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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
8章 王都に潜む影と信じる者

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211/280

209話、二次予選、嫁達にヒヤヒヤです。

 △△△△


 エトランジュが訪れた日から数日が過ぎ、今日は二次予選が開始される。


 俺は一般の見物席側の通路からナギと一緒にみんなの様子を見ることにした。


 既に観客席と言うべきだろうか、予選だと言いながらも凄まじい熱気に包まれた会場は盛り上がりを見せている。

 合法の賭けが行われているようで、多くの人々の手には自身が勝利すると見込んだ選手に賭けた紙がしっかり握りしめられている。


 そういう俺も嫁ちゃん達、全員分を買っている。一つ言えることは、この二次予選の会場は複数にブロック分けされており、運良く嫁ちゃん達は一箇所の会場の中でバラバラのブロックに配置されていた。


 これが嫁ちゃん達、全員が同じブロックでぶつかり合っていたら、後のフォローがかなり大変だったので、本当に助かった。


 俺達がいるのは、王国騎士団が演習に使うために作られた訓練場の一つで、広い平地にそれぞれのブロックに分けられている。


 二次予選は試合形式であり、この訓練場からは本戦に参加する選手が10名選ばれることになる。

 つまりは、嫁ちゃん達、全員が通過する可能性があるのだ。

 こんな会場がほかの地域にも数箇所あり、今も同様に説明をしていると思うと、この大会の規模がどれほど大きなものなのかを感じずにはいられない。


「ナギも出たかった……足が二本なら出れたのに」


 残念そうにつぶやくナギには同情するが、ナギが出られると言うことは、パピィさん達、蛇人族も総出で参戦になるため、人族や他種族でも勝つのは難しいだろう。

普通に考えて、このルールがあって良かったと思う。


 悔しさを隠すことのないナギは可愛らしいが、今回は試合に専念しよう。


 各ブロックで最初の試合が開始されるため、すべてのステージに2人の参加希望者が向き合う形になる。


 この試合ではフライちゃんが出場しており、向き合っているのは冒険者風の男だった。

 体格差はいうまでもないが、とにかく筋肉質な男は得物である大剣と腕に盾を装備しており、前衛型の剣士だろうと思う。


 審判であろう男性が各ステージで対峙した参加希望者に試合開始前の確認をして、すべての審判が手を挙げたのを確認したのだろう、試合開始のドラの音が鳴り響く。


「試合開始ッ!」と同時に“ゴーンッ!”と鳴り響くと観戦者達からも歓声が上がる。


 フライちゃんは距離を一気に詰めることもなく、ゆっくりと歩みを進めていく。

 男性冒険者が何かを叫んでいるが、そんなことを気にする様子はなく、愛用の錫杖(しゃくじょう)をどこからか取り出すと笑いながら、冒険者に目がけて振り放つ。


 男性冒険者が盾を前に防御したように見えた瞬間、複数の剣がぶつかり合う会場に“ズガンッ!”と、あり得ないような衝撃音が間をわずかに空けてから、二回鳴り響く。


 試合を行う参加希望者達の視線が一斉に音の方角に向けられる時にはすべて終わっていた。

 一瞬の出来事だった。盾を構えた男性冒険者が踏ん張るように片足を後ろに引き、力を込めていたにも関わらず、盾を粉砕してさらに男性冒険者が場外まで吹き飛ばされ壁に叩きつけられたのだ。


 フライちゃんの試合はあっさりと勝利で終わり、そのまま数回の試合を行っていくが危なげもなく本戦出場を決めたのだ。


 そうして、俺の嫁ちゃん達は全員が次々に本戦出場を手にしていく。


 ミトの試合も得意の解体用巨大ハンマーを使い、相手が逃げようが守ろうが容赦なく振り払い、向かってくる相手が懐に特攻してきてもその類稀な格闘センスで顔面をステージに叩きつけて勝利を掴み取っていく。


 多少の苦戦が見られたのは、ベリーの試合だった。

 魔法特化のベリーの最後の相手は図体のデカい男であり、装備品を魔法対策用の物に変更していたようで、ベリーの攻撃手段をすべて封じたように見えた。


 さすがのベリーも厳しいかもしれないと不安な気持ちで試合を見つめる俺にナギが声を掛けてくる。


「ベリーは大丈夫。魔法を撃たない方が強い」


 俺はナギの発言に首を傾げたがナギがベリーを指さしたので、試合に視線を戻す。


 ベリーは相手を誘うように手を“こいこい”と動かし、挑発していく。

 その動きに相手がニヤリと笑うと剣を構えて走り出す。

 明らかに不利な状況に見えたが、俺は自分の目を疑うような光景を目の当たりにする。


 走り出した男がベリーの間合いに入った瞬間だった。

 ベリーの長い足が天高く伸ばされたと同時に男が握っていた剣が宙を舞う。


 そうして振り上げられた足が「せいやぁッ!」と言う声と共に男の肩に振り下ろされる。

 “バゴッ”と鎖骨が砕かれたのだろう、男が「ぎゃああああ!」と声を上げて、宙ぶらりんになった腕側の肩を抑える。


 そんな相手に審判が試合を止めるか悩んでいると、ベリーが姿勢を屈め、腕を後ろに引くと、男の顔面スレスレに拳をうち放つ。


 男に拳が触れるギリギリで止められた拳、それと同時に男は気を失いベリーの勝利が宣言される。


 素人の俺でも理解できるほどベリーの拳は早く鋭かった。

 なんの有段者なのかは分からないが、間違いなく段持ちだろうと感じたため……夫婦喧嘩はマジに回避だな……あの拳をくらうのは正直嫌だしな。


 試合への感想より、そんなことを考える俺はやはり、少しズレてるのかもしれないが、本能がそう思うくらいに綺麗な(かた)だった。


 別のブロック戦に試合が移り、ペコとグーも危なげなく本戦へと進むことになる。


 普段、あまり戦う姿を見ないため忘れがちだが、この姉妹も魔物を食材としてしか見ない強者なのだ。


 他の冒険者が命懸けで戦うような魔物を相手にする際の理由すらも腹が空いたためと言って、狩りにいくような嫁ちゃんなのだ。一般の冒険者が勝てるはずがないだろう。


 ミアとニアの試合もスピードを活かした速攻と種族差が際立ち、危なげなく勝利を掴んでいた。相手からしたら、可哀想な試合になっていたが、勝負の世界にそれは言いっこなしだな。


 そうして、残りはポワゾンとドーナの2人になった。

 次の試合はポワゾンのものだったが、俺は薬品を使う以外の戦い方を見る機会があまりないので、興味深く見つめていく。


 最初の試合からそれは異様という他なかった。

 ポワゾンの対戦相手は鞭使いの女性冒険者だった。試合開始と同時に2本の鞭を巧みに操りながら、高速で振るい攻守を同時に行っていく姿に会場が沸き立っていく。


 そんな鞭の動きを見つめるポワゾンがニヤリと不気味に笑った瞬間、軽く手を前に伸ばすのがわかった。


 次の瞬間には、何故か女性冒険者の2本の鞭が場外に飛ばされており、冒険者本人の両手には細長い杭が突き刺さり、血を流しているのが見てとれる。


 ポワゾンが腕を振り上げた瞬間、細い杭を打ち放った。

 女冒険者の両足に刺さった杭を見た審判が試合を停止させることでポワゾンの勝利が決定した。

 それからも危なげなく、一方的な展開でポワゾンは本戦に出場を決めた。


 最後はドーナの試合だったが、それは本当に無茶苦茶だった。


 ドーナは試合開始と同時に巨大鎌を振り抜き、最初の試合から重傷者を出すことになった。

 審判が呆気に取られていたため、勝利宣言がされなかったことから、とどめを刺すことに決めたドーナをギリギリで審判が勝利宣言をしたことで事なきを得た。


 死者が出なかったことに安堵したが、ドーナのブロックは参加希望者が辞退するという異例の事態になってしまった。そのため、ドーナは戦わずに本戦に歩を進めたのである。


 ヒヤヒヤする結果になったが、嫁ちゃん達は無事に全員本戦に出場が決まった瞬間だった。


 そんな試合を行っていた嫁ちゃん達が俺の元に集まる姿は他の参加者達からすれば歪に見えただろう。


 また変な噂が広まらないといいが、そんなことより、みんなが無事で良かったと素直に嬉しく思う。

読んでくださり感謝いたします。

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