット】と【解体】を発動させる。


「やっぱり、体への負担が半端ないな……」


 小言を言いながら、俺は“買い物袋”から、回復ポーションを取り出し、片手でコルクを外して、一気に飲み干す。


 無理矢理、身体に回復ポーションを流し込み、リリーが1歩後退した瞬間に前後を入れ替えて、オーク達に斬り掛かる。


 一瞬の隙を利用して、更に“買い物袋”から回復ポーションを取り出しては飲み干していく。


 あまり美味いもんではないが、確実に戦えるという確信と回復ポーションと【自己再生】の2つにより、意識を保ったまま動く事も出来ていた。


「お前が最後の盾持ちだぁぁぁ!」


 竜切り包丁がオークリーダーの胴体を切り裂き【リミットカット】と【解体】が付与された一撃がオークリーダーをミンチに変えていく。


「さて、あとは雑魚とお前だけになった……」


 竜切り包丁の先端をオークジェネラルに向けた瞬間、俺達をはじめて敵と認識したように雄叫びをあげる。


「グアァァァァッ!」


 凄まじい雄叫びに鼓膜が破れるかと思ったがそれよりも驚かされたのは、オークジェネラルが何も無い空間から巨大な剣を取り出した事だった。


「あれは、異空間スキルなのか……」


 俺の驚く表情を見て、歪な笑みを浮かべるオークジェネラルは剣を手に歩き出していた。

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