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みんなが断った異世界転移☆暇な日、限定で揚げもん屋『フライデー』をやってます。  作者: 夏カボチャ 悠元
1章 オッサン異世界に行く

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エピローグ0.5話、希望と絶望の始まりは突然に2

 やる気がなくても火をつけてしまえば、煙草は自然と切れていく。

 空箱をゴミ箱に投げ捨て、気乗りしない足で煙草を買うためにコンビニへと向かう。


 見知った顔ばかりの小さな町、噂や憶測が飛び交うのに時間のかからないような場所で、俺を見た奴らが、軽く視線を向けては、ヒソヒソと話す声が聞こえる。


 いつものコンビニすら、行きにくい……


 そんなこともあり、普段と反対側へと歩いていく。


 30分くらい歩いていると見たことのないコンビニを見つけた。


 個人店なんだろうか、コンビニだと分かるが、海外の文字のようで、店名がわからない。


 店内に入り、エアコンの風に出迎えられる。

 軽く店内を物色しようと思った俺の視線はレジへと釘付けになっていた。


 見慣れない青色の髪をした学生さんがレジに立っており、珍しい髪の色のせいか、店員を凝視してしまい慌てて視線を逸らす。


 少し気まずさを感じたため、急いで煙草の番号を伝えていく。


「煙草いいですか? 184番を3つ、いや、5つください」


 カートンで買おうか迷ったが、歩きで来たため、煙草を抱えて帰るのを誰かに見られるのが嫌だった。薄手の上着に付いたポケットに入るギリギリの個数だ。


「ありがとうございます。5点で三千円になります。移転キャンペーンで500円で1回クジが引けます。6回分、どうぞ」


 よくあるやつだ、最近はよくクジを引くが、当たりらしい当たりを引いた試しがないな……


 1枚目をめくるが、当然、ハズレだ。ちなみにハズレは飴玉が3個だった。

 2枚目はどうか……ポケットティッシュだった。

 3枚目、500mlのペットボトル(水)

 まぁ、水は悪くないな……

 4枚目はまたハズレ、飴が6個に増えたな。

 5枚目……ボールペン型ライト。

 6枚目……めくると、そこには【S】とだけ書かれていた。


「えっと、Sって、なんですか?」

「…………」


 無言の女性店員に俺も沈黙する。

 いや、なんか反応が欲しい。お客さんが質問したら、とりあえず返事してほしいんだが……


 無言だった店員がカウンター下に手を伸ばすと一枚のA4サイズの封筒を取り出す。


 でっかく『S』と書かれた封筒から、紙を取り出すと説明をされる。


「おめでとうございます。[バッカス]へのシングルチケットが当たりました」


「海外ですか?」

「国外ですね。当たってしまったので、受け取りサインをお願いできますでしょうか?」


「あ、はい、これ、絶対行かないとダメなやつじゃないですよね? まぁ行けるなら嬉しいけど」


「はい、ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです……では、コチラにサインをお願いします。名前だけで大丈夫ですので」


 受け取り証明書に名前を書いていく。

 

 「1番最後の部分にアンケートがありますので、そちらの記入もお願いします」


 言われるままにサインを入れて、アンケートを確認する。


『あなたは、異世界に行きたいと思った事がありますか YES、or、NO』


 YESにマルをして、アンケートが終了する。


「はい、確かに確認できましたので、賞品をお渡し致します」


 そう言われ、女性店員を見るとカウンターに赤いボタンが置かれていた。


「え、なんすか、それ?」

「良い異世界生活を、行ってらっしゃいませ。金山様」


 女性店員がそう言うとボタンが押される。

 急に開いた穴の中に俺は落下した。


 気絶してたのか、ここは、どこだ……頭が痛えぇ。


 俺が意識を覚ましたのは、壁も柱も存在しない白一色の、何もない空間だった。


「夢か、ここはどこなんだ……最近、寝れてなかったから、変な夢を見てるのか」


 その場で考えるが、やっぱり目覚める様子はない。


「そもそも、いつ寝たんだ? むしろ、煙草を買いに行った辺りから夢だったのか……」


「あ、あの……もしもし、考えてる最中にすみません、お話いいですか?」


 目を瞑りながら考えていた俺の背後から、突然、弱々しい女性の声がした。


 そちらに視線を向ける。視線の先には、全身白のワンピースを着た長い髪の女性が立っていた。


 カラコンだろうか、薄紫色の綺麗な目、くりくりしている瞳からも間違いなく可愛い美人さんだ。


 自分の表現力の無さを申し訳なく思うが、可愛いは正義だ、くらいしか、言葉が思い浮かばなかった。


「えっと、あの……すべて聞こえてます……」


「…………」

「…………」


 可愛いって思ったことが伝わっているんだろうか? 


「あわわ、あ、あの照れます……」 


 急に赤面してあわあわしている目の前の可愛い女性に俺も姿勢を正すことにした。


「本当に聞こえてるんだな?」

「はい、あと、可愛いという表現はその恥ずかしいです……え、えっと、話を進めていいですか……これ以上、言われると、身体が熱くなって話ができなくなっちゃうので……」


「それはごめんな、話を聞かせてくれ」


「はい、わたしは転移担当の女神フライです。この度は、転移者として、選ばれたようでおめでとうございます」


「よく分からないが、とりあえず話を聞くよ」


「悩まずに受け入れてくださりありがとうございます。すごく助かります」


 ニコニコしながら、両手を前で合わせる姿は天使に見える。


「それで、俺は何をしたらいいんだ?」


「はい、世にいう流行りの転移者になってもらい、私の管理する世界の住人になってもらいたいんです」


「ほうほう、つまり、勇者になれと?」

「いいえ?」

「ん? 魔法とか剣の世界は?」

「ありますよ。でも、勇者とかは、今は必要ない段階でして、素直に住人として生活してほしいんです」


「ふふ、わかった。とりあえず、帰らせてもらっていいかな?」

「待ってくださいーーー! 帰らないでくださいーーー!」


 可愛い美人がだだを捏ねて、足につかまる姿はレアだが、異世界に行ってまで住民Aをやる気はないんだよね。


「ちゃんと、色々ありますから、特権をつけますから、金山さんに断られたら私、もう世界を維持できなくなっちゃうんですーーー!」


「とりあえず、話を聞くから泣かないでくれますか、罪悪感がすごいんで……」


「だって、だって……いきなり帰るなんて、言うから……」


 とりあえず、泣いた女神様を宥めつつ、話を聞いていくことになった。

 飲み物と菓子を出してもらい、白い空間に似つかわしくないちゃぶ台を挟んで話を再開する。

読んでくださり感謝いたします。

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